2025-05-01から1ヶ月間の記事一覧
パーキンソン病とPINK1・Parkin遺伝子の関係とは パーキンソン病は、脳内のドパミン神経細胞が徐々に減少していくことで、手のふるえ(振戦)や動作緩慢、筋固縮などの症状が現れる神経変性疾患です。 この病気の原因のひとつとして、ミトコンドリアの機能異…
〜ベンゾジアゼピン系からの切り替えを進めています〜 こんにちは。さくら在宅クリニック院長の内田です。 最近、睡眠薬の選択に変化が出てきています。これまで主流だったベンゾジアゼピン系睡眠薬は、依存性、認知機能への影響、転倒リスクの増加などの問…
こんにちは、さくら在宅クリニック院長の内田です。今回から数回にわたり、「パーキンソン病」について、在宅医療の視点も交えながら、科学的にわかりやすくお伝えしていきたいと思います。 ■ 原因はひとつじゃない? パーキンソン病というと、ドーパミン不…
敗血症とは、**「感染症によって臓器障害が引き起こされている状態」**を指します。命に関わる緊急事態であり、いち早く見抜き、適切に対応することが求められます。 対応の鍵となるのが、臓器障害の早期徴候を見逃さないこと。バイタルサインの変化はもちろ…
浸出液の多い褥瘡は、感染リスクの上昇や創部の悪化に直結するため、早期かつ適切な処置が重要です。資料に基づいたケアの実践が、在宅療養中の患者さんのQOLを守るうえで大きな鍵となります。 YouTube:内田賢一の在宅医療チャンネル▶︎ 現場での褥瘡ケアや…
最近、施設入所中の患者さんにおいて「排便後に意識がもうろうとする」というケースを経験しました。 排便状況と既存の下剤処方 この方は、毎日少量ずつ排便があるものの、3〜4日に1度大量に出るというパターン。便は硬めで、摘便が必要になることもあり、…
褥瘡ケアにおいて、「浸出液が多い状態」は特に対応が難しい場面のひとつです。感染や皮膚マセレーションを防ぐためにも、適切なドレッシング材の選択と交換頻度の判断が重要となります。 現場で実践している対応方法については、資料のとおりの処置を基本と…
クレアチニンクリアランスで腎機能を正しく評価する大切さ 高齢になると、腎臓の働きが少しずつ弱くなってくる方が多くなります。そんな中、腎臓で代謝される薬をそのままの量で使ってしまうと、体からうまく排泄されずに血中濃度が上がり、効きすぎてしまう…
――地域で支える「在宅医療チーム」の力 在宅での褥瘡ケアにおいて、「滲出液が多い状態」にどう対応するかは非常に重要なポイントです。湿潤環境を維持しつつ、感染や皮膚の浸軟を防ぐためには、ドレッシング材の正しい選択が欠かせません。 たとえば、多量…
高カルシウム血症のリスクと対策を在宅医の立場から考える 最近、「エルデカルシトールによる高カルシウム血症と血液検査の遵守について」という文書が配布されました。この背景には、おそらく実臨床での高カルシウム血症の報告が多数にのぼり、臨床上の問題…
限られた環境でも、高い判断力とケアを 在宅医療の現場では、ベッド上で長時間過ごす患者さんが多く、**褥瘡(じょくそう:床ずれ)**の予防と治療は日常的な課題です。特に在宅では、病院とは異なり使用できる医療資源が限られているため、医師・看護師がそ…
■症例概要 89歳女性。以前より肩関節周囲炎で近医にて加療中でしたが、改善せず大学病院を受診。診断は同様で、NSAIDsが処方されました。ところが、その後より両下腿の浮腫が悪化し、歩行困難となり、当院の往診を受けることになりました。 ■当院初診時の所…
褥瘡や創傷のケアにおいて、「浸出液(しんしゅつえき)」の量や性状を的確に評価することは、治癒に向けた第一歩です。浸出液は、傷の状態を映し出す「鏡」のようなもの。適切にコントロールすることで、感染を防ぎ、治癒を早めることができます。 浸出液の…
">これまで当院では、ペースメーカーや埋め込み型ICD(植込み型除細動器)のチェックをご自宅で行うこともありましたが、業者立ち会いにかかる費用が高額になるケースが多く、患者さんの費用負担が課題となっていました。 そこでこのたび、ペースメーカーチ…
私自身、某SNS上で「ハイドロリリース研究会」を主宰しております。メンバーは現在、約1,000名に迫っており、日々、海外文献や最新知見を共有しております。なお、内容の専門性とプライバシー保護の観点から、非公開の研究会としています。 最近、非常に興味…
在宅医療の現場では、褥瘡(床ずれ)やさまざまな創傷のケアに外用薬を使うことが多くあります。しかし、効果を最大限に引き出すためには保管方法や使用期限を守ることがとても大切です。 今回は、実際によく使用される外用薬「アクトシン軟膏」と「フィブラ…
皮膚の乾燥や皮脂欠乏症の治療薬として、医療現場で頻用されているヒルドイドソフト(ヘパリン類似物質軟膏)。この薬は、保湿目的で多く処方される一方で、美容目的の乱用が一時社会問題となったことでも話題になりました。 では、そもそもヒルドイドソフト…
ポケット(窩)が形成され、浸出液が多い褥瘡に対して軟膏を使用する際には、ポケット内に軟膏が残存してしまうことで感染リスクが高まる点に注意が必要です。 また、壊死組織の除去(デブリードマン)を行いながら、高い吸収力を持つ外用薬を選択することが…
【高齢者の便秘治療、見直してみませんか?】 ~酸化マグネシウムからモビコールへの切り替えという選択~ 在宅医療の現場では、高齢者の便秘対策として**酸化マグネシウム(酸マグ)**を処方するケースが多く、これまで大きな問題を感じることは少なかった…
在宅医療の現場で頻用されるゲーベンクリームですが、使用にあたってはいくつかの注意点があります。 ◆ 壊死組織への塗布時は「量」に注意 ゲーベンクリームを壊死組織に使用する際は、ガーゼへ浸透してしまうことを想定し、十分量を塗布する必要があります…
レビー小体型認知症といえば、「幻視」や「認知症」のイメージが強いかもしれません。しかし実際には、それ以上に命に関わる重要な症状が存在します。それが「自律神経症状」です。 ■ レビー小体型認知症の症状分類(重要度順) レビー小体が脳や末梢神経に…
褥瘡や創傷の治療において、外用薬の選択とタイミングは治癒経過に大きく影響します。以下のような点に注意が必要です。 ✅ 壊死や感染の兆候が残っている場合は、肉芽形成や上皮化を促す薬は使わない創部に感染や壊死組織が残存している段階で、治癒を促すタ…
以前勤めていた病院の看護師さんから、「母が“痩せ薬”として飲んでいたのが、実は利尿剤だった」という、笑えないエピソードを聞いたことがあります。また、ボクサーが試合前の計量に向けてサウナで水分を絞り切るのは有名な話ですが、脱水との戦いは、何も…
深い褥瘡(じょくそう)に対する治療方針、そして創面の状態に応じた外用薬の選択は、とても重要な判断です。適切な処置を行うためには、「どの薬を、どのタイミングで、どう使うか」の見極めが求められます。 ▼ 具体的な外用薬の使い方や、実際の症例に基づ…
【医師の現場レポート】レキサルティが効いた認知症のBPSD症例 2024年9月24日、抗精神病薬「レキサルティ(一般名:ブレクスピプラゾール)」に新たな効能・効果が追加されました。 「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動…
深い褥瘡や複雑な創傷への対応では、適切な外用薬の選択と使用手順が極めて重要です。私たちは、科学的根拠に基づいた治療戦略に則り、患者さんごとの状態に応じて柔軟に対応しています。 ▼ 具体的な外用薬の使い方や症例の解説については、当院の公式サイト…
岡山大学病院 精神科リエゾンチームの実践知に触れて 本書の帯にはこう書かれています。 「日本をリードする岡山大学病院精神科リエゾンチームの診療ノウハウを余すことなく一挙公開!!」 この言葉に期待を膨らませつつ読み始めましたが、期待以上の内容で…
急性期や浅い褥瘡の治療においては、状況に応じた外用薬の使い分けが極めて重要です。当院で使用している外用薬の一部を資料としてご紹介していますが、褥瘡の状態に応じて「どの薬を、どのタイミングで、どう組み合わせて使うか」が、治療の成否を大きく左…
在宅医療の現場では、X線やCTといった画像診断がすぐに使えない場面も多くあります。そんなとき、**肺エコー(Lung Ultrasound/LUS)**が大きな力を発揮します。特に、通院困難な高齢者や寝たきりの方において、肺炎による呼吸苦や発熱の鑑別に有効です。 …
在宅医療の現場では、褥瘡やさまざまな創傷に対する適切な処置が欠かせません。その中心となるのが「主薬」と呼ばれる外用製剤です。 主薬には以下のような重要な機能があります: 壊死組織の除去(デブリードメント) 感染のコントロール 湿潤環境の調整(…