2025-06-01から1ヶ月間の記事一覧
がん治療後の食欲不振や倦怠感に悩まされる方は少なくありません。今回ご紹介するのは、肺扁平上皮がん術後再発と**早期食道がん(ESD後)**の治療歴をもつ60代男性のケースです。 ■ がん治療後も続く、原因不明の食欲不振と倦怠感 この方は、肺がん再発に対…
〜皮膚を守るやさしいケアのために〜 創傷ケアでは「貼る」だけでなく、「剥がす」ことにも大切なポイントがあります。間違った剥がし方は、せっかく治りかけた創部や周囲皮膚を傷つけてしまう原因になります。今回は、ドレッシング材や絆創膏・フィルムを剥…
パーキンソン病は、脳内のドーパミン神経が減少することで様々な運動症状を引き起こす病気です。特に、歩行や姿勢の異常は日常生活に大きな影響を与えるため、在宅医療でも注意深く観察する必要があります。 歩行に現れるサイン パーキンソン病では、以下の…
褥瘡(じょくそう)周囲の皮膚は、創部からの滲出液(しんしゅつえき)に長時間さらされやすく、**「浸軟(しんなん)」**という状態に陥りやすくなります。 浸軟とは?皮膚が水分に長く接することで角質層がふやけ、細胞同士の結びつきが緩む現象です。こ…
施設スタッフの方からよくこんな質問をいただきます。 「何℃以上の熱が出たら先生に連絡すればいいですか?」 多くの医師が「38℃以上なら連絡してください」と伝えると思いますが、実は「発熱だけ」で重症かどうかを判断することはありません。 医師が重症度…
パーキンソン病の身体所見として代表的なものに、「動作緩慢(ブレイディキネジア)」「無動」「寡動」といった運動機能の低下が挙げられます。これらは日常生活の中でもさまざまな形で現れます。 ◆ こんな場面で気づけるサイン 椅子に座るまでの動作が異常…
〜SIRSの視点から考える在宅での対応〜 脳卒中後や意識がはっきりしない高齢の方をケアしていると、発熱はつきものの症状です。 人は寝ている間でも無意識に嚥下しています。唾液はもちろん、食事の際に逆流してきた内容物や胃液も無意識下で処理されていま…
パーキンソン病の四大症状のひとつとしてよく知られている「筋硬直(rigidity)」。本日は、その特徴や臨床での捉え方について簡潔にご紹介します。 ◆ 筋硬直とは?―“鉛管様”または“歯車様”と表現される現象 パーキンソン病の筋硬直は、受動的な関節運動に抵…
在宅医療やご家庭でも広く使われている「パルスオキシメーター」ですが、その測定方法や注意点を正しく理解していますか? 今回は、**より正確にSpO₂(動脈血酸素飽和度)**を測るためのポイントをご紹介します。 ◆ パルスオキシメーターとは? パルスオキシ…
〜患者負担を軽減するドレッシング材の選び方〜 褥瘡の治療では、創の状態に加え、「痛み」の有無も材料選択において非常に重要なポイントです。今回のケースでは、「d2-e1-s6-i1-g0-n3-p0(DESIGN-Rスコア)」の状態=表皮〜真皮にかけた損傷、軽度感染と壊…
褥瘡(床ずれ)が感染しているかどうかは、以下の「感染の4徴候」があるかで判断します。 熱感(触ると熱い) 発赤(赤くなっている) 腫脹(腫れている) 疼痛(痛みがある) これらのサインがある場合、褥瘡感染を疑うべきです。 【感染しているからといっ…
〜DESIGN-R評価に基づいたケアの選択〜 褥瘡の中でも、「浮腫状の不良肉芽」や「ポケット形成を伴う創」は管理が難しく、治癒に時間がかかる傾向があります。今回は、それぞれの状態に適した外用剤とドレッシング材の選択を事例画像とともに解説します。 Cas…
~特徴的なふるえの見分け方~ パーキンソン病の身体所見の中でも、**最もよく知られている症状が「振戦(ふるえ)」**です。この振戦にはいくつかの特徴があり、他の疾患と鑑別するうえでも重要な観察ポイントとなります。 パーキンソン病にみられる振戦の…
褥瘡(床ずれ)の処置として「ガーゼを当てておけば安心」と思っていませんか?実は、褥瘡にガーゼを当てることは、最悪の処置になり得るということをご存じでしょうか。 今回は、「なぜガーゼ処置が褥瘡にとって逆効果なのか?」を、褥瘡の発生メカニズムと…
〜材料と外用剤の選び方を症例から学ぶ〜 急性期の褥瘡では、炎症や組織破壊が進行しやすく、滲出液量や壊死組織の有無に応じた迅速かつ適切な対応が求められます。今回は、「滲出液が多い場合」と「硬い壊死組織がある場合」の2つのケースに焦点を当てて解…
~診断の質を高める視点とは~ パーキンソン病と聞くと、「手の震え」や「動きの遅さ」といった運動症状が思い浮かびますが、実は**非運動症状(自律神経・精神・睡眠関連)**も患者さんの生活に大きな影響を与えています。 問診の段階でこれらの症状をしっ…
先日、「高齢者の歩行-下肢障害の要因としての歩行動態とその予防法への試み-」という講演を拝聴しました。講師は、慶應義塾大学スポーツ医学研究センターの橋本健史先生。高齢者の歩行を科学的に解析し、リハビリや予防医学に応用できる興味深い内容でし…
〜創の状態に合わせた適切な局所療法を考える〜 褥瘡治療において、創の性状に応じた外用剤の選択は、治癒経過を左右する重要な要素です。今回は「柔らかい壊死組織を伴う創」と「感染兆候を伴う仙骨部褥瘡」の症例を例に、適切な外用剤の選択とその理由につ…
~運動症状に注目することの意義~ パーキンソン病は、加齢とともに発症頻度が増加する神経変性疾患です。その診断の第一歩は、「問診」=患者さんの声を丁寧に聞くことにあります。 運動症状が主訴となるケースが多い パーキンソン病の初期には、 手足の震…
在宅医療では、末期がんや慢性心不全の患者様に対し、麻薬(オピオイド)や鎮静薬を精密に持続投与するケースが多くあります。これまでは、こうした精密投与には専用の輸液ポンプをレンタルする必要があり、準備にも時間がかかっていました。 しかし今、新た…
〜DESIGN-Rスコアに基づく実践的判断〜 褥瘡ケアでは、創の深さや滲出液量、肉芽の状態などに応じて適切なドレッシング材を選択することが重要です。今回は「浅い潰瘍」と「良性肉芽(d2)」の2つのケースを例に、材料の選択とその理由を解説します。 Case …
~正確な診断が最適な治療の第一歩~ 手足のふるえ、動作の緩慢さ、筋肉のこわばり、姿勢の崩れ──こうしたパーキンソン症状を呈する患者さんは決して少なくありません。しかし、これらの症状がすべて「パーキンソン病」とは限らないことをご存じでしょうか。…
がん患者さんの「お腹の張り」は、消化器がんに限らず婦人科がんや泌尿器がんなど、多くのがん種でみられます。しかし、腹部膨満=腹水と短絡的に考えるのは危険です。 ■ 腹部膨満の裏に潜む「イレウス(腸閉塞)」 がん患者さんの腹部膨満感の原因として、*…
褥瘡(じょくそう)は進行すると深部組織まで損傷し、感染や慢性化のリスクが高まります。しかし、早期に適切なケアを行えば進行を食い止めることが可能です。今回は**DESIGN-Rで言う「d1(紅斑・紫斑)」と「d2(水疱)」**の症例をもとに、ドレッシング材…
〜さくら在宅クリニックの実践から〜 パーキンソン病は、進行性の神経変性疾患であり、長期にわたり生活機能に影響を及ぼします。在宅医療の現場でも、多くの患者様が日常生活を少しでも快適に送れるよう支援を続けています。ここでは、パーキンソン病治療の…
高齢者の約3割が、1年間に1度は「転倒」を経験するといわれています。その中でも、約30%が「失神」が原因とされているのをご存じでしょうか? 今回は、なぜ高齢者は失神しやすいのか、そしてどうすれば防げるのかを、医療現場からの視点で解説します。 ✅ な…
〜DESIGN-Rで考える、深い褥瘡のケア〜 急性期(発症後1~3週間)を過ぎると、局所の炎症反応(発赤・腫脹・疼痛・熱感)は軽減し、創の輪郭が明瞭になります。この時期からは、創傷評価ツール「DESIGN-R」を用いた客観的な評価と管理が可能になります。 ✅ D…
パーキンソン病やレビー小体型認知症といった神経変性疾患では、脳内に異常なタンパク質「αシヌクレイン」が蓄積することが知られています。特に、このαシヌクレインが凝集することで神経細胞が障害されると考えられており、その凝集体を標的とした治療開発…
アルツハイマー型認知症を患うご高齢の方が、誤嚥性肺炎をきっかけに寝たきり状態となり、踵に**黒色壊死(エスカー)**を生じてしまいました。 この黒色壊死は、肉芽の形成を阻害する“蓋”のような存在です。まずは、ゲーベンクリームを用いて壊死組織を薬剤…
新薬開発における「Phase 3」とは、多くの患者に実際に投与して有効性と安全性を確認する段階です。このステージまで進むには、前段階(Phase 1・2)での成績をクリアし、かつ十分な支持と資金が必要となるため、実に狭き門。 2020年時点で、パーキンソン病…