2026-01-01から1ヶ月間の記事一覧
― 皮膚所見が語る「うっ滞」という本質 ― 今回の写真は、在宅診療介入後の下腿皮膚所見です。潰瘍自体は落ち着きつつある一方で、皮膚全体には慢性的な変化がはっきりと残っています。 ■ 写真から読み取れる皮膚の変化 下腿全体に共通してみられるのは、 び…
―「治す医療」から「付き合う医療」へ― これまでご紹介してきた難治性蜂窩織炎・静脈うっ滞性皮膚潰瘍の症例では、「どの治療を選ぶか」以上に、どの姿勢で関わるかが重要なテーマとなりました。 今回は、在宅診療における治療方針と考え方を整理します。 ■ …
― 「入る量」ではなく「入れてよい量」を知る ― 静脈栄養は、経口摂取や経管栄養が困難な状況において、生命維持・栄養改善のために不可欠な手段です。しかし一方で、静脈栄養は過剰投与による合併症を起こしやすいという特徴も持っています。 「どこまで入…
― 怒り・悲しみ・「注意が必要なポジティブ感情」 ― 「健康にいいと分かっているのに、続かない」この現象は意思が弱いからではなく、感情が意思決定を上書きしてしまうことで起きることが少なくありません。 感情は、身体に直接影響するだけでなく、日々の…
― 難治性下肢潰瘍・蜂窩織炎をどう見極めるか ― 難治性の下肢蜂窩織炎や皮膚潰瘍では、**「何が治りを妨げているのか」**を見極めることが治療の第一歩です。在宅診療では高度な検査が制限される一方、診察そのものの質が結果を左右します。 今回は、在宅医…
静脈栄養は、経口摂取や経管栄養が不可能、または不十分な場合に用いられる重要な栄養療法です。静脈栄養には大きく分けて、 末梢静脈栄養(PPN:Peripheral Parenteral Nutrition) 中心静脈栄養(TPN:Total Parenteral Nutrition) の2つがあります。 ど…
― 短時間・高エネルギー投与を安全に成立させる ― 半固形栰養剤を使用する場合は、口径の大きい胃瘻アクセスを使用することが前提となります。半固形栄養剤には、以下のような明確なメリットがあります。 胃食道逆流の予防 短時間での投与が可能 下痢の予防 …
― 怒り・悲しみ・「注意が必要なポジティブ感情」 ― 「健康にいいと分かっているのに、続かない」この現象は意思が弱いからではなく、感情が意思決定を上書きしてしまうことで起きることが少なくありません。 感情は、身体に直接影響するだけでなく、日々の…
― 静脈うっ滞性皮膚潰瘍という視点 ― 前回までにご紹介した難治性蜂窩織炎の症例では、単なる感染症としてでは説明しきれない「治りにくさ」がありました。 その背景として重要なのが、**静脈うっ滞性皮膚潰瘍(chronic venous ulcer)**という病態です。 ■ …
― 高エネルギーを「無理なく・安全に」入れる工夫 ― 高エネルギー投与を行う際、1 kcal/mL の栄養剤のみを使用すると投与ボリュームが非常に大きくなるという問題があります。特に、 体格の小さい高齢者 胃食道逆流や誤嚥リスクの高い患者 では、そのままで…
「健康のために何をすべきか」は多くの人が知っています。それでも続かないのはなぜでしょうか。 今回の講演では、健康を支える感情に焦点を当て、特に「誇り」「感謝」「幸せ」という3つの感情が、健康行動の継続や病気の予防にどのように関わっているのか…
―「治らない蜂窩織炎」の背景にあるもの― 今回は、難治性蜂窩織炎と診断された女性の症例について、初診時および経過中の皮膚所見を中心に、在宅医療の視点からまとめます。 ■ 搬送後も改善しなかった経過 本症例では、医療機関へ搬送された後も、約2か月間…
― 「まず腸を使う」ことが回復への近道になる ― 攻めの栄養療法における原則 「攻めの栄養療法」においては、実施可能であれば経腸栄養(EN)を最優先することが原則です。 経口摂取が十分に可能な場合 → 食事から必要栄養量を確保する 経口摂取が不十分な場…
健康習慣は「感情」で決まる ― 知識だけでは人は変われない理由 ― 私たちは「健康に良いと分かっていること」を、なぜ続けられないのでしょうか。 運動、食事、睡眠、禁煙――どれも大切だと知っているのに、三日坊主で終わってしまう経験は誰にでもあります。…
― 在宅医療の視点から考える早期介入と継続支援 ― 今回は、難治性蜂窩織炎と診断された女性のケースを通して、在宅医療の現場で直面しやすい課題と、その対応についてご紹介します。 ■ 病歴の概要 本症例は、医療機関を受診しないまま老夫婦で生活されていた…
経管栄養が真価を発揮する場面 経管栄養が静脈栄養(TPN)に比べて明らかに有用とされるのは、 比較的重症な症例の急性期管理 在宅医療を含む慢性期の長期栄養管理 といった場面です。 特に、食道がんなど侵襲の大きい手術後や重症症例では、その有用性が多…
はじめに 代替栄養として経管栄養を選択する場面では、腹部症状や誤嚥性肺炎などの合併症を回避するため、少量から慎重に注入を開始するケースを多く目にします。確かに、注入開始時には合併症予防の観点から、少量投与→段階的なステップアップという「守り…
― 高エネルギー投与を安全に成立させるために ― 「攻めの栄養療法」を実践する際、最大の課題の一つが高エネルギー投与をいかに無理なく行うかです。1 kcal/mL の標準的な栄養剤を用いると、必要エネルギー量を満たすために非常に大きな投与ボリュームとな…
― 患者背景に応じた“最適解”を考える ― 経管栄養を行う際には、 消化管の構造・機能 経管栄養を行う予定期間 誤嚥リスクの有無 などを総合的に評価し、経鼻アクセスまたは**消化管瘻アクセス(胃瘻・空腸瘻・PTEGなど)**を選択します。 一般に、 施行期間が…
― 回復を支えるための“正しい選択” ― 「攻めの栄養療法」の基本原則 「攻めの栄養療法」を実践するうえでの大原則は、可能であれば経腸栄養(EN)を最優先することです。 まず、経口摂取が可能であれば食事から摂取することが基本となります。経口摂取量が不…
―「攻めの栄養」を安全に行うために― 経管栄養は有用な栄養療法ですが、適切なモニタリングと対応がなければ合併症を招く可能性があります。特に「攻めの栄養療法」を行う際には、合併症を早期に察知し、柔軟に対応する姿勢が重要です。 ここでは、代表的な…
― 適応・有用性・利点を整理する ― 経管栄養法とは **経管栄養法(tube feeding)**は、腸管が機能している場合に選択される代替栄養法です。経口摂取が困難であっても、消化・吸収能が保たれていれば適応となります。 たとえば、 嚥下困難や意識障害により…
代替栄養における“攻めの投与”という考え方 はじめに 代替栄養として経管栄養を選択する場面では、腹部症状や誤嚥性肺炎などの合併症を予防する目的で、少量の栄養を慎重に注入するケースを多く経験します。注入開始時には、合併症を回避するために少量から…
―「免疫を上げたい」時に、誰にでも使ってよいわけではない― **免疫調整経腸栄養剤(Immunonutrition)**とは、免疫増強効果が期待される栄養素を強化した経腸栄養剤です。 主に以下の栄養素が強化されています。 グルタミン アルギニン 核酸 n-3系脂肪酸 抗…
―「必要な人に、必要な期間だけ」使う栄養戦略― 各種病態に伴う代謝異常の予防・是正を目的に、栄養素の組成を調整したものを**「病態別経腸栄養剤」**と呼びます。 ただし重要な前提として、経腸栄養を受ける患者さんの9割以上は、標準的な半消化態栄養剤で…
―「どこまで消化・吸収できるか」で考える― 経腸栄養剤を選択する際に最も有用なのが、消化・吸収機能に応じた「窒素源(たんぱく質の形)」による分類です。これは「消化管がどこまで働いているか」を評価し、最小の負担で最大の栄養効果を得るための考え方…
栄養剤は、量や種類だけでなく「いつ摂るか」 が効果を左右します。食事と同時に摂取できない場合は、間食・夜食・リハ終了後など、時間をずらして摂取する工夫が有効です。 患者に合わせたタイミング調整の工夫 傾眠がある患者:覚醒が良い時間帯を選ぶ 間…
2019年9月時点で入手可能な栄養剤の例をもとに、リハビリテーション(リハ)と栄養管理をどのように組み合わせるかを整理します。 ① 総合栄養素補給型の栄養剤 ― まずは「足りていない栄養」を満たす ― 栄養摂取量が不足している場合、最優先すべきは摂取栄…
リハビリテーション(以下、リハ)を行っている患者さんでは、低栄養状態が少なくないことが知られています。そして低栄養の患者さんでは、ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)の向上が得られにくいという課題があります。 そのため、ADLの改善…
― 「減らすだけ」では解決しない ― 過栄養とは、主にエネルギー摂取過剰や活動量不足により脂肪が過剰に蓄積し、健康障害の発症リスクが高まった状態を指します。 特に注意が必要なのが サルコペニア肥満 です。単なる肥満と比べて、 ADL低下 転倒・骨折 生…