在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

クモ膜下出血後の再発

現在、クモ膜下出血の治療はカテーテルによる治療と開頭による治療があります。

私は、基本的にどちらも行えるスタンスで患者さんにお話しさせて頂いています。

その中で再発という問題もよく質問されます。

治療後の再発率は、コイリングを行ったか、クリッピングを行ったかで違います。
クリッピングの場合には再発は少なく、完全にクリップが行われた場合には年間再発率は0.02%と報告されています。
これに比べ、脳血管内手術の場合には再発することが稀ならずあります。
米国のCARAT研究では、クリッピング後の再治療は1.7%であったのに対し、コイリングでは15.7%に行われています。

これはかなり再発に関しては、カテーテルの治療は分が悪いです。
ただしコイリングの方も、治療後3年経過すれば、その後の再発は減少することが報告されています。

このためコイリングを行われた場合には、治療後最低でも3年間は定期検査が必要とされています。
クリップの場合にも、再発がゼロではないという考えから定期検査が行われることがありますが、完全な治療が行われていれば年間0.02%ですから、10年でも0.2%と極めて再発率が低いので、私自身はあまり定期的な評価を行いません。

但し、現在はデバイスの進化により更にこうした数字は変わっていくと考えてます。