在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

脳動脈瘤の破裂率

動脈瘤の年間破裂率は決して高くはありません。

但し、これを生涯の破裂率として考えると、それほど低くないなぁというのが正直な印象です。

例えば50歳の女性に動脈瘤が見つかったとすると。
女性の平均寿命は80歳後半です。つまり単純計算では余命30年以上あるはずです。
その人の動脈瘤の年間破裂率が0.5%とすると
0.5% x 30年 = 15% となり、生涯の推定破裂率は15%ということになります。
一方、もし破裂率が3%の場合には
3% x 30年 = 90% となり、生涯の推定破裂率は90%となります。
同じ人に動脈瘤があったとしても、こんなに破裂率が違うんですね。全く別の病気のようです。
現在、世界的には脳動脈瘤の年間破裂率は0.5%から1.0%と言われていますが、実はそれを規定する因子は動脈瘤の「大きさ」と「場所」であることが分かってきています。

最近では人種や多発性であるかなどで、破裂率の予測値がより細かく分かるようになりました。気になる方は→を参照して下さい(https://www.neuromind.cc/vascular/phases-score/)

動脈瘤の治療の進歩もさることながら、動脈瘤がどうなるかについても研究が進んでいます。

こうしたことを患者さんい伝えることで、安心される場合もあり、治療を決断される場合もあります。いずれにしても出来る限り分かり易く説明することが重要といつも考えてます。