在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

脳動脈瘤に対する血管内治療

 

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動脈瘤にコイル塞栓術を行っているイラスト

この図は動脈瘤を治療する為コイルを挿入しているところです。

動脈瘤という血管のコブにコイルという髪の毛より細い金属の線を充填して、血流を遮断し動脈瘤内へ血流が来ないようにしている様子です。


実際の治療は、足の付け根の大腿動脈(だいたいどうみゃく)から管を入れて行います。
その管の中にマイクロカテーテルというさらに細い管を通して、動脈瘤の中まで入れるのです。
そしてコイルを入れていけば、動脈瘤はつまってしまい、出血しなくなります。

動脈瘤の入り口の部分をネックといいます。
ネクタイのネックと同じで、「くび」という意味です。
医学的には「頚」とか「頸」という字を使い、「頚部(けいぶ)」などと言ったりします。
以前は「ネックが狭い動脈瘤はコイルによる塞栓術に適している」とされていましたが、現在では沢山のデバイスが使えるようになり、仮にネックが広くても治療可能となってきました。
もちろん、ネックが狭い方が治療手順はシンプルになり、治療する側としてはストレスは少ないのも確かです。何故ならネックの狭い方が動脈瘤の中に入れたコイルがはみ出てくることがなく、安全につめられるからです。
ネックの狭い動脈瘤では、1時間もかからず、時に30分くらいで治療が終わることもあります。

開頭の治療で、30分くらいで脳が見えてくる時間です。

やはり患者さんへの負担や予期せぬ出来事は時間が長いほど起こるのは間違いなく、こうした点も血管内治療の優位性の一つと考えてます。

もちろん治療の成否を決めるのはネックの広さだけでなく、動脈瘤にいたるまでの血管の動脈硬化や蛇行なども大事な条件です。


また後方循環と呼ばれる部位にできる動脈瘤は開頭の治療がとても難しい場所です。

しかし、血管内治療では必ずしも難しくなく、こうした場合も血管内治療を選択すべき場合です。