血管内治療における動脈瘤の治療において、治療の引き際というのはいつも迷うところです。
動脈瘤に出来る限りコイルを詰めて完全閉塞を目指せば、再破裂の確立は低くなります。
しかし、必要以上にコイルを詰めて術中破裂や塞栓性合併症(治療によって脳梗塞を起こしてしまうことです)を避けたい。
治療の辞め時の見極めは、極めて難しいと感じます。
但し、ネック(動脈瘤の根本)が少し造影されるくらいは許容されるのでは、思っていたのですが。
Neck Remnants and the Risk of Aneurysm Rupture After Endovascular Treatment With Coiling or Stent-Assisted Coiling: Much Ado About Nothing?
Neurosurgery 2019 Feb 1;84(2):421-427
コイル塞栓術を施行した1292個の脳動脈瘤を調査して、626個の脳動脈瘤に術直後の残存描出を認めた。これらのうち、13個(2.1%)が追跡期間に破裂した(平均7.3ヶ月)。13個中11個(84.6%)が破裂脳動脈瘤だった。
・コイル塞栓術後にネック残存を認めた未破裂脳動脈瘤が、実際に破裂に至るリスクは低かった(0.6%)。
・一方、ネック残存を認めた破裂脳動脈瘤症例は、再破裂の危険性が高かった(3.4%)。
動脈瘤のネック残存は破裂例では、再破裂が多いという印象です。
治療して元気に退院された患者さんが、再度クモ膜下出血で運ばれて来る。
これほど、辛い気持ちになることはありません。
何より、患者さんは再度命の危険に晒されます。今後も自問自答する課題を与えてくれた文献でした。