在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

脳卒中後のけいれん

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脳卒中後のけいれん

少し先の話ですが、けいれん×血管内治療という講演依頼があり、改めて抗痙攣剤のトピックス含め勉強し直してます。

自身、東京警察病院というてんかんの外科発症の地で勤務していたのですが、脳波読影は本当に苦手です。

日本で初めててんかんの外科を始めた元警察病院副院長 真柳先生が仰っていた

「思春期以降のけいれんは、他鑑別と慎重に検討しなさい」という言葉だけは、呪文のように覚えておりますが、、、

 

ここから少し真面目な話を

 

Bladin CF et al.

Arch Neurol. 2000の文献から

 

まず、脳卒中後の痙攣は、4-10%に起こり、AVMや脳幹梗塞、SAH、過去に痙攣の既往があることなどがリスクとなる。

【目的】

脳卒中後の痙攣の頻度や予後、危険因子を検討した。

【方法】

多施設、前向き研究

【結果】

1897症例、平均追跡期間9ヶ月

 

脳卒中後の痙攣は168例(8.9%)に認め、出血性脳卒中は28例/265例(10.6%)、虚血性脳卒中は140例/1632例(8.6%)だった。

 

出血性脳卒中脳卒中後痙攣の有意な危険因子であった(P=0.002)。

虚血性脳卒中後の痙攣の有意な危険因子は、皮質領域の脳梗塞の存在であった(P<0.01)。また、出血性脳卒中後の痙攣の危険因子も出血が皮質に存在することであった(P<0.008)。

 

虚血性脳卒中後の痙攣は有意に遅発性に起こり(P<0.001)、この傾向は出血性脳卒中には認めなかった。

 

 

【考察】

早期痙攣の原因は細胞生物化学的な機能不全のため、遅発性の痙攣はグリオーシスや瘢痕形成の増殖によるものと考えられている。

 

脳梗塞早期は脳出血早期と比べて、機能不全に陥っていない細胞が多いことの裏付けになる