在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

プレタールという薬

プレタールという薬は本邦から開発された抗血小板剤であり、この薬の第三相試験(その薬が本当に効果あるか、悪いことが起きないか実際の臨床で使用する試験です)において私もデータ処理などで関わった経験あり思い入れある薬です。その効果は、シロスタゾール(プレタール®)は抗血小板薬で、血栓をできにくくし、脳梗塞の再発を予防する薬剤です。プレタールが他の抗血小板薬と違う点は、血管壁に作用し、血管を拡張させ、脳血流を増加させる作用があります(これによってアミロイドβの排出効果があるとも言われています)。さらに、脳神経細胞内にあるCREB(cAMP応答配列結合蛋白)のリン酸化を促進させ、神経伝達を促進させ、認知機能を改善させる可能性があるといわれています。さらに、サブスタンスPという物質を増やし誤嚥性肺炎の予防効果も期待できます。しかし、いろいろな副作用があるため、処方には注意が必要です。一番多い副作用には、頻脈があります。脈拍数が100を超えるようなら中止を検討します。さらに頭痛やほてり感もあります。また、心臓の仕事量を増やすことで、狭心症心不全不整脈を悪化させることがあるため、循環器系のリスクが高い方には使えません。下肢の浮腫や胃潰瘍にも注意が必要ですし、食欲が低下する方もいるので、食欲が低下している場合には本剤の副作用を疑う必要があります。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)

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写真は逗子在住山内明徳様撮影