在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

在宅患者さんにおける痛みの治療(内服が難しくなってきたら)

患者さんの活気がなくなり、経口も難しくなってきた場合痛みをとる治療の一つとして麻薬の貼り薬があります。フェントステープはフェンタニル(麻薬)の貼付薬であり、在宅医療の現場では非常に重宝します。特に癌患者さんで、内服できなくなったが痛みが出ている方、そろそろ内服できなくなりそうな方に導入することが多いです。注意点としては貼付薬なので、湿布薬のように捉えられてしまい、他の人に渡してしまう、一度に何枚も貼ってしまうことなどが起こることもあります。また、実際にフェントステープ1mgを開封して貼ってもらうと分かるのですが、かなり小さく、高齢者が開封してしっかり貼ることは難しいと思われます。そのため導入直後は連日の訪問診療や訪問看護で正しく貼られているかを確認するとより安全です。日付と時間をテープに記載してもらう。使用済みのテープは粘着面を張り合わせてとっておいてもらうことも必要です。また、お風呂や電気毛布などで貼付部を温めるとより強く効果がでてしまうなどの注意点もあります。フェントステープ1mgは経口モルヒネの30mgに相当しますので、初回投与量としては多すぎることがあります。フェントステープの欠点としては、一度貼ってしまったら、減量の調整ができないことです。さらに切ることも禁止されています。そのためより慎重に投与するために半面貼付という方法があります。これは先にフィルムを貼っておいて、その上に半分だけかかるように貼る方法です。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)

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写真は逗子在住山内明徳様撮影