在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

排便性失神繰り替かえす高齢者について

最近の症例ですが、排便に伴い意識消失がある患者さんを施設入所中の患者さんにおいて経験しました。

排便の状況としては毎日少量ずつ出て、3~4日に1回大量に出る。便の性状は硬めで、摘便が必要なこともある。排便後に意識がもうろうとすることが月に1回くらいある。

前医の下剤の処方:

マグミット錠330mg 2錠 分2 朝夕食後
アミティーザ12μg 2C 分2 朝夕食後
リンゼス0.25mg 2錠 分1 朝食前

排便時に意識がもうろうとするメカニズムとして

排便時に気張る→血管迷走神経反射→血圧低下→意識レベル低下

ではないかと考えす。

処方はできるだけシンプルにしたいのと、また、気張らなくてもスムーズに便が出ることを目指しました。

そこで前医の処方は中止し、

モビコール配合内用剤6.8523g 4包 分2 朝夕食後 を処方しました。

すると、ほぼ毎日柔らかい便がでるようになり、意識がもうろうとすることはなくなりました。

ここ数年で、下剤は新薬が多く出てきています。それらをうまく使って、できるだけ刺激性下剤(センノシド、浣腸など)を使わないようにすべきだと思っています。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)

写真は逗子在住山内明徳様撮影