在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

入浴中の突然死~ヒートショックの本当の原因は?

ヒートショックの原因として寒い脱衣所や洗い場では交感神経が高まり、血圧上昇により心血管イベント(心筋虚血、不整脈、脳内出血)が増加するとされています。しかし、実際脱衣所や洗い場で亡くなる人はわずか(3.4%)であり、浴槽内で見つかることが圧倒的に多いのです(93.7%)。Journal of Nara Medical Association Vol.56 No.5-6 p.235-246

また剖検症例では死因として溺水が多く、虚血性心疾患や脳血管障害の所見が得らないことが多いと報告されています(黒崎久仁彦他:“入浴中急死例における死因決定 の現状と問題点”, 法医学の実際と研究,Vol.45, pp175-180, 2002.)溺水の原因として皮膚が温まり、皮膚血管が拡張し静脈還流が減少します。これに伴い血圧が低下しますが、高齢者ではこうした場合においても血圧を上昇させる代償機転が良好に働きません。いわゆる「のぼせ」です。そのため血圧が低下し、意識が朦朧とします。これに伴い身体ずり落ちて溺水することが推察されています(13園 心臓性急死研究会 東 京 都23区 内 にお け る 入 浴 中 の死 亡)。こうした溺水を防ぐためには、洗い場や脱衣所を暖めることです。温度の低い状態にて身体冷えて、熱いお風呂に長くはいり『のぼせ』の状態を避けるには、やはり洗い場や脱衣所を暖めることが重要と考えられます。

逗子、葉山、横須賀、鎌倉を撮影される山内様の写真です