医者になって最初の年に神経内科の先生が脳外科をローテーションしており、その際に色々と教えて頂くこと多かったのですが、その時に印象的な質問されました。
「パーキンソン病って認知機能障害ある?」その際に「あると思います」と答え褒められてことを記憶してます。多分、研修医の時に褒められた記憶がほぼ無いので覚えているのでしょう。ただ、その後脳外科医として日々の臨床の中で認知症の患者さんを沢山診るようになり感じたことは、何でこんなにパーキンソン類縁疾患が多いんだ、ということでした。パーキンソン症状(パーキンソニズム)は大きくは錐体外路症状と言い、脳幹部や小脳・大脳基底核領域の障害で起こる運動障害の総称となります。
錐体外路症状を引き起こす病気の多くは、変性疾患と呼ばれます。
変性疾患の代表例がパーキンソン病です。パーキンソン病は中脳黒質領域の非常に狭い範囲の神経細胞に変異タンパクが蓄積することにより生じます。
錐体外路症状を起こす変性疾患の多くは、パーキンソンに良く似た症状が出ますので、パーキンソン類縁疾患と呼ばれることが多いです。脊髄小脳変性症・多系統萎縮症(昔はオリーブ核橋小脳変性症・線条体黒質変性症などと呼ばれていました)・進行性核上麻痺など皆さんには、聞き覚えが無い難病と呼ばれる珍しい病気が多いです。
パーキンソン病で機能障害を起こす細胞はドーパミンで働きを示す細胞です。このためパーキンソン病の治療薬は、脳内のドーパミンを増やしたり、ドーパミンの働きを良くする薬が使われます。パーキンソン病でも、不要な領域のドーパミンが増え、興奮しやすくなったり妄想が活発になったりします。逆に認知症の方の興奮などを抑える抑制系の薬は、このドーパミンの働きを押さえ、パーキンソン症状を悪化することがありました。