在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

大動脈解離を見逃すな!

症例1

症例2

先月は当クリニックにて立て続けに2例大動脈解離を経験しましたので、緊急往診にて自宅で撮影したレントゲンを共有いたします。幸い2症例とも破裂前に受診、搬送し事なきを得て一安心しております。症例1の病歴は①胸を掴まれる様な感じ、②冷や汗、③喉の痛み、④嗄声で、少し非特異的ですが①疼痛の表現型が少しことなる②交感神経興奮③縦隔拡大が上方に及ぶ④反回神経麻痺?で総合すると解離を強く疑い、レントゲンに縦郭拡大あり=解離にて搬送となりました。症例2は、肩甲骨の痛みで典型的症状でありレントゲンにて下行大動脈の仮性瘤が見えます。

 

症例2はスナップで診断ですが、症例1は病歴とそうした目を持ちながらでないと見逃す可能性もあります。

 

大動脈解離を疑う3つの項目

1.突然発症の裂けるような痛み

→やはり痛みは最重要な診断病歴と考えます。

2.胸部単純レントゲンで縦隔陰影の拡大(縦隔拡大>8cm)

(臥位では上縦隔は生理的に増大してしまうので判別困難。その場合は気管分岐部レベルでの椎体中央と大動脈陰影左縁の距離が5cm以上であれば縦隔拡大陽性とする。気管分岐部レベルでは臥位でも立位でも椎体中央と大動脈陰影左縁の距離は変わらないため)

→縦隔拡大は見逃されることもあり、やはり往診初診時にコントロールの画像としてレントゲン撮るべきとも考えております。

3.左右の腕での血圧差が20mmHg以上

→これも腕頭動脈、鎖骨下動脈狭窄などで起こりがちですが左右差あり、心部症状ある場合はレントゲン評価行おうと考えます。

 

このうち2項目あれば陽性尤度比5.3。3項目満たせば陽性尤度比66です。2項目以上満たせば単純・造影CTで精査必要。1項目も満たさなければかなり否定的。

 

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大動脈解離の診断

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