医師として最初の研修年、神経内科の先生が脳外科をローテーションされていた時期がありました。
その際に多くのことを教えていただいたのですが、とりわけ印象に残っているやりとりがあります。
「パーキンソン病って認知機能障害あると思う?」
「……あると思います」
「いいね、その通り」
あまり褒められる経験がなかった研修医時代、そんな一言が強く記憶に残っています。
■ パーキンソン症候群が多いと感じた臨床経験
その後、脳神経外科医として多くの認知症の患者さんを診る中で、
「なぜこんなにパーキンソンに似た症状(パーキンソニズム)の方が多いのか?」と感じるようになりました。
パーキンソニズムとは、「錐体外路症状」と呼ばれる運動障害の一種で、
脳幹・小脳・大脳基底核などの異常で起こります。
■ 錐体外路症状と変性疾患
この錐体外路症状を引き起こす疾患の多くは「変性疾患」に分類されます。
代表例が パーキンソン病。
これは中脳の「黒質」という非常に小さな領域に、異常なタンパク質が蓄積し、
ドーパミンを分泌する神経細胞が障害を受ける病気です。
■ パーキンソン類縁疾患とは?
パーキンソン病とよく似た症状を呈する他の疾患を総称して「パーキンソン類縁疾患」と呼びます。
これには以下のような疾患が含まれます。
いずれも「指定難病」とされる希少疾患で、パーキンソン病とは異なる病理を持ちつつ、
運動障害や認知障害をきたす点で類似しています。
■ パーキンソン病と薬物の影響
パーキンソン病の治療は、ドーパミン系の機能を補うことが基本です。
そのため、ドーパミンを補充・活性化する薬(L-ドーパやドパミンアゴニストなど)が使われます。
しかし、ドーパミンは過剰に作用すると幻覚や妄想を引き起こすこともあり、
認知症がある高齢者では注意が必要です。
一方、認知症の「興奮」や「妄想」などを抑えるために使われる抗精神病薬は、
ドーパミンの働きを抑制してしまうため、パーキンソン症状を悪化させる可能性もあります。
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