在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

パーキンソン病と認知症の関係 〜若手時代の気づきと臨床経験から〜

画像が生成されました医師として最初の研修年、神経内科の先生が脳外科をローテーションされていた時期がありました。
その際に多くのことを教えていただいたのですが、とりわけ印象に残っているやりとりがあります。

パーキンソン病って認知機能障害あると思う?」
「……あると思います」
「いいね、その通り」

あまり褒められる経験がなかった研修医時代、そんな一言が強く記憶に残っています。


パーキンソン症候群が多いと感じた臨床経験

その後、脳神経外科医として多くの認知症の患者さんを診る中で、
なぜこんなにパーキンソンに似た症状(パーキンソニズム)の方が多いのか?」と感じるようになりました。

パーキンソニズムとは、「錐体外路症状」と呼ばれる運動障害の一種で、
脳幹・小脳・大脳基底核などの異常で起こります。


錐体外路症状と変性疾患

この錐体外路症状を引き起こす疾患の多くは「変性疾患」に分類されます。
代表例が パーキンソン病
これは中脳の「黒質」という非常に小さな領域に、異常なタンパク質が蓄積し、
ドーパミンを分泌する神経細胞が障害を受ける病気です。


■ パーキンソン類縁疾患とは?

パーキンソン病とよく似た症状を呈する他の疾患を総称して「パーキンソン類縁疾患」と呼びます。
これには以下のような疾患が含まれます。

  • 多系統萎縮症(MSA)
     ※かつて「線条体黒質変性症」や「オリーブ橋小脳変性症」とも呼ばれていました

  • 進行性核上性麻痺(PSP

  • 脊髄小脳変性症(SCD)

いずれも「指定難病」とされる希少疾患で、パーキンソン病とは異なる病理を持ちつつ、
運動障害や認知障害をきたす点で類似しています。


パーキンソン病と薬物の影響

パーキンソン病の治療は、ドーパミン系の機能を補うことが基本です。
そのため、ドーパミンを補充・活性化する薬(L-ドーパやドパミンアゴニストなど)が使われます。

しかし、ドーパミン過剰に作用すると幻覚や妄想を引き起こすこともあり、
認知症がある高齢者では注意が必要です。

一方、認知症の「興奮」や「妄想」などを抑えるために使われる抗精神病薬は、
ドーパミンの働きを抑制してしまうため、パーキンソン症状を悪化させる可能性もあります。


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