在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

パーキンソン病を科学する3ー②~ミトコンドリアの異常がカギ?

パーキンソン病とPINK1・Parkin遺伝子の関係とは

パーキンソン病は、脳内のドパミン神経細胞が徐々に減少していくことで、手のふるえ(振戦)や動作緩慢、筋固縮などの症状が現れる神経変性疾患です。

この病気の原因のひとつとして、ミトコンドリアの機能異常に注目が集まっています。

🔍 遺伝子異常が引き起こすミトコンドリアのトラブル

近年の研究では、PINK1 や Parkin といった遺伝子の異常が、家族性パーキンソン病の発症に深く関与していることがわかってきました。

これらの遺伝子は、細胞内で**ミトコンドリアの品質管理(マイトファジー)**を担う重要な役割を果たしています。異常があると、壊れたミトコンドリアが適切に除去されず、神経細胞にとって有害な状態が続きます。

特に、酸素を使ってエネルギーを生み出す役割をもつミトコンドリアが障害されると、代謝に敏感なドパミン神経細胞がダメージを受けやすくなります。

🧠 ミトコンドリア仮説とは?

このように、PINK1・Parkinの異常によってミトコンドリア機能が損なわれ、最終的にドパミン神経が傷害されることが、**「ミトコンドリア仮説」**と呼ばれる病因メカニズムの核心です。

つまり、「ミトコンドリアの異常が、パーキンソン病を引き起こす主要因になり得る」という考え方です。

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