在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

【がん患者さんへの頻回訪問】「声をかける」ことの大きな力

在宅医療の現場では、がん患者さんに対してどれくらいの頻度で訪問するべきか、よく話題になります。
実はこのテーマに関して、看護師による定期的なモニタリングが倦怠感を緩和するという注目すべき研究があります。


🔍 看護師によるモニタリングが倦怠感を緩和

引用文献:
Systematic monitoring and treatment of physical symptoms to alleviate fatigue in patients with advanced cancer: a randomized controlled trial.
J Clin Oncol. 2013;31:716–723.

この研究では、倦怠感を有する進行がん患者152名を対象に、以下のような比較が行われました:

内容
介入群 看護師による定期的な身体症状のモニタリング
対照群 通常のケア

注目すべきは、看護師は倦怠感そのものをターゲットにはしていなかったにもかかわらず、モニタリングを受けた群では、倦怠感が有意に改善したという結果です。


💡 声かけと関心が、患者さんを支える

この研究での介入は看護師でしたが、私自身は「誰がモニタリングをするか」はそれほど重要ではないと考えています。

  • 医師

  • 看護師

  • 薬剤師

  • ヘルパー

  • 訪問入浴スタッフ

  • リハビリスタッフ

こうした多職種が頻回に訪問し、「調子どうですか?」と声をかけるだけでも、患者さんの倦怠感や不安の軽減につながる可能性があります。


🏠 在宅だからこそ、できること

在宅医療では、病院と違ってきめ細かな関わりが可能です。
「病院では忙しくて十分に話せなかったけれど、在宅になってからは毎日誰かが様子を見に来てくれて安心できた」
そんなお言葉をいただくことも少なくありません。

倦怠感だけでなく、**頻回な訪問が生命予後にさえ良い影響を及ぼす可能性もあるのでは?**と感じながら、日々診療にあたっています。


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