在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

「むくみ」の原因、薬のせいかもしれません

~下腿浮腫を引き起こす意外な処方薬とは~

むくみ(浮腫)は、心不全・腎不全・低栄養などの内科的な原因で起こることが多いですが、実は整形外科などで処方される一部の薬が関与していることもあります。

今回は、在宅診療の現場でもよく見かける「薬によるむくみ」について、特に下腿浮腫の原因となる代表的な薬剤を3つご紹介します。


リリカ(プレガバリン)

  • 神経障害性疼痛などに用いられる薬です。

  • 副作用としてめまい・傾眠が有名ですが、実は「むくみ(浮腫)」も重要な副作用。

  • 浮腫の発生率は11〜19%とされ、まれに心不全の増悪因子にもなりうるため、慎重な経過観察が必要です。


NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)

  • 痛み止めとして広く使われる薬ですが、体内のナトリウム貯留作用があり、これによって浮腫を引き起こすことがあります

  • 高齢者では腎機能低下や心不全を悪化させる要因ともなるため、「なんとなく」の漫然投与は避けるべきです。


芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

  • こむら返りによく処方される漢方薬です。

  • 成分の一つである「甘草(かんぞう)」は、偽性アルドステロン症を引き起こし、むくみや高血圧、低カリウム血症を招くことがあります。

  • 特に芍薬甘草湯は甘草の含有量が多く、添付文書どおり1日3包投与はリスクが高いため、就寝前1包や頓用での使用が安全です。


🏠 在宅医療でのむくみ対策にも

むくみの背景には、病気だけでなく「薬そのもの」が関与しているケースもあります。在宅医療では、全身状態だけでなく、処方薬の副作用にも常に目を向ける必要があります


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現場の経験をもとに、薬剤の使い方・副作用の見抜き方も丁寧に解説しています。


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執筆:内田賢一|さくら在宅クリニック 院長