在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

創傷ケア(スキン テア、褥瘡、下肢潰瘍)を科学する27創傷ケア(スキン テア、褥瘡、下肢潰瘍)を科学する27~どう見極める?「下肢潰瘍」の病態評価と検査方法

画像が生成されました足にできた潰瘍(ただれ)がなかなか治らない…。その背景には、糖尿病、動脈硬化、静脈瘤、神経障害などさまざまな病態が関与している可能性があります。正確な診断と適切な治療方針を立てるためには、原因を特定するための評価と検査が重要です。


✅ 1. 動脈血流を調べる検査

🔹 ABI(足関節上腕血圧比)

  • 正常値:0.9〜1.3

  • 0.9未満は下肢虚血を示唆

  • 0.4未満は**重症下肢虚血(CLI)**の可能性

  • 1.3以上は血管の石灰化による影響を疑う

🔹 TBI(足趾上腕血圧比)

  • 慢性腎不全や透析患者など高度石灰化でABIが信頼できない場合に有用

  • 正常値:0.7〜1.0

🔹 SPP(皮膚灌流圧)

  • 血行再建やデブリードマンの判断に重要

  • SPP ≥ 40mmHg → 創傷治癒可能

  • SPP < 40mmHg → 外科的処置前に血行再建を要検討


✅ 2. 静脈還流を調べる検査

🔹 下肢静脈エコー(超音波断層+ドプラー法)

  • 静脈の閉塞・逆流の有無を評価

  • 静脈性下腿潰瘍の原因検索の第一選択

  • 非侵襲的かつベッドサイドで簡便に実施可能


✅ 3. 知覚神経障害を調べる検査

🔹 モノフィラメントテスト(5.07)

  • 足底に圧刺激を与え、感覚低下の有無を判定

  • 1秒間当てて「感じない」→ 末梢神経障害あり

🔹 振動覚検査

  • 128Hzの音叉を内果(内くるぶし)に当てて振動を感じる時間を測定

  • 10秒以下で「振動覚低下」の可能性あり(若年者基準)


📊 評価項目のまとめ:下肢潰瘍の鑑別ポイント

評価項目 糖尿病性潰瘍(神経障害) 動脈性潰瘍(虚血) 静脈性潰瘍(うっ滞)
好発部位 足底・趾先(荷重部) 足趾先・外側 内果周囲
深さ・形状 深部まで進行しやすい シャープで深い潰瘍 表在性で不整形
滲出液 感染時に悪臭を伴う 少量 多量、黄白色で臭いあり
周囲皮膚の温度 温かい 冷感 浮腫に伴い温かい
感染リスク 起こりやすい 比較的起こりにくい 頻発しやすい
関連疾患・所見 神経障害、変形、白癬 PAD、腎不全、冷感 静脈瘤、色素沈着、浮腫

🏠 在宅医療における下肢潰瘍評価の重要性

在宅では以下の観点で医師・看護師・療法士が連携することが重要です:

  • 潰瘍の病態分類(神経性・虚血性・うっ滞性)

  • 血流評価(SPP, ABI, TBIなど)

  • 視診による色調・浮腫・変形・痛みの確認

  • 感染兆候(発赤、熱感、悪臭滲出液)

  • 足部ケア(爪切り、足浴、靴選び)


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