在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

高齢者の「転倒+股関節痛」でまず疑うべきこと

 


大腿骨近位部骨折の診断と治療の基本


✅ はじめに

大腿骨近位部骨折は、高齢者に最も多い転倒によるケガのひとつです。見逃すと寝たきりや合併症の原因となり、ADL(日常生活動作)や生命予後に大きく影響します。

本記事では、超高齢社会を支える皆さんのために、診断から治療、そして退院支援までの基本を、スライドとともに解説します。


1. 🔍どんなときに疑う?

  • 転倒後、股関節の痛みで立てない・動けない

  • 足が外側にねじれ短く見える(短縮・外旋)

これが出たら、まず「大腿骨近位部骨折」を疑うべきサインです。


2. 📝診察所見とカルテ記載のコツ

実際の記載例はこちら:

  • 下肢:見かけ上、短縮・外旋

  • スカルパ三角:圧痛あり

  • 大転子部:圧痛あり

  • 自動下肢挙上:不可能

  • 股関節の他動:強い痛みあり

  • 足背動脈:触知あり

  • 足関節背屈:可能

👉 このような所見があれば、すぐにX線検査へ!


3. 🖼診断に必要な画像検査

  • 基本はX線(両股関節・正面と軸位)

  • 明らかな骨折が見えなくても、痛みが強ければCTやMRIも追加を検討


4. 👵高齢者ならではの背景確認ポイント

確認すべき項目 内容例
既往歴 心疾患、骨粗鬆症など
服薬歴 抗凝固薬や抗血小板薬の有無
生活環境 独居か同居か?支援者の有無
転倒前のADL 自立して歩行できていたか?
介護保険 要介護認定の有無とその程度
認知機能 認知症の有無・程度

👉 生活背景の把握は、治療方針・退院支援に直結します!


5. 🦴骨折部位の解剖と分類

  • 骨頭

  • 頸部(Garden分類で細分類)

  • 転子部(大転子・小転子)

  • 転子下部

👉 どこで折れたかによって、治療法や血流リスクが異なります。


6. 🩺Garden分類と治療方針

Garden分類 特徴 治療法の選択
Stage I・II 非転位型 骨接合術(ネジやピンで固定)
Stage III・IV 転位型 人工骨頭置換術が多い

👉 転位の有無が術式や予後を決める重要ポイントです!


7. 🔧治療の基本方針

  • 基本は早期手術

    • 合併症(肺炎、褥瘡、血栓)を防ぎ、早期リハビリへつなげる

  • ただし、全身状態が悪く麻酔が難しい場合は保存療法も選択肢


8. 🖼画像で学ぶ:転位のない骨折

  • X線で明らかな転位がなくても、
    👉 「症状が強い」=骨折の可能性あり!

  • 見逃さないために、慎重な読影が必要です。


9. 🖼画像で学ぶ:転位のある骨折

  • 骨頭と骨幹の連続性が断たれている

  • Garden分類ではStage III〜IVに相当

👉 人工骨頭置換術が第一選択となることが多いケースです。


10. 🔩大腿骨転子部骨折とは?

  • 骨幹に近い部位の骨折で、血流が比較的保たれやすい

  • 治療法:骨接合術(プレート・髄内釘)

  • 骨癒合しやすいため、
    👉 早期荷重開始・リハビリが鍵!


11. 🛏術後の注意点

  • 原則、術後すぐに離床・全荷重OK

  • 人工骨頭置換術では、脱臼に要注意!

特に後方アプローチの場合は、股関節屈曲+内転+内旋で脱臼リスクが高まります。ポジショニングに注意を。


12. 🎯まとめ:診療の要点

「転倒+股関節痛」=まず骨折を疑う
✅ 身体所見+X線+社会背景をしっかり確認
✅ 手術が原則。ただし、個別の事情で保存療法も
✅ Garden分類など解剖を理解し、治療方針を選択
✅ 術後は早期リハビリと脱臼予防が重要!


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