在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する23~末梢静脈カテーテル留置のための基礎知識

末梢静脈カテーテル(PIVC)は臨床現場で広く用いられる処置ですが、安全で確実に行うためには血管の解剖や穿刺部位の選択ポイントを理解しておく必要があります。ここでは前腕の解剖を中心に解説します(図2)。


① 前腕の静脈の解剖

末梢静脈カテーテル留置に適しているのは前腕の表在静脈で、代表的な血管は次の3つです。

  • a:橈側皮静脈

  • b:前腕正中皮静脈

  • c:尺側皮静脈

カテーテルを留置する際は、

  • 神経損傷のリスクが少ない

  • 関節可動の影響を受けにくい
    部位を選びます。

さらにエコーを用いて血管の深さや血管径をアセスメントし、適切な穿刺部位を決定することが推奨されます。


② 穿刺部位選択の注意点

解剖学的特徴を理解したうえで、以下の点に注意が必要です。

  • 橈側皮静脈(a)
    手関節に近い部位は神経走行が近接しているため、穿刺は避けるのが望ましいです。また、関節に近いとカテーテルが血管壁を刺激しやすく、留置後の合併症リスクが高まります。

  • 尺側皮静脈(c)
    腕をねじった姿勢で穿刺することが多いため、固定時は良肢位に戻した状態でエコーを使い、カテーテル先端の位置を確認してから固定することが重要です。


③ 前腕血管の観察方法

前腕の表在血管を対象とする場合、高周波リニア型プローブを使用します。

  • 短軸像:血管は無エコー域(黒く抜けて見える円形)として描出されます。

  • その周囲との位置関係を把握することで、神経や動脈を避け、安全に穿刺できる部位を特定できます。


まとめ

末梢静脈カテーテル留置では、解剖の理解とエコーを活用した血管評価が安全性を大きく高めます。

  • 神経損傷リスクを避ける

  • 関節可動による影響を減らす

  • 留置後トラブルを予防する

これらを意識して、確実な穿刺・留置を実践することが大切です。