在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

在宅医療における認知症について26~リバスチグミン(イクセロン®パッチ)とは?

画像が生成されましたアルツハイマー認知症の治療薬の一つに リバスチグミン があります。現在、日本では貼付剤(パッチ)のみが使用できます。

作用機序と特徴

つまり「ドネペジルと比べて作用機序が優れている」とは必ずしも言えないのです。

経口薬ではなくパッチになった理由

海外ではカプセルも販売されていますが、日本では開発中止になりました。

  • 第Ⅰ相試験で嘔吐が多く出現し、重篤な副作用(誤嚥性肺炎による死亡)も報告されたためです。

  • そのため、日本では パッチ製剤のみ承認 されています。

👉 よく「リバスチグミンは副作用が少ない」と誤解されますが、これは カプセルと比べてパッチの方が消化器症状が少ない という意味です。
ドネペジルなど他の抗認知症薬と比べて副作用が少ないという根拠はありません。

臨床試験の結果

国内では「1301試験」と呼ばれる二重盲検試験が行われました。

結果

  • 認知機能検査(ADAS-cog):18mg/日群のみ有意差あり

  • 全般的臨床評価(CIBIC-plus):どの群も有意差なし

つまり「認知機能検査のスコア改善はあったが、日常生活全般の改善は証明できなかった」という微妙な結果でした。

 

PMDA(医薬品医療機器総合機構)の判断

  • 「認知機能のわずかな改善効果は確認されたが、臨床的に意味があるとは言い難い」

  • 「ただし日本ではドネペジルしか選択肢がなかったため、治療の幅を広げる目的で承認」

最終的に承認はされましたが、「効果は限定的である」という前提で使用するべき薬とされています。

教訓

  1. 作用機序がユニークでも臨床効果につながるとは限らない

  2. 少量(9mg/日)は無効、使うなら十分量(18mg/日)が必要

  3. ADAS-cogの点数差(平均1〜2点程度)は臨床的に意味があるとは言えない

まとめ

  • リバスチグミンは「飲み薬ではなく貼り薬」という特徴があり、内服が難しい方にとって有用な選択肢です。

  • ただし、他の抗認知症薬より優れているわけではなく、効果も限定的。

  • 「効く薬」ではなく「選択肢の一つ」として位置づけるのが妥当です。

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