在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

在宅医療における認知症について27~メマンチン(メマリー®)とは?

画像が生成されましたアルツハイマー認知症の治療薬の一つに メマンチン があります。中等度~高度の患者さんに使われるお薬で、ドネペジルなどのコリンエステラーゼ阻害薬とは作用機序が異なるのが特徴です。


作用の仕組み

  • メマンチンは NMDA受容体拮抗薬 で、脳内のグルタミン酸の過剰な働きを抑え、神経細胞の障害を防ぐことが期待されています。

  • ドネペジルと違って、消化器症状(食欲不振、吐き気、下痢など)が少ないのも特徴です。


国内治験の結果

第Ⅱ相試験(IE2101試験)

  • 10mg群:効果なし

  • 20mg群:認知機能検査(SIB)では改善を認めたが、日常生活動作(ADL)や全般的臨床症状評価(CIBIC-plus)では差が出なかった

第Ⅲ相試験(IE3501試験)

  • 20mg群:認知機能(SIB)は改善

  • しかし全般的臨床症状(CIBIC-plus)はプラセボとの差なし

👉 結論:どちらの試験も「認知機能のスコアは改善するが、日常生活全般の改善は証明できなかった」


PMDA(医薬品医療機器総合機構)の判断

  • 国内試験だけでは有効性を示せたとは言い難い

  • ただし、海外試験では有効性が確認されており、標準治療薬として位置づけられている

  • 日本ではドネペジル以外の選択肢がなかったため、治療の幅を広げる目的で承認


教訓と臨床での位置づけ

  1. 少量(10mg/日)は無効
    → 効果を出すなら20mg/日が必須。

  2. 効果判定は難しい
    → 半年間飲んで「SIB 4.5点分の改善」ですが、これが実臨床で意味があるかは疑問。

  3. 併用効果は不明瞭
    → ドネペジルと併用しても効果がはっきりしませんでした。


まとめ

  • メマンチンは「ドネペジルと作用機序が違う薬」で、消化器系の副作用が少ないのが利点。

  • ただし臨床試験では「認知機能のスコア改善は確認されたが、日常生活や全般的症状の改善は証明されていない」という 限定的な効果 しか示されませんでした。

  • それでも「選択肢が限られている日本の現場」で承認され、現在も中等度~高度のアルツハイマー病患者さんに使われています。

  • 第一選択薬というよりは、「ドネペジルが使えない場合」や「副作用の少なさを重視する場合」に検討される薬と考えるのが妥当です

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