アルツハイマー型認知症の治療薬の一つに メマンチン があります。中等度~高度の患者さんに使われるお薬で、ドネペジルなどのコリンエステラーゼ阻害薬とは作用機序が異なるのが特徴です。
作用の仕組み
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メマンチンは NMDA受容体拮抗薬 で、脳内のグルタミン酸の過剰な働きを抑え、神経細胞の障害を防ぐことが期待されています。
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ドネペジルと違って、消化器症状(食欲不振、吐き気、下痢など)が少ないのも特徴です。
国内治験の結果
第Ⅱ相試験(IE2101試験)
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10mg群:効果なし
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20mg群:認知機能検査(SIB)では改善を認めたが、日常生活動作(ADL)や全般的臨床症状評価(CIBIC-plus)では差が出なかった
第Ⅲ相試験(IE3501試験)
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20mg群:認知機能(SIB)は改善
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しかし全般的臨床症状(CIBIC-plus)はプラセボとの差なし
👉 結論:どちらの試験も「認知機能のスコアは改善するが、日常生活全般の改善は証明できなかった」
PMDA(医薬品医療機器総合機構)の判断
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国内試験だけでは有効性を示せたとは言い難い
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ただし、海外試験では有効性が確認されており、標準治療薬として位置づけられている
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日本ではドネペジル以外の選択肢がなかったため、治療の幅を広げる目的で承認
教訓と臨床での位置づけ
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少量(10mg/日)は無効
→ 効果を出すなら20mg/日が必須。 -
効果判定は難しい
→ 半年間飲んで「SIB 4.5点分の改善」ですが、これが実臨床で意味があるかは疑問。 -
併用効果は不明瞭
→ ドネペジルと併用しても効果がはっきりしませんでした。