スイッチングは有効か?
系統的レビューによると、最初に使ったコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンなど)が無効だった場合や副作用で中止した場合、別の薬剤にスイッチすると「効く」「副作用が少ない」可能性があります。
ただし、数年経過して効果が切れてきたからスイッチするケースではエビデンスは乏しく、推奨されません。
スイッチングの実践的基準
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副作用が原因 → 副作用が完全に消えるまで次の薬は開始しない
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無効が原因 → 一夜で切り替えてよい
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長期使用後の効果消失 → スイッチは推奨されない
よくある副作用と注意点
コリンエステラーゼ阻害薬は副交感神経を刺激するため、以下の副作用が出やすいです。
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悪心・嘔吐
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下痢
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めまい
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不眠
さらに、徐脈や失神にも注意が必要です。
メマンチンは安全?
「NMDA受容体拮抗薬であるメマンチンなら安心」とは言えません。
フランスの薬剤監視データでは、ドネペジル・メマンチンともに徐脈やけいれんなどの重篤な副作用が報告されています。
👉 徐脈性不整脈やてんかんの既往がある方には、どちらの薬も慎重投与が必要です。
効果判定はどうする?
「効いているかどうか」を本人や家族の印象だけで判断するのは危険です。多くのRCTでは全般的臨床症状評価(CIBIC-plusなど)でプラセボとの差がなかったためです。
現実的な方法は MMSE
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ADAS-cogやSIBは本来の治験評価尺度ですが、実施に1時間かかり日常診療には不向き。
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MMSEなら10分程度で済み、自然経過のデータも豊富。
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アルツハイマー病・DLBともに、1年に3~4点低下が自然経過。
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半年で4点以上の低下 → 薬効なし → 変更/中止検討
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ほぼ変わらない → 継続可
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改善 → 診断の再検討も必要だが、とりあえず継続で問題なし
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実施のコツ
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毎回同じ条件・同じ検査者で行う
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主治医自身がやるのがベスト(家族が検査場面を見て納得しやすい)
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半年に1回のMMSEで最小限の効果判定は可能