厚生労働省の「安心と希望の介護ビジョン」検討会で、有識者から BPSD(認知症の行動・心理症状)悪化の主な要因 として以下の3つが挙げられました。
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薬剤(37.7%)
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身体合併症(23.0%)
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家族・介護環境(10.7%)
つまり、最も大きな悪化要因は 薬剤=処方薬 です。
薬は医師の処方がなければ手に入りませんから、言い換えれば「医者が悪い」と言わざるを得ない現実があります。アルコールの影響を除外したあとは、まず 減薬を最優先 に検討すべきなのです。
BPSDを悪化させやすい薬
精神症状を悪化させる代表的な薬は、いわゆる「薬剤起因性老年症候群」を引き起こす薬です。
これらはいずれも 認知機能低下やせん妄を誘発 し、結果的にBPSDを悪化させる要因になります。真っ先に見直すべき薬です。
抗認知症薬の副作用にも注意
意外かもしれませんが、抗認知症薬そのものも精神症状を悪化させることがあります。
添付文書には、以下の副作用が明記されています。
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興奮、不穏、不眠、易怒性
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幻覚、攻撃性、せん妄、妄想
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激越、錯乱、抑うつ など
特にリバスチグミンでは「幻覚や錯乱が出たら中止すべき」と明記されており、メマンチンでも同様です。
厚労省やPMDA(医薬品医療機器総合機構)に報告されている症例の中には、抗認知症薬を被疑薬とする 身体的暴行や殺人事件 まで含まれています。もちろん薬単独の作用とは限りませんが、少なくとも「薬がきっかけで凶暴化した可能性」を否定できません。
処方を見直す勇気
抗認知症薬を中止すると「効果が失われるのでは」と心配されるかもしれません。
しかし実際の薬効はわずかであり、安全を優先して減薬・中止することが妥当なケースも少なくありません。
「薬が症状を悪化させていないか?」
この視点を常に持ち、勇気をもって処方を見直すことが、患者さんと家族の安心につながります。
まとめ
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BPSD悪化の最大要因は「薬剤」
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抗認知症薬も副作用で精神症状を悪化させることがある
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安全のためには「徹底的に減薬」を優先する姿勢が重要
認知症ケアにおいては「薬を増やすより減らす」が原則です。
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