在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する40~末梢神経ブロック持続カテーテル管理の実際

画像が生成されました末梢神経ブロックで持続的な鎮痛が必要な場合、カテーテルを神経周囲や筋膜面に留置します。エコーの活用により安全性は向上しましたが、管理にはいくつかの注意点があります。


カテーテル留置と確認

  • 留置部位:神経周囲や筋膜面

  • 長期留置:刺入部を糸で固定することもある

  • 確認方法:エコーでカテーテル全体を描出するのは困難なため、薬液を注入し、

    • 薬液の広がり

    • 周囲組織の動き
      を確認して先端位置を把握します。


管理の基本

  • 麻酔科回診時に 消毒・留置長の確認・固定テープの貼り替え を行う

  • 入浴やMRI検査時は、フィルターを残して一時的にカテーテルを外すことが可能

  • 入浴時は ラップで刺入部を防水保護 することが推奨されます


注意すべき合併症

1. 局所麻酔薬中毒(LAST: Local Anesthetic Systemic Toxicity)

  • 投与量が多くなるため発症リスクあり

  • 初期症状:舌のしびれ、不穏感

  • 重篤例:けいれん、血圧低下、不整脈、心停止

  • 対応:基本的な心肺蘇生法に加え、脂肪乳剤(イントラリポス®)投与 が有効とされ、手術室やICUで準備されています

2. 感染

  • 刺入部の発赤・腫脹・圧痛 → 感染や血腫を疑い抜去

  • 採血による炎症反応の確認も有用

3. カテーテルのずれ

  • 位置が変わると鎮痛効果が減弱し、患者が頻回に痛みを訴えるようになります

  • エコーで先端を再確認し、必要であれば入れ替えを行います


まとめ

  • エコーでの薬液広がり確認カテーテル位置判断の基本

  • 感染・ずれ・中毒 への早期対応が安全な管理の鍵

  • 持続的な鎮痛効果を得るには、日常の細やかな観察とケアが重要

末梢神経ブロックは、術後鎮痛や慢性痛管理において強力な手段ですが、持続カテーテルを安全に管理することがチーム医療の大切な役割といえます。


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#末梢神経ブロック #カテーテル管理 #エコー #看護師技術 #安全な鎮痛