身体疾患・薬剤・飲酒などを除外しても改善しない場合は、うつ病治療に進みます。
高齢者(65歳以上)ではベンゾジアゼピン受容体作動薬に頼らず、**“脳の休息=質の高い自然な睡眠”**を最優先に整えることが基本です。
ポイント:脳の休息は「たくさん横になる」ことではありません。
夜に深く眠るために、日中は体をしっかり動かすことがむしろ大切です。
65歳以上向け・睡眠衛生の具体的指導
運動
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1日30分以上の歩行を週5日以上。午後〜夕方の軽い運動も◎。
食生活
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朝食を必ず(概日リズムを整え、不眠の訴えが減少)。
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アルコールは断酒:睡眠効率を確実に低下させ、夜間覚醒を増やします。
カフェイン
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コーヒー・玉露・煎茶・紅茶・ウーロン茶・ほうじ茶・玄米茶などは夕方以降は避ける。
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個人差が大きいので、反応が強い人は終日カフェイン抜きも検討。
喫煙
睡眠時間の目安
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65歳の平均睡眠は約6時間。「8〜9時間」にこだわる必要なし。
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日中の眠気がなければ足りていると説明。
入眠困難時の対応
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30分以上眠れなければ一度ベッドを離れる(眠れない床上時間を減らす)。
寝室環境
起床・就床のコツ
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起床直後に日光を浴びる → 15〜16時間後に自然な眠気。
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起床時刻は毎日一定に、可能ならやや早起き。
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「眠くなってから」床に入る(不必要に長い就床は中途覚醒を招く)。
既往歴の確認と説明
生活支援の具体策(在宅医療で効く)
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断酒指導を繰り返し(どうしても止められない場合は保健所・精神保健福祉センターへ家族と相談)。
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介護負担が強い:介護保険の申請やサービス調整を提案。
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引きこもり・不活発:デイサービス/デイケア、通所リハの活用。
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昼間やることがない:シルバー人材センターや**地域サークル(囲碁・将棋、百歳体操、カラオケ、合唱、公民館講座、ボランティア)**などを紹介。
薬物療法の考え方(高齢者版)
処方の原則
まず睡眠衛生と生活再構築(断酒・運動・日光・社会参加)。
抗コリン負荷の強い薬は避ける。
安全性を最優先し、小さく始めて丁寧に経過観察。
受診目安・専門紹介のタイミング
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転倒後からの性格変化・物忘れ・頭痛・傾眠 → 頭部CT/MRI(慢性硬膜下血腫を除外)。
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**薬剤(ベンゾ系、スボレキサント、ステロイド、IFN、抗認知症薬)**の関与が疑わしい → 減量・中止を計画(処方医と連携)。
まとめ
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高齢者のうつ治療は**「脳を休める=良い眠り」を中心に**。
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日中活動を増やし、夜の睡眠を深くする指導が最優先。
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薬は安全性を最優先し、抗コリン性負荷の高い薬は避ける。
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経過で認知機能が悪化するなら認知症として再評価。
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