
① IVCの太さから循環状態を読み解く
下大静脈(IVC:Inferior Vena Cava)の観察は、うっ血性心不全のスクリーニングに有用です。
IVCは右房圧を反映する血管であり、呼吸に合わせて径が変化します。吸気時には陰圧により血液が右房に引き込まれ、径が細くなり、呼気時には膨らみます。
この呼吸性変動が小さい、あるいは消失している場合には、右房圧上昇=うっ血を疑います。
循環動態が不安定な患者では、まずこのIVCの動きを確認することが重要です。
② 測定方法:右房入口から約2cmの位置で
IVC径は**吸気時(最小径)と呼気時(最大径)**を測定します。
図のように、肝臓をランドマークとして右房入口部から約2cmの位置で計測します(図8参照)。
基本的には長軸像での観察が推奨されますが、描出が難しい場合には短軸像での確認も可能です。
このとき、右房との連続性を意識しながら、径の変化を観察しましょう。
③ 評価の目安:うっ血 or 脱水のサイン
| IVC径と呼吸性変動 | 推定される状態 |
|---|---|
| 20mm以下で呼吸性変動あり | 正常 |
| 20mm以上で呼吸性変動なし | うっ血性心不全を疑う |
| 10mm以下または虚脱し測定困難 | 脱水・低容量状態を疑う |
IVCは輸液・利尿薬投与の方針判断にも役立ちます。
LVEFが保たれていても心不全は否定できません。
血行動態の視点から、必ずIVCも観察しましょう。
🩺 ポイントまとめ
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右房入口から2cmの位置でIVC径を測定
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吸気・呼気の差(呼吸性変動)に注目
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太く変動が乏しい → うっ血を疑う
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細く虚脱気味 → 脱水を疑う