在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する55~血行動態の評価:IVC(下大静脈)の観察ポイント


画像が生成されました① IVCの太さから循環状態を読み解く

下大静脈(IVC:Inferior Vena Cava)の観察は、うっ血性心不全のスクリーニングに有用です。
IVCは右房圧を反映する血管であり、呼吸に合わせて径が変化します。吸気時には陰圧により血液が右房に引き込まれ、径が細くなり、呼気時には膨らみます。

この呼吸性変動が小さい、あるいは消失している場合には、右房圧上昇=うっ血を疑います。
循環動態が不安定な患者では、まずこのIVCの動きを確認することが重要です。


② 測定方法:右房入口から約2cmの位置で

IVC径は**吸気時(最小径)呼気時(最大径)**を測定します。
図のように、肝臓をランドマークとして右房入口部から約2cmの位置で計測します(図8参照)。

基本的には長軸像での観察が推奨されますが、描出が難しい場合には短軸像での確認も可能です。
このとき、右房との連続性を意識しながら、径の変化を観察しましょう。


③ 評価の目安:うっ血 or 脱水のサイン

IVC径と呼吸性変動 推定される状態
20mm以下で呼吸性変動あり 正常
20mm以上で呼吸性変動なし うっ血性心不全を疑う
10mm以下または虚脱し測定困難 脱水・低容量状態を疑う

IVCは輸液・利尿薬投与の方針判断にも役立ちます。
LVEFが保たれていても心不全は否定できません。
血行動態の視点から、必ずIVCも観察しましょう。


🩺 ポイントまとめ

  • 右房入口から2cmの位置でIVC径を測定

  • 吸気・呼気の差(呼吸性変動)に注目

  • 太く変動が乏しい → うっ血を疑う

  • 細く虚脱気味 → 脱水を疑う