在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

攻めの栄養療法を科学する⑩~【攻めの栄養療法の重要性】

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― 高齢者の経口摂取を守るために ―

■ はじめに

日本では急速な高齢化に伴い、要介護高齢者の数が増え続けています。
要介護となる主な原因として、

などが挙げられ、これらの患者さんの多くは 低栄養 を合併しています。

特に入院中の高齢者では、

  • 不必要な安静

  • 不必要な禁食(点滴管理)
    が続くことで、摂食嚥下機能が急速に低下し、
    結果として 経口摂取ができなくなる ことがあります。

このようなケースでは「嚥下訓練だけ」で経口摂取を回復することは難しく、
同時に栄養状態を改善しなければ嚥下機能が戻らない 場合も少なくありません。

そのため近年、「攻めの栄養療法(リハ栄養)」が注目されており、
経口摂取を継続するうえで不可欠なアプローチとなっています。


■ 経口摂取が困難になる理由

摂食嚥下障害(嚥下障害)は、さまざまな後天的要因で起こります。

● ① 器質的な変化

  • 舌がん

  • 咽頭喉頭がん

  • 歯の脱落・不良補綴

など、嚥下に必要な構造そのものが障害されるパターン。

● ② 機能的な変化

  • 脳血管疾患(脳梗塞脳出血

  • 頭部外傷

  • 神経筋疾患

  • 加齢による嚥下機能低下

神経・筋機能の低下により、嚥下動作そのものが弱くなるパターン。

● ③ サルコペニアによる嚥下障害

近年特に注目されているのが サルコペニア(加齢性筋肉減少症) を背景とした嚥下障害です。

嚥下に必要な筋肉(舌、咽頭周囲筋、呼吸筋など)も全身の筋肉と同様に萎縮し、
「噛む・飲み込む・息を止める」 という複雑な協調運動ができなくなっていきます。

とくに フレイル高齢者 では、
わずかなストレス(安静・感染・手術など)で筋力が一気に低下し、嚥下障害が顕在化しやすくなります。


■ 入院が引き起こす「医原性サルコペニア

入院前には嚥下障害がなかった高齢者でも、
退院時には嚥下障害を発症している という報告があります。

その大きな要因のひとつが 医原性サルコペニア です。

● 医原性サルコペニアとは

医療介入そのものが、結果的に筋肉量・機能を低下させてしまう状態のこと。

医原性サルコペニアの原因

  1. 不必要な安静
    → 活動量低下による「活動関連サルコペニア

  2. 不必要な禁食・不適切な栄養管理
    → 「栄養関連サルコペニア

特に高齢者は、たった数日の安静や禁食で急速に筋力が落ちてしまいます。
その結果、嚥下に必要な筋力も低下し、摂食嚥下障害が出現 します。

実際に研究では、

  • 骨格筋量

  • ADL

  • BMI

が、嚥下障害を新たに発症するリスクと独立して関連することが示されています。

つまり、
筋力低下 → 嚥下障害 → 食べられない → さらにサルコペニア進行
という悪循環が起こりやすいのです。


■ “攻めの栄養療法” が求められる理由

これらの背景から、
「嚥下訓練だけでは不十分で、栄養介入を組み合わせなければ経口摂取は守れない」
という考え方が広がってきました。

攻めの栄養療法=栄養 × リハ × 多職種連携
を軸に、

  • 筋肉を減らさない

  • 嚥下機能を維持・改善する

  • 低栄養の進行を防ぐ

  • 経口摂取を継続する

これらを目的とした戦略的なアプローチが重要になります。

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