
― 栄養 × リハ × 多職種連携による「攻めの栄養療法」 ―
サルコペニアを背景とした摂食嚥下障害は、従来の嚥下リハビリだけでは改善が難しいことが知られています。
その理由は、嚥下筋の筋力低下だけでなく、全身の低栄養・筋量低下 が同時に進行しているためです。
そこで重要になるのが、
「攻めの栄養療法(アグレッシブ・ニュートリション)」
を用いた包括的アプローチです。
▼ 1. 低栄養とサルコペニアを改善する ― 攻めの栄養療法の役割
回復期リハ病棟での多施設研究では、
低栄養リスクが高い患者ほど、経口摂取の獲得が困難である と報告されています。
しかし現場では、
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低栄養のリスクが十分に認識されていない
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認識されていても栄養介入不足
という問題がしばしば見受けられます。
● 栄養不足が続くと何が起こるか?
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全身の筋肉量が減少
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嚥下筋も萎縮
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嚥下機能低下 → 食べられない → さらなる低栄養
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ADL・QOL低下
この悪循環を断ち切るには、
筋肉と栄養状態を同時に改善する“攻めの栄養療法”が不可欠 です。
▼ 攻めの栄養療法の有効性:症例報告(3例)の共通点
サルコペニア嚥下障害の改善を示した3つのケースレポートでは、
次の共通点が明らかになっています:
● ① 理想体重×32〜35 kcal/kg のエネルギー補給
→ 約10kgの体重増加を達成
→ 嚥下機能が改善
● ② 多職種チームによる集中的介入
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医師
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栄養士
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ST(言語聴覚士)
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PT・OT
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看護師
による 多角的アセスメントと計画的な栄養介入 が行われていた。
● ③ リハ栄養サイクルの活用
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ICFに基づく評価
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栄養状態・筋量の評価
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目標設定
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栄養ケアとリハの同時実施
➡ “評価 → 目標 → 介入 → 再評価” のリハ栄養プロセスが治療成功の鍵となる。
▼ 2. 経口摂取の早期開始は嚥下機能を守る“治療そのもの”
従来の嚥下障害への対応は、嚥下訓練(ST)を中心に行われてきました。
脳卒中などによる嚥下障害では、時間経過とリハビリにより改善することも多かったため、
栄養管理の重要性が過小評価されがち でした。
しかし――
サルコペニア嚥下障害は「食べないこと」が病状を悪化させる根本原因となります。
● 攻めの栄養療法では「経口摂取をできる限り続ける」が大前提
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嚥下機能評価に基づいた食形態設定
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食事に要する時間・嚥下筋疲労の考慮
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必要量を確保するための食事調整
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少量であっても経口摂取は嚥下機能の維持に重要
● 経口のみで必要栄養量が確保できない場合
→ 経管栄養・静脈栄養を併用
→ ただし 経口摂取の維持を最優先 する
栄養不足を放置するとサルコペニアが進行し、嚥下機能はさらに低下。
逆に栄養量が確保できれば、嚥下筋を含む筋肉量が改善し、嚥下機能も向上します。
▼ 3. “攻めの栄養療法” こそが、経口摂取継続の鍵
攻めの栄養療法は、単にカロリーを増やすのではなく、
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十分な栄養量の確保
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多職種チームによる介入
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リハとの併用
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個別目標設定
に基づく体系的アプローチです。
「食べる力」「飲み込む力」「生活する力」を維持・改善するための、治療の中心」
と言えます。
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