
**「攻めの栄養療法」**とは、
体重や筋肉量を増やすことを目的に、
エネルギー消費量に加えて“エネルギー蓄積量”を考慮して必要量を設定する栄養療法です。
ただし、単純にエネルギー量を増やせばよいわけではありません。
これらを考慮せずに行うと、
-
病態の悪化
-
代謝性合併症
-
脂肪のみの増加
を招く可能性があります。
特に、リハビリや運動療法を併用しない「攻めの栄養療法」は、筋肉ではなく脂肪を増やすだけになりやすく、必ずしも患者の利益にはなりません。
そのため、「攻めの栄養療法」は
👉 すべての患者に適応される治療ではない
👉 禁忌を理解したうえで、適切な対象に限定して実践する
ことが重要です。
本稿では、攻めの栄養療法を行う際に必ず理解しておくべき禁忌事項を、特に重要な「低栄養・飢餓状態」を中心に解説します。
低栄養患者における禁忌①|飢餓状態
飢餓とは何か
飢餓とは、社会的・経済的要因や疾患を背景に、
長期間にわたり栄養摂取が不足し、慢性的な栄養障害をきたしている状態を指します。
飢餓状態では、体内のエネルギー利用は以下のように変化します。
-
グリコーゲン分解
肝臓に貯蔵されたグリコーゲンからグルコースを供給
→ しかし貯蔵量は少なく、約1日で枯渇 -
脂質分解・ケトン体利用
飢餓が長期化すると脂肪分解が進み、
脂肪酸 → β酸化 → ケトン体 が産生され、主要なエネルギー源となる
この状態に、急激な栄養投与を行うことが最大のリスクとなります。
飢餓状態で最も注意すべき合併症|Refeeding syndrome(再摂食症候群)
Refeeding syndrome(RFS)とは
**Refeeding syndrome(RFS)**とは、
慢性的な飢餓状態にある患者に対して、大量の栄養(特に糖質)を急速に投与した際に生じる、重篤な代謝合併症です。
急激な栄養投与により、
が起こり、以下の異常をきたします。
その結果、
など、致死的な合併症を引き起こす可能性があります。
Refeeding syndrome のリスク評価(NICEガイドラインより)
RFSリスク因子の分類
▶ At Risk
-
5日以上、ほとんど食事を摂取していない
▶ High Risk(以下のうち1項目以上)
▶ High Risk(以下のうち2項目以上)
▶ Extremely High Risk
-
BMI < 14.0 kg/m²
-
15日以上ほとんど食事を摂取していない
飢餓状態での栄養投与の基本原則
栄養開始前に行うべきこと
初期エネルギー投与量
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10 kcal/kg/日から開始
-
重症例(BMI <14.0 kg/m²)では 5 kcal/kg/日
-
4~7日かけて慎重に増量
👉 飢餓状態では、「攻める」より「守る」ことが最優先です。
それでも「攻めの栄養療法」が可能になるタイミング
重要なのは、
RFSを恐れて栄養を与えないことではありません。
ことを確認しながら、
👉 段階的に「攻めの栄養療法」へ移行することは可能です。
つまり、
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❌ 飢餓状態でいきなり攻める → 危険
-
⭕ 飢餓を是正し、状態を見極めてから攻める → 適切
という判断が求められます。
まとめ|「攻めの栄養療法」は“適応と順序”がすべて
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攻めの栄養療法は、適切に使えば強力な治療手段
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しかし、飢餓・重度低栄養では明確な禁忌・注意点がある
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特に Refeeding syndrome のリスク評価は必須
-
「いつ」「誰に」「どの順序で」行うかが最重要
攻める前に、守る。
それができて初めて、攻めの栄養療法は患者の力になります。
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