在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

攻めの栄養療法を科学する32~各種疾患・合併症における禁忌事項

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● NAFLD/NASH

―「栄養を足すほど肝臓が傷む」病態 ―

■ NAFLD/NASHとは

**NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)**とは、

  • 肝障害を来すほどの飲酒歴がない

  • ウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎などを除外できる

にもかかわらず、肝臓への脂肪沈着を認める肝疾患の総称です。

その中でも、

NASH(非アルコール性脂肪肝炎)は
NAFLDの重症型
であり、

  • 肝細胞の炎症

  • 風船様肝細胞腫大

  • 肝線維化

を認め、肝硬変 → 肝細胞癌へ進展しうる疾患です。


■ NAFLD/NASHの本質は「代謝異常」

NAFLD/NASHの背景には、

が強く関与しています。

👉 つまり、
**「エネルギーが足りない病態」ではなく
「エネルギーが余って処理できない病態」**です。


■ 進展を促進・抑制する脂質の違い

● 進展を促進するもの

これらの過剰摂取は、
NAFLD/NASHの炎症・線維化を促進します。

● 進展を抑制する可能性があるもの

👉 脂質は
「量」だけでなく「質」が極めて重要です。


■ NAFLD患者に推奨される栄養療法

特に肥満を伴うNAFLD患者では、

● 栄養バランスの目安

  • 炭水化物:50~60%

  • 脂質:20~25%

● 基本方針

  • エネルギー制限が主体

  • 体重減少(特に内臓脂肪減少)を目標

  • 運動療法の併用が必須


BMI正常でも安心できない

NAFLDの危険因子は、

  • 過剰なエネルギー摂取

  • 内臓脂肪の蓄積

であり、BMIが正常範囲でも

を認めることがあります。

👉 この場合も、

  • 安易な栄養強化は避ける

  • 運動療法を必ず併用

  • エネルギー投与は慎重に判断

が重要です。


■ 攻めの栄養療法が問題となる理由

NAFLD/NASHでは、

にあるため、

👉 エネルギーを「攻めて足す」栄養療法は
病態そのものに逆行
します。


■ 結論

NAFLD/NASHにおける禁忌

  • 過剰なエネルギー投与は禁忌

  • 攻めの栄養療法は
    👉 原則適応外

  • 栄養介入の目的は
    👉 肝脂肪の減少と代謝改善


■ 在宅医療・高齢者医療での視点

  • 「食事量が少ない」=「栄養を足すべき」とは限らない

  • NAFLD/NASHでは
    “足す栄養”より“減らす判断”が治療

  • サルコペニアがある場合も
    👉 運動療法とセットで慎重に対応


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