在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

攻めの栄養療法を科学する34~各種疾患・合併症における禁忌事項

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● 肥満症

―「栄養を足す治療」が根本的に逆効果となる病態 ―

■ 肥満・肥満症の定義

肥満とは、
エネルギー摂取とエネルギー消費のアンバランスにより、
体内に過剰な脂肪が蓄積した状態を指します。

原因により、

  • 原発性肥満(単純性肥満)

  • 二次性肥満(症候性肥満)

に分類され、
BMI 25 kg/m²以上を「肥満」と定義します。


■ 「肥満症」とは

肥満に起因、あるいは関連する

健康障害を伴い、医学的治療が必要な状態
**「肥満症」**と診断します。

さらに、

  • BMI 35 kg/m²以上の場合は
    👉 高度肥満症

と分類されます。


■ 内臓脂肪型肥満の重要性

腹腔内に脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満は、

など、多くの生活習慣病の基盤となります。

👉 肥満症の本質は
**「エネルギー不足」ではなく「エネルギー過剰」**です。


■ 肥満症・高度肥満症の栄養療法の基本

肥満症の栄養療法では、
「増やす」ではなく「減らす」ことが治療の中心になります。

● 体重減少目標

  • 肥満症:
    👉 現体重の3%以上

  • 高度肥満症:
    👉 現体重の5~10%以上

● エネルギー設定

  • 肥満症:
    👉 25 kcal/kg(標準体重)/day 以下

  • 高度肥満症:
    👉 20~25 kcal/kg(標準体重)/day 以下

運動療法の併用が必須


たんぱく質量の考え方(重要)

● 基本設定

  • 1.0 g/kg(標準体重)/day

  • エネルギー比:20%以下

● 高齢者・サルコペニア肥満の場合

65歳以上のサルコペニア肥満女性を対象とした研究では、

  • 低たんぱく低カロリー食(0.8 g/kg)
    👉 筋肉量は減少

  • 高たんぱく低カロリー食(1.2 g/kg)
    👉 筋肉量は増加

が示されています。

👉 「減量中でも筋肉を守る」視点が極めて重要


■ 攻めの栄養療法が禁忌となる理由

肥満症に対して、

  • 26 kcal/kg(標準体重)/day以上のエネルギー設定

  • 体重増加を前提とした栄養設計

は、

👉 病態そのものを悪化させるため禁忌です。


■ 注意すべきポイント

  • たんぱく質
    👉 腎機能障害がある場合は制限が必要

  • ただし原則として
    👉 1.0 g/kg(標準体重)以上

  • 0.8 g/kg(標準体重)/day未満は避ける

👉 「減量=低たんぱく」ではありません。


■ 結論

肥満症における攻めの栄養療法の位置づけ

  • 肥満症は
    👉 エネルギー制限が治療の本体

  • 攻めの栄養療法は
    👉 原則適応外

  • 重要なのは
    👉 筋肉を守りながら脂肪を減らす設計


■ 在宅医療・高齢者医療での視点

  • 「高齢だから痩せさせない方がよい」とは限らない

  • サルコペニア肥満は見逃されやすい

  • 栄養 × 運動 × 疾患管理の三位一体が不可欠

👉 体重だけでなく「体組成」を見る視点が重要です。


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