在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

攻めの栄養療法を科学する40~過栄養時の栄養管理

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― 「減らすだけ」では解決しない ―

過栄養とは、主に
エネルギー摂取過剰活動量不足により脂肪が過剰に蓄積し、
健康障害の発症リスクが高まった状態を指します。

特に注意が必要なのが サルコペニア肥満 です。
単なる肥満と比べて、

  • ADL低下

  • 転倒・骨折

  • 生命予後の悪化

を来しやすく、「体重を減らせばよい」という単純な問題ではありません。


① エネルギー摂取過剰に対するアプローチ

体重減量を目的とする場合も、
理論的なエネルギー設計が必要です。

体重1kg減量に必要なエネルギー量を
約7,000kcal として、以下の式で
1日あたりのエネルギー削減量を算出します。

 
7,000(kcal)× 体重減量目標(kg) ÷ 目標達成までの日数(日)

具体例

2か月で5kgの減量を目指す場合

  • 7,000 × 5 ÷ 60
    約580kcal/日

この 580kcal/日
算出したTEEから差し引き、栄養量を設定します。


たんぱく質不足に注意する

エネルギー削減だけに注目すると、
たんぱく質量が不足しやすくなる点に注意が必要です。

筋肉量を維持するためにも、

  • 1.0 g/kg(標準体重)/日以上

たんぱく質は、必ず確保するよう調整します。

👉 体重は減っても、筋肉を減らさないことが重要です。


② エネルギー消費不足に対するアプローチ

摂取エネルギーを減らすだけでは、
消費量が少なければ脂肪は燃焼しにくいままです。

筋肉量を増やし、
基礎代謝と脂肪燃焼を高めるためにも、

などの運動介入を必ず併用します。

👉 過栄養の是正は、
「栄養 × 運動」 の両輪がそろって初めて成立します。


ゴール設定における重要な注意点

患者・家族の思いを最優先にする

患者さんやご家族が
積極的な栄養介入や減量を望んでいない場合
無理な介入はかえってQOLを低下させることがあります。

  • 何を大切にしたいのか

  • どこまでを目標とするのか

を必ず確認し、ゴールを共有したうえで介入します。


栄養とリハのゴールは連動している

SMARTなゴール設定において、
栄養とリハビリのゴールは必ず連動しているはずです。

  • リハビリのゴールは何か

  • そのために必要な体力・筋肉量はどの程度か

を確認しながら、
栄養のゴールを設定する必要があります。


さいごに

― SMARTなゴール設定なくして、攻めの栄養療法なし ―

SMARTなゴール設定なくして、
質の高い「攻めの栄養療法」は成り立ちません。

ICFで評価を行ったうえで、

  • 多職種でゴールを共有し

  • 仮説を立て

  • 介入し

  • 結果を検証し

  • 必要に応じて修正する

というプロセスを繰り返すことが重要です。

また、栄養量を付加・削減する介入には、
必ず運動(活動)を併用する必要があります。

リハ栄養管理を行う際は、
常に

「今、目指すべきゴールは何か」

を問い続け、
仮説と介入をアップデートし続けることが、
臨床の質を高めます。

 
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