
―「必要な人に、必要な期間だけ」使う栄養戦略―
各種病態に伴う代謝異常の予防・是正を目的に、栄養素の組成を調整したものを
**「病態別経腸栄養剤」**と呼びます。
ただし重要な前提として、
経腸栄養を受ける患者さんの9割以上は、標準的な半消化態栄養剤で安全に耐用可能
とされています。
つまり、
👉 すべての患者に病態別栄養剤が必要なわけではありません。
標準組成で代謝状態や栄養状態が保てない場合に、はじめて使用を検討します。
また名称から医薬品を想起しがちですが、
肝不全用の2製剤を除き、ほとんどが食品である点も重要です。
肝不全用経腸栄養剤
特徴と目的
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BCAA(分岐鎖アミノ酸)を多く含有
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Fischer比(BCAA / AAA)を高めた設計
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肝硬変では BCAA低下・AAA上昇 が生じる
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改善を狙う代謝異常
製品区分
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医薬品:
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成分栄養剤:ヘパンED
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半消化態栄養剤:アミノレバンEN
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食品:ヘパスⅡ など
糖尿病用経腸栄養剤
目的
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摂取後血糖上昇の抑制
設計の工夫
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糖質と脂質の割合・質を調整
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低GI設計、脂質比率増加など
主な製品(例)
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グルセルナーREX
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アイソカル グルコパルTF
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タピオンα
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ディムス/ディムスアセプパック
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明治インスロー
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リソース グルコパル
(計13品目・7種類)
👉 血糖コントロールが標準栄養剤で不十分な場合に検討します。
腎不全用経腸栄養剤
特徴
対象
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CKD(慢性腎臓病)
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ステージに応じた栄養管理が必要
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注意点
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長期使用により、制限された栄養素の欠乏を招く可能性
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定期的なモニタリングを行い、
👉 標準栄養剤との使い分けが重要
急性腎不全では?
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原因疾患への対応が最優先
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腎不全用栄養剤の必要性は低いことが多い
呼吸不全用経腸栄養剤
特徴
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脂質増量・糖質減量
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呼吸商(RQ)に配慮した高エネルギー設計
製品
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プルモケアEx(※現在1種類)
実臨床での考え方
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糖尿病用製品の中にも同様の設計思想のものあり
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有効性は明確に証明されていないため、
👉 標準組成の経腸栄養剤で問題ないケースが多い
がん患者用経腸栄養剤
背景
特徴
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**EPA(エイコサペンタエン酸)**を強化
エビデンス
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進行すい臓がん患者において、
**EPA含有栄養剤(プロシュア)**は
標準栄養剤と比較し、体重減少抑制効果が報告されています。
まとめ|病態別栄養剤は「切り札」ではなく「選択肢」
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原則は標準的な半消化態栄養剤
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代謝・栄養状態が維持できない場合に病態別を検討
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全員に使うものではない
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定期的な評価と標準栄養剤への戻しも重要
病態別経腸栄養剤は、“必要な患者に、必要な期間だけ”使う。
それが、攻めの栄養療法における基本姿勢です。
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