
―「攻めの栄養」を安全に行うために―
経管栄養は有用な栄養療法ですが、適切なモニタリングと対応がなければ合併症を招く可能性があります。
特に「攻めの栄養療法」を行う際には、合併症を早期に察知し、柔軟に対応する姿勢が重要です。
ここでは、代表的な合併症とその対応策を整理します。
① 検査値異常に対する対応
● 高BUN血症
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原因が明確でない場合:一旦、全投与栄養量を減量
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脱水が疑われる場合:投与水分量を増やす
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腎機能低下が考えられる場合:
→ 糖質・脂質比率を増やす、またはたんぱく質量を減量
● 高中性脂肪血症
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総投与エネルギー量を減量
● 高血糖
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投与エネルギー量を減らす
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または高脂質タイプの栄養剤へ変更を検討
② 消化管症状への対応
● 下痢
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一旦、全投与量を減らす
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投与速度を低下させる
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原因に応じて
- 食物繊維含有タイプへの変更
- プロバイオティクスの併用
※ 下痢は最も頻度の高い合併症であり、
原因検索を最優先し、有効な対策を選択することが重要です。
● 嘔吐・腹部膨満
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投与量を減量
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半固形栄養剤への変更
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チューブ先端を幽門輪以降(経腸栄養)へ留置することも検討
● 胃食道逆流・誤嚥
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投与速度・量の調整
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頭部挙上の徹底
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必要に応じて投与ルート変更
➡ 特に注意すべきは、逆流による誤嚥性肺炎です。
③ 機械的(デバイス関連)合併症
● 共通
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チューブ・カテーテル閉塞
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チューブ破損
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事故(自己)抜去
● 経鼻経腸栄養チューブ
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気管誤挿入
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不顕性誤嚥
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鼻腔潰瘍
● 胃瘻カテーテル(PEG)
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スキントラブル
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バンパー埋没症候群
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ボールバルブ症候群
● 腸瘻カテーテル
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スキントラブル
④ 代謝関連合併症
● Refeeding syndrome
TPNと比較すると頻度は低いものの、
不適切な栄養投与によりENでも発生し得ます。
特に注意すべき点は、
👉 水分投与不足による脱水です。
一般的に、
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1kcal/mLの栄養剤の水分含有量は約80%
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必要水分量(約30mL/kg/日)を満たすには、追加水分投与の計算が必須
⑤ 栄養チューブ自体が原因となる合併症
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チューブによる刺激・びらん・炎症
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誤嚥性肺炎
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チューブ閉塞
また、
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消化管運動低下や便秘があると腹痛・腹部膨満が生じやすく
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逆流を介した誤嚥性肺炎のリスクが高まります
攻めの栄養療法を行うために
攻めの栄養療法=量を増やすことではありません。
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合併症の兆候を常に観察する
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問題があれば一時的に減量・調整する
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状態が安定すれば再度ステップアップする
この**「行きつ戻りつ」の調整**こそが、安全で効果的な栄養管理につながります。
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