在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

在宅医療を科学する14~治療に難渋する皮膚炎:在宅復帰後に直面した広範な紅斑とびらんへのアプローチ

在宅医療の現場では、病院での治療を経て帰宅された後、急激な身体の変化に直面することがあります。今回は、退院後に皮膚症状が悪化し、多角的な治療を試みても改善に難渋したある女性の症例をご紹介します。

1. 患者様の背景(病歴)

この患者様は、もともと「偽膜性腸炎」や「尿路感染症」を繰り返しており、入退院を頻繁に重ねておられました。感染症との戦いが続くなか、ようやく自宅退院を迎えられたという背景があります。

2. 自宅退院後の急激な悪化

住み慣れた自宅へ戻られた後、残念ながら皮膚炎が増悪してしまいました。その症状は非常に重く、単なる赤みを超え、以下のような深刻な状態を呈しました。

  • 広範な紅斑: 皮膚の広い範囲が赤く腫れ上がる。

  • びらん: 皮膚の表面が剥がれ落ち、ジュクジュクとした「ただれ」が生じる。

3. 試みられた治療と直面した困難

在宅チームでは、標準的な皮膚科的治療を含め、あらゆる手段を講じました。

  • 外用剤の活用: 抗菌外用剤や抗真菌外用剤など、感染を疑ったアプローチ。

  • 物理的保護: ドレッシング材(被覆材)による患部の保護。

  • 外部刺激の遮断: 撥水系外用剤を用いた皮膚のバリア機能の補強。

しかし、これらの治療を試みても、症状の改善は見られず、治療に非常に難渋することとなりました。

4. 在宅緩和ケアにおける皮膚管理の難しさ

本症例のように、基礎疾患(繰り返す感染症など)によって全身状態が衰弱している場合、皮膚は非常にデリケートな状態にあります。外側からのケア(塗り薬や保護剤)だけでは不十分なことも多く、全身の栄養状態、排泄管理、さらには免疫状態の変化など、生活のすべてを統合して診ていく必要があります。

さくら在宅クリニックでは、こうした一筋縄ではいかない皮膚トラブルに対しても、患者様のQOL(生活の質)を第一に考え、多職種で連携しながら粘り強くケアを継続してまいります。

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