デコンディショニングとは何か——6つの評価指標と運動療法前に知るべきこと
慢性呼吸器疾患の患者さんは、呼吸困難のため運動を避けがちになり、全身の機能が低下する「デコンディショニング」に陥りやすい状態です。運動療法を安全に行うには、まず身体機能の評価が必要です。本記事では評価の種類と方法を詳しく整理します。
1 デコンディショニングとは——負のらせんの仕組み
デコンディショニングとは、長期臥床や不動による全身の脱調整状態・体力の低下で、本来の機能が発揮できない状態を指します。不動・不活動が原因となり、全身の組織・器官にデコンディショニングが生じ、廃用症候群をきたすとされています。
呼吸器疾患の患者さんは労作による呼吸困難から運動が制限され、末梢骨格筋の萎縮や筋力低下、呼吸・循環機能の低下と運動耐容能の低下を引き起こします。そのため、運動療法を行う前に身体機能の評価が必須となります。
2 ① 筋力低下の評価
・立位で左右各3回ずつ測定し、最大値を採用
・握力計の設定(幅)は「母指の基節根部と示指の先端までの距離の1/2」が適切とされており、再現性のある設定が重要
①予測最大重量の50%でウォーミングアップ
②数分の休憩をはさみ最大5回試験
③トレーニング後の正確な筋力増加の測定にも利用
※安全性が十分確立されていないため、患者の状態を十分に観察して実施する
3 ② 運動耐容能低下の評価
4 ③ 身体活動量低下の評価
直接問診による聴き取り調査は信頼性に乏しいため、現在は歩数計や加速度計を用いた身体活動量(PAL)の評価が試みられています。
| 万歩計 | 加速度計(単軸) | 加速度計(多軸) | |
|---|---|---|---|
| 装着部位 | 腰 | 腰 | 腕・手首・踵 |
| 測定指標 | 1日歩数 | 1日歩数・運動強度 | 多項目 |
| 特長 | 小型・簡単・廉価 | データ蓄積・日内変動の把握 | 運動強度と量の詳細把握 |
| 欠点 | ゆっくりな歩行は過小評価 | 体幹運動が不正確 | 高価・振動に敏感・解析装置が必要 |
5 ④ ADL低下の評価
日常生活活動(ADL)の評価は、デコンディショニングによる身体機能制限の結果、どのような活動の制限が生活に及んでいるかを知るうえで重要です。一般的なBarthel Index(BI)やFIMは疾患特性を十分に把握できない部分があるため、呼吸器疾患専用の評価表が使われます。
※近年はPFSS(肺機能状態尺度)やPFSDQ(肺機能状態・呼吸困難質問票)も使用されている。
6 ⑤ QOL低下の評価
COPD患者は呼吸困難のため健康関連QOLが障害され、その評価は重症度やリハビリテーションの効果判定にも重要です。
慢性呼吸器疾患質問票
呼吸器専用QOL質問票
非常に簡便で最もよく使用されている
7 ⑥ フィジカルアセスメント
上記の各評価とともに、一般的なフィジカルアセスメントも実施することで患者の問題点をより明確にできます。
これらをデコンディショニングから引き起こされる症状と、各種評価とを組み合わせて評価することで、運動療法の方法・量・効果確認・リスク管理が適切に行えます。