神経障害性疼痛の疫学
― どれくらいの人が苦しんでいるの?
さくら在宅クリニック|逗子市 訪問診療・在宅医療
神経障害性疼痛とは?まず基本を確認
疫学(epidemiology)は「疾病などの健康事象の、人集団における分布と規定要因を研究する学問」です。神経障害性疼痛という概念が広く使われるようになったのは 1990年代以降のことで、比較的新しい概念のため、大規模な疫学調査はまだ十分に行われていません。
疾患別の疫学データ
Dwarkinらの研究(50歳以上)で、抗ウイルス薬の有無による神経痛残存率を調査。
| 経過(月) | 非投与群(%) | 投与群(%) |
|---|---|---|
| 1 | 68 | 50 |
| 2 | 50 | 25 |
| 3 | 35 | 15 |
抗ウイルス薬の早期投与が痛みの長期残存リスクを大きく低下させます。
4編の調査をまとめると、発生率は約 20〜24%。糖尿病患者の約5人に1人が神経痛を抱えています。
| 著者 | 症例数 | 発生率(%) |
|---|---|---|
| Bulpitt et al. | 437 | 約24 |
| Boulton et al. | 382 | 約20 |
| Zieglar et al. | 1,171 | 約11.6〜32.1 |
| Partanen et al. | 86 | 約20 |
年間10万人あたり 5.46人が発症、罹患率は10万人あたり 20.57人(Olmsted county 1989〜1999年)。
手術を受けた患者の 約20% に遷延性の慢性術後疼痛が発生(Macrae, 2001年)。乳房切除術後のphantom breast painは13〜36%、開胸術後では11〜67%に及びます。
がん疼痛患者の 25〜33%(Davisらでは33.3%)に神経障害性疼痛が存在。在宅でのがん疼痛管理では鎮痛補助薬の活用が重要です。
カロリンスカ病院調査(1995〜2000年、402例)。男女差なし。
まとめ
神経障害性疼痛の定義が比較的新しく疾患も多彩なため、大規模疫学調査は困難ですが、人口の約3%が罹患しているとの推計があります。帯状疱疹後神経痛・糖尿病性神経障害・がん疼痛・術後痛など、在宅医療で日常的に出会う疾患にこそ高頻度で合併します。
慢性疼痛の適切な管理が在宅医療の質を大きく左右します。
慢性的な痛みでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。