在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

心不全を科学する31

HFEFはどうやって診断するの?という問いに

H2FPEF scoreというスコアによる診断が提唱されています。この研究では体重、高血圧など簡易な項目から肺動脈楔入圧という侵襲的評価項目の挙げられいます。そしてこの研究ではBNPは評価項目として入ることができませんでした。これはHFEF診断が一筋縄でいかないことの証明と考えております。

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#体循環#肺循環#心不全##心不全HFpEF#BNP

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在宅医療におけるポリファーマシーの課題とは?

薬の飲みすぎをポリファーマシーと呼びます。カタカナの方が何か学術的な印象もあるので、ポリファーマシーとします。私自身、勤務医時代におけるポリファーマシーの原因は、処方する側7割、処方される側3割と考えてました。

「先生、歩くと少しフラフラするんです。腰も痛いし」脳外科外来に来られる患者さんとのよくある会話です。人の身体は加齢とともに、様々な機能低下を起こします。身体の平衡感覚を司る機能や、心臓のポンプ機能も加齢と供に機能低下していきます。これは医療や薬では治せません。また腰痛の発生原基は、極めて複雑であり殆どが画像にて評価できない非特異的腰痛です。こうした話を50人-100人の患者さんに端的外来で説明しご理解頂くことは物理的に困難です。なので画像評価し、痛み止めなどを処方して手早く切り上げる方法をとらざる得ない場合があります。在宅診療においては、まず時間的な制約がこれよりも少し緩和されます。また説明する相手が患者さんだけでなく、ご家族が必ずいるので説明からご理解という流れ割とスムーズです。厚労省によるポリファーマシーの弊害について下記のよう発表されています。 

厚労省によると、薬局で薬をもらっている75歳以上の4割が1カ月間で5種類以上、25%は7種以上を一つの薬局で受けており、65~74歳でも3割弱は5種類以上という。複数の薬局を利用する人もいて、1人あたりの薬の数はさらに多いとみられる。その一方、高齢になると体内で薬の濃度が上がりやすくなり、成分が体外に排出されるまでにかかる時間も延びる。薬の副作用に薬で対処する悪循環もみられる。

 指針案は、のんでいる薬による治療が有効なのか、薬以外の方法はないか、検討することを勧める。さらに、複数の医療機関・薬局を利用して1人が同じ種類の薬を複数のんでいないかを確認することを求めている。ただし機械的に薬を減らすと、持病が悪化する恐れがあるので減量や中止は慎重に行い、経過観察することを推奨する。

 主な副作用とその原因とみられる薬の例示もした=表。ふらつきや転倒は降圧薬によることがある。食欲の低下は非ステロイド性抗炎症薬、便秘は睡眠薬が原因になりうるという。案の作成に関わる秋下雅弘・東京大教授(老年病学)は「3種類以上の薬ののみ合わせに関するデータはなく、どんな相互作用があるのかがわからない。薬はなるべく少ないほうが副作用は少ない。ただし患者の自己判断で薬を減らすのは危険なので、医師や薬剤師に相談してほしい」と話した。

 一般の意見を聞いたうえで、4月以降に指針を正式に決める。厚労省の担当者は「これまでも各学会のガイドラインはあったが、それぞれの内容を横断的にまとめ、使いやすい指針をめざした。医療現場に浸透させたい」と話す。(福地慶太郎)

■副作用症状と原因となる主な薬

【症状】原因となる主な薬の種類

【ふらつき・転倒】中枢性などの降圧薬、睡眠薬抗不安薬

【記憶障害】中枢性などの降圧薬、睡眠薬抗不安薬

抑うつ】中枢性降圧薬、抗ヒスタミン薬、抗精神病薬

【食欲低下】非ステロイド性抗炎症薬、緩下剤、抗不安薬

【便秘】睡眠薬抗不安薬抗うつ薬

在宅診療における治療の一つとして薬を止めるというのも重要な仕事であります。

#ポリファーマシー
#在宅医療における薬の飲みすぎに関する問題
#逗子、葉山、横須賀、鎌倉在宅医療
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心不全を科学する30

心不全評価におけるBNPについて、肥満HFEFではBNPが正常の場合があることが注意すべき点です。

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心不全を科学する35

EFの保たれた心不全 HFPeEFに対するエビデンスとしては

SGLT2阻害薬エンパグリフロジンは有効というのが現在の到達点です

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CO2ナルコーシスの原因とは?意識障害の恐怖 #CO2ナルコーシス #意識障害

慢性閉塞性肺疾患 (以下COPD)の患者さんが意識障害を生じている場合は、かなり緊急度の高い病態です。ただし、こうした患者さんは恒常的に血中二酸化炭素(CO2)の濃度高く酸素投与に注意が必要とされています。その理由は正常の人は血中CO2濃度の上昇によって呼吸中枢が刺激され呼吸していますが、慢性的な高CO2血症がある方は、低酸素血症だけが呼吸中枢を刺激しているので、酸素投与によって呼吸中枢への刺激がなくなり、呼吸が止まるというものです。CO2ナルコーシスとは、高CO2血症によって、意識障害などの中枢神経症状を呈している状態を言います。このCO2ナルコーシスは酸素投与によって起こることもありますし、CO2ナルコーシスに陥っている時に、さらに酸素を投与すると、呼吸停止をきたすとさえ言われています。このことは医療職の間ではよく知られたことなのですが、CO2ナルコーシスを危惧するあまり、「本当に酸素が必要な場合に酸素投与が控えめになってしまっている」という弊害が生じています。慢性の高CO2血症がある患者であっても、急激に呼吸状態が悪化している場合には、躊躇なく高濃度酸素を投与しなければなりません。その場合、SpO2が90%前後になることを目標に(普段のSpO2のデータがわかればそれを目標に)酸素を投与します。決して100%を目指してはいけません。慢性の高CO2血症があるかどうかが分かる手段として、COPDの病歴を把握しておくこと、過去の高CO2血症の検査値を把握しておくこと、外見(やせた高齢者で胸郭の変形がみられるなど)でも判断できます。万が一、慢性の高CO2血症がある患者に高濃度酸素を投与したことで呼吸が止まってしまったとしても、人工換気により呼吸を補助すればよいのです。一方、低酸素血症による臓器障害や脳症は不可逆的であり、取り戻すことはできません。

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心不全を科学する29

BNPと心腔内圧の関係性、心不全による入院と死亡退院の相関を下図が示しています。これによりHFpEFにおいてはBNPは有用であることが分かります。

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高齢者の誤嚥性肺炎を予防する方法とは? #高齢者 #誤嚥性肺炎 #予防

在宅医療における高齢者において肺炎は非常に起こりやすい感染症の一つです。人は無意識に嚥下をしてますが、これは何も食事をしているときばかりでなく、寝ている時も唾液などを無意識に嚥下しています。嚥下をするという機能も脳からの命令で行われているものであり、様々な機能低下の一貫として嚥下機能の低下も高齢者には起こります。重症感染症の場合は、速やかに連携医療機関にて治療することが最善です。但し、高齢者のくすぶる誤嚥性肺炎は、繰り返します。また入院により環境変化は認知機能低下や廃用萎縮など2次的な弊害も起こりえます。こうした悩みに関して肺炎治療を外来でするか、入院でするかについていい指標があります。CURB-65というスコアリングです。頭文字を一つずつとっています。
Confusion:意識障害
Urea : BUN 20mg/dL 以上
Respiratory Rate:呼吸数 30回/分 以上
Blood Pressure:血圧 90/60mmHg 以下
65:65歳以上
死亡率:(0~1点)2%、(2~3点)15%、(4~5点)50%
2点以上なら入院治療が望ましいと言われています。
Urea以外は、バイタルサインだけで判断することができます。バイタルサインの重要性が改めて分かります。訪問診療を受けている患者さんは、ほとんどが65歳以上なので、この時点で1点。つまり呼吸数が30回/分以上か、収縮期血圧が90以下など呼吸が荒い、血圧が低いなどの所見ある場合は入院適応と考えられます。しかし、この基準はあくまで目安であり、基準以下でも社会的な理由で入院となることもありますし、逆に基準を満たしていても、そもそも看取り段階の場合は在宅で加療することもありますので、ケースバイケースでの対応となります。そのほかスコアとしてCRB
Confusion:意識障害
Respiratory Rate:呼吸数 30回/分 以上
Blood Pressure:血圧 90/60mmHg 以下
という、もっと簡便なスコアもあります。またA-DROP
Age:男性70歳以上・女性75歳以上
Dehydration:脱水 BUN≧21mg/dL
Respiration:SpO2≦90またはPaO2≦60Torr
Orientation:意識障害 Pressure:収縮期血圧≦90mmHg
覚えることが多く嫌になりますね。
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