在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

在宅診療における高齢者の下痢について

下痢症状を認めた場合の生活指導として、水分を積極的に摂ることを指示します。水分を摂るとますます下痢をすると考え、水分摂取を控える方がいます。しかし、下痢によって体から水分が失われますから、むしろいつもより水分は多く摂らなければなりません。水分以外にミネラル分も失われるため、飲む点滴といわれているOS-1がよいのですが、あまり美味しくないのでリンゴジュースやスポーツドリンクなどでも問題ありません。そして胃薬を内服していないかどうか確認することが必要です。PPIの副作用に下痢があるので、疑わしい場合はPPIを中止します。

下痢は、有害物質を体外に出す防衛反応という解釈もできるため、無理に止めることはいいことではありません。特に急性下痢症の場合、止痢薬(下痢止め)はできるだけ使わないほうが良いです。処方するとしたら、整腸剤や漢方薬にします。西洋医学では整腸剤や止痢薬を処方するくらいしかできませんが、東洋医学では対応できます。整腸剤は続けながら、漢方薬を処方することにしました。

処方としては、真武湯合人参湯(真武湯 7.5g 分3 毎食前、人参湯 7.5g 分3 毎食前)

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#高齢者の下痢

#真武湯合人参湯

 

心不全を科学する5

slow pathwayとfast pathwayは急性心不全にどれくらい関与するかに関して、下記の様な研究結果があります。

これより、多くが2つのpathwayにて心不全が増悪することが分かります。

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#体循環#肺循環#心不全#脱水#slow pathway#fast pathway
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パーキンソン症状とレビー小体型認知症の特徴

パーキンソン症状は、筋肉に力が入りその力が思うように抜けない固縮と、勝手に動いてしまう振戦が代表です。固縮とは簡単に言えば身体が固まったような状態を示す言葉であり、振戦とは震えているような症状です。そしてレビー小体型認知症においては固縮が生じますそれも歯車様固縮と呼ばれる固縮です。肘などを他動的に動かそうとするとカクカクと歯車のような動きを生じます。

そしてパーキンソン症状の治療薬は、パーキンソン病には良く効きますが、レビー小体型認知症によるパーキンソン症状には効果があまりありません。そしてレビー小体型認知症における特徴の一つとして薬剤に対する過剰反応が挙げられます。このためレビー小体型認知症パーキンソン病の治療薬を投与すると効果ない為増量されていきパーキンソン病薬の副作用が出てきます。これがレビー小体型認知症の症状を増悪させ興奮・易怒の出現やや幻覚・妄想の悪化などが出現します。

レビー小体型認知症パーキンソン病の病態は似ており、蓄積する変異タンパクの溜まる場所の違いが異なるだけです。

自律神経障害として交感神経の働きが悪くなっていくことも共通した症状です。心臓に分布する交感神経末端が減少していることを、MIBG心筋シンチで確認することが、レビーであることを確認する一番良い方法だと言われています。MIBG心筋シンチで交感神経末端の減少が確認できる疾患は、レビー小体型認知症パーキンソン病です。

レビーとパーキンソン病は、最初にレビー小体が現れる脳の領域が違います。パーキンソン病は中脳の黒質領域に限局して変性が起りますが、レビーの多くは大脳など広い範囲でレビー小体が認められるようです。

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逗子、葉山、横須賀、鎌倉を撮影される山内様の写真です
#逗子、葉山、横須賀、鎌倉在宅医療
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心不全を科学する4

肺うっ血の生じる機序は、体循環の血漿量減少=身体が脱水と勘違いに伴いレニンアンギオテンシン系↑にて水分が貯留する方向に走るslow pathway

体循環の血漿量減少=身体が脱水と勘違いに伴い、人体の血液の90%を貯留している静脈プールから血液の移動central shiftにより

有効循環量が増加しうっ血を生じるfast pathwayがあります。

特にfast pathwayの分かりやすい症状として交感神経↑にて末梢が締まり手足が冷たくなるのは、心不全患者さんを診ていると誰もが経験することかと思います。

酸素飽和度も末梢が締まり、計れなくなります。

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認知症とパーキンソン病(症候群)関係

医者になって最初の年に神経内科の先生が脳外科をローテーションしており、その際に色々と教えて頂くこと多かったのですが、その時に印象的な質問されました。

パーキンソン病って認知機能障害ある?」その際に「あると思います」と答え褒められてことを記憶してます。多分、研修医の時に褒められた記憶がほぼ無いので覚えているのでしょう。ただ、その後脳外科医として日々の臨床の中で認知症の患者さんを沢山診るようになり感じたことは、何でこんなにパーキンソン類縁疾患が多いんだ、ということでした。パーキンソン症状(パーキンソニズム)は大きくは錐体外路症状と言い、脳幹部や小脳・大脳基底核領域の障害で起こる運動障害の総称となります。

錐体外路症状を引き起こす病気の多くは、変性疾患と呼ばれます。

変性疾患の代表例がパーキンソン病です。パーキンソン病は中脳黒質領域の非常に狭い範囲の神経細胞に変異タンパクが蓄積することにより生じます。

錐体外路症状を起こす変性疾患の多くは、パーキンソンに良く似た症状が出ますので、パーキンソン類縁疾患と呼ばれることが多いです。脊髄小脳変性症・多系統萎縮症(昔はオリーブ核橋小脳変性症・線条体黒質変性症などと呼ばれていました)・進行性核上麻痺など皆さんには、聞き覚えが無い難病と呼ばれる珍しい病気が多いです。

パーキンソン病で機能障害を起こす細胞はドーパミンで働きを示す細胞です。このためパーキンソン病の治療薬は、脳内のドーパミンを増やしたり、ドーパミンの働きを良くする薬が使われます。パーキンソン病でも、不要な領域のドーパミンが増え、興奮しやすくなったり妄想が活発になったりします。逆に認知症の方の興奮などを抑える抑制系の薬は、このドーパミンの働きを押さえ、パーキンソン症状を悪化することがありました。

心不全を科学する3

心不全においてうっ血の生じる機序は、体循環への駆出が足りない=脱水と勘違いしてレニン=アンギオテンシン系↑

これにより、水が蓄積し=肺うっ血が起こります

 

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気管切開患者さんへの朗報~持続吸引器「アモレSU1」の使用経験

気管切開をして人工呼吸器を装着している患者さんは、自分の力では痰が出せませんので、適宜、気管内の痰の吸引が必要です。

人工呼吸器などを使用している患者様を自宅で看る際の一つ、ネックがカニューレ吸引があります。

*呼吸の通り道の掃除のイメージです

誤嚥防止術をしていない患者さんだとカフの脇から漏れて気管内に垂れ込んでくる唾液も吸引しないといけないので、吸引回数が多くなります。吸引回数が多いと、患者・介護者ともに負担が大きくなってしまいます。

そこでとても便利なのが、気管内の痰を24時間自動で持続的に低圧で吸引してくれる「アモレSU1」という機械です。使用するには、「コーケンダブルサクションカニューレ」という専用のカニューレが必要です。これは、通常のカニューレにアモレSU1用の吸引チューブと吸引口がついているもので、カフ下部の痰を持続的に吸引してくれます。肺に疾患がない患者の痰は、ほとんどが唾液や 鼻分泌物の垂れ込みであるとのことです。自動持続吸引システムはこの根拠か ら、それらが肺に落ちる前に気道内で回収する仕組みになっています。つまり、 カニューレ下部に設けられた吸引孔に触れた痰が、吸引ラインを通じて常時少 しずつ自動的に吸引されるわけです。

*マニュアルでは原則として、持続吸引器 の流量設定を1(10ml/秒)以下で使用するよう規定されています。

*呼吸器つけていない方は、もう少し上げても大丈夫です。

 




 

間歇吸引のデメリット

カニューレ内で痰が固結化 *こびりついた錆のようになる

・手動吸引は固結化を取ることに時間を要する

・手動吸引はジャストオンタイムで、必要時に適宜吸引となる→時間的拘束が高い

*20-30回/日吸引が普通 場合によればもっと多い

 

持続吸引のメリットは間歇吸引のデメリットの裏返しであり

・持続的に吸引しているので、カニューレ内で痰が固結化しにくい

・必要時に適宜吸引が不要となり、家族の介護負担が激減する=患者さんも安心して夜寝られる

持続吸引のデメリット

詰まると無力

これに尽きるかと思います。マニュアルではカニューレ交換と記載されていますが、それでは介護負担軽減にはならないかと、、、

また注意点として、今まで使用しているカニューレコーケンダブルサクションカニューレはサイズ径が全く異なることです

 

以下は自己責任であくまで私見としての記載です

まず肺内の湿潤環境調整として

・水分摂取

・人口鼻ないし常時加湿器

ムコダインなどの痰の軟性化処方

 

  • カニューレ内吸引20-30秒(通常吸引です)
  • 持続吸引カテからエアフラッシュ60秒 カニューレ内にでききた痰は通常吸引
  • 5mlシリンジにて1.5ml肺内へ注入し、固結化防止ないし除去します
  • 再度エアフラッシュ20秒
  • 再度吸引し終了。トータル3分程度で、これを朝夕

 

特に上記③は、異論あるかと思いますが結露水の垂れ込みよりベター

何より固結化予防できます。

 

・持続吸引器の動作音は深夜でも気にならないレベルです。

・導入半月後に胸部のレントゲン撮影や血液検査(静脈血・動脈血)を受けた 結果、何ら異常は見つかりませんでした。 システム運用上の注意 ・気切部から吸引する際、自動吸引システム導入以前と同様に、体位変換やタ ッピングなど、肺の隅や奥にたまった痰を出しやすくする必要性は変わりま せん。肺炎を防ぐためです。

 

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#持続吸引器

#気管切開

#アモレSU1

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#コーケンダブルサクションカニューレ

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