在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

精神疾患を科学する 在宅医療で関わる精神疾患について36~性の悩みは「健康の問題」です

性の悩みは「健康の問題」です

性欲の変化や、性にまつわる悩み。
恥ずかしいことでも、意志の弱さでもありません。
#性の健康#性欲の変化#こころと体#薬の副作用#精神症状#ご家族・支援者へ
性のことは、なかなか人に話しにくいテーマです。でも、心や体、お薬の状態と深く関わる「健康の問題」であり、医療機関で相談してよいことです。一人で抱え込まないでください。

性欲の「変化」は、心・体・薬のサイン

性欲が強くなったり弱くなったりする変化は、多くの場合、心の状態や体調、お薬の影響と関わっています。 「自分がおかしいのでは」と責める必要はありません。
🔺
性欲が高まる(亢進)
背景にあることの例
気分が過度に高ぶる状態(躁状態)
一部の薬物の影響 など
🔻
性欲が下がる(減退)
背景にあることの例
気分の落ち込み(うつ状態)
お薬の副作用(抗精神病薬・抗うつ薬など)
妊娠前後などのホルモンの変化
💊 「薬を始めてから性欲が落ちた」と感じたら

お薬の副作用で性機能が変わることは、めずらしくありません。つらいからといって自己判断で薬をやめないでください。主治医に伝えれば、量や種類の調整など、対応できることがあります。言い出しにくくても、遠慮なくご相談を。

性にまつわる「嗜好」の悩み(パラフィリア)

「変態」という言葉で片づけないでください

性的な関心のあり方をめぐる悩みは、医学的にはパラフィリアと呼ばれることがあります。 これは、本人自身がその悩みで苦しみ、日常生活や人との関係に支障が出ているような場合を指し、専門的な支援の対象になります。 からかいや偏見の言葉ではなく、相談できる健康の問題として受け止めることが大切です。

日本では、言い出しにくいけれど

日本には「性の悩みは軽く扱われがち」「人に言わないのが美徳」という風潮があり、 一人で抱え込んでしまう方が多いのが現状です。 けれど性の問題は、言いかえれば「大切な人と穏やかな時間をうまく過ごせない」つらさでもあります。 けっして軽いことではなく、相談してよい悩みです。

📞 相談できるところ
主治医・かかりつけ医お薬の副作用が気になるときは、まずここへ
まず相談を
精神科・心療内科気分の変化や、性にまつわる悩みの相談ができます
専門的な支援
こころの健康相談統一ダイヤルお住まいの地域の公的な相談窓口につながります
0570-064-556
💡
医療者には守秘義務があり、性の相談も他の症状と同じように扱います。 「こんなこと相談していいのかな」とためらう必要はありません。ご本人が話しにくい場合は、ご家族から相談することもできます。

在宅医療の現場から

性の悩みは、診察室でもなかなか口に出しにくいものです。とくにお薬による性機能への影響は、我慢して黙って薬をやめてしまう方も少なくありません。 さくら在宅クリニックでは、ご自宅というプライベートな場で、性の話題も含めて安心してご相談いただけるよう心がけています。気になることがあれば、どうぞ遠慮なくお話しください。

さくら在宅クリニック神奈川県・逗子葉山エリアの訪問診療

頭痛を科学する10~片頭痛の「予防」、 いつ始める?どう進める?

片頭痛の「予防」
いつ始める?どう進める?

発作のたびに薬でしのぐだけでなく、
「発作そのものを減らす」治療という選択肢があります。
#片頭痛#片頭痛予防#予防療法#CGRP#頭痛#頭痛でお悩みの方へ

予防を考える「サイン」

発作のときの薬(急性期治療)だけでは、生活のつらさが十分にとれないことがあります。 そんなときは、発作そのものを減らす「予防療法」の出番です。
📅
発作が多い
頭痛で仕事・家事・予定に支障が出ている
💊
薬を使う日が多い
急性期の薬が月10日以上に。使いすぎは「薬物乱用頭痛」を招くことも
😔
薬が効きにくい
急性期の薬でうまくコントロールできない

予防の進め方 ―「少なく・ゆっくり・じっくり」

STEP 1
少量から開始
副作用が出にくいよう、少ない量からスタート
STEP 2
ゆっくり増量
効果が出る量まで、時間をかけて調整
STEP 3
2〜3か月で判定
頭痛日記をつけながら効果を見きわめる

すぐに効かなくても、あきらめないで。 従来の予防薬は効果が現れるまでに時間がかかります。「効かない」と自己判断でやめず、まずは数か月続けて評価するのが大切です。

薬は「その人に合わせて」選びます

予防薬には、血圧・てんかん・気分の薬などを応用したものがあり、併存する病気に合わせて選びます。

高血圧がある
β遮断薬やACE/ARB系など、血圧にもよい薬が選ばれることがあります
ぜんそくがある
β遮断薬は避けるなど、持病に配慮して選びます

※ だからこそ、ふだんの持病やお薬を医師に伝えることが、良い予防薬選びにつながります。

予防の「新しい時代」=CGRP関連薬

従来の予防薬

もともと別の病気の薬を応用したもの。片頭痛の仕組みに直接ではなく間接的に効くため、効果はゆっくりで、十分でないこともありました。

CGRP関連薬(2021年〜)

片頭痛の仕組みに直接ねらいを定めた予防薬。注射薬に加え飲み薬も登場。日本頭痛学会も2025年に予防の第一選択に含めてよいとしています。

💡
予防療法は「頭痛と一生つき合うしかない」という状況を変えられる可能性があります。 発作の回数が減れば、急性期薬の使いすぎ(薬物乱用頭痛)を防ぐことにもつながり、好循環が生まれます。
⚠ 大切な注意

予防薬もすべて処方薬です。効果の判定には数か月かかるため、自己判断で急にやめたり量を変えたりしないでください。 持病・ふだんのお薬・妊娠の可能性などによって選べる薬が変わるので、医師とよく相談して進めましょう。

在宅医療の現場から

「毎回痛くなってから薬でしのぐ」生活から、「そもそも発作を減らす」方向へ切り替えることで、暮らしが大きく楽になる方がいます。 さくら在宅クリニックでは、ご自宅で頭痛の回数や薬の使用状況をうかがいながら、予防を始めるタイミングや、その方に合った予防薬選び、必要に応じた専門医への橋渡しを行います。どうぞご相談ください。

さくら在宅クリニック神奈川県・逗子葉山エリアの訪問診療

頭痛を科学する9~トリプタンは「いつ飲むか」が大事 ― 片頭痛のベストタイミング

トリプタンは「いつ飲むか」が大事
― 片頭痛のベストタイミング

同じ薬でも、飲むタイミングで効き方が大きく変わります。
「早すぎ」も「遅すぎ」も避けるのがコツです。
#片頭痛#トリプタン#服用タイミング#アロディニア#頭痛#頭痛でお悩みの方へ

効かせる「窓」は、意外とせまい

トリプタンにはよく効くタイミングの「窓」があります。 目安は発作が始まってから約1時間以内。 痛みが軽いうちに飲むと軽くすみ、ひどくなってからでは効きにくくなります。

至適治療窓発症〜約1時間時間 →痛みの強さ自然経過遅く飲むと…高止まり早めに飲むと…軽くすむ

早めに飲めば痛みは軽くおさまり、ひどくなってから飲むと高止まりして効きにくくなります。

「早すぎ」も「遅すぎ」もNG

早すぎ
まだ片頭痛かわからない段階。緊張型頭痛かもしれず、効きにくいことも。
ちょうどよい
「片頭痛だ」とわかって、痛みがまだ軽いうちに。前兆がある方は痛みが出はじめたら。
遅すぎ
痛みがひどくなってから。脳が痛みに敏感になり(後述)、効きにくくなります。

「今が片頭痛」と見分けるヒント

飲みどきの判断には、動いたときの変化が手がかりになります。

片頭痛のサイン → 飲みどき
じっとしていてもズキズキする。頭を振る・お辞儀をすると痛みが強くなる
緊張型のサイン → まだ早い
体を動かすとむしろ楽になる。この場合はトリプタンの出番ではないことが多い。

なぜ遅いと効かない?=「アロディニア」

片頭痛が進むと、脳・神経が痛みに過敏になる「中枢感作」が起こり、 ふだんは痛くないような刺激でも痛く感じるアロディニア(異痛症)が現れます。片頭痛の約75%にみられます。

💇
髪をとかすと頭皮が痛い
👓
メガネが当たると不快
📿
ネックレスや衣類が わずらわしい

アロディニアが出てからでは、トリプタンの効きが大きく落ちることがわかっています。

93%
アロディニアが
ない時の有効率
25%
アロディニアが
出た後の有効率
約20分
この頃までは出にくい
→早めが有利
💡
アロディニアは発作の初め(およそ20分以内)にはまだ出ていないことが多いので、 「片頭痛だ」と気づいたら早めに飲むのが効かせるコツです。前兆のある方は、前兆の最中ではなく痛みが出はじめたタイミングで。
⚠ 「早め」と「使いすぎ」は別ものです

1回の発作では早めに飲むのが有利ですが、飲む「日数」が増えるのは別の問題です。 痛み止めやトリプタンを使う日が月10日以上に増えると「薬物乱用頭痛」を招くことがあります。 早めに飲みつつ、月の使用日数は医師と管理していきましょう。用量・タイミングは必ず医師にご相談を。

在宅医療の現場から

「せっかく薬があるのに効かない」という背景に、飲むタイミングが関係していることは少なくありません。 さくら在宅クリニックでは、ご自宅で頭痛のパターンをうかがいながら、その方に合った「飲みどき」や薬の選び方を一緒に整えます。 頭痛日記のつけ方や、使いすぎを防ぐ工夫もお手伝いします。どうぞご相談ください。

さくら在宅クリニック神奈川県・逗子葉山エリアの訪問診療

精神疾患を科学する 在宅医療で関わる精神疾患について35~

過食・拒食・異食
― 食行動の変化について

食べ方の変化は、心と体からのサイン。
けっして「自業自得」でも「意志の弱さ」でもありません。
#摂食障害#過食#拒食#異食#精神症状#ご家族・支援者へ
食べることのつらさを抱えている方、身近な人が心配な方へ。ひとりで抱え込まず、下の相談窓口を頼ってください。当事者の方もご家族も相談できます。

食べ方の変化は、いろいろな病気のサイン

食行動の変化は、摂食障害だけでなくさまざまな病気で起こります。 「食べ方の問題」だけを見て決めつけず、背景に目を向けることが大切です。
過食
かしょく
自分では止められないほど食べてしまう状態。
うつ病・双極性障害などでもみられる
拒食
きょしょく
食べることを受け付けない、極端に控えてしまう状態。
気分の落ち込みが背景にあることも
異食
いしょく
食べ物ではないものを口にしてしまう状態。
認知症などでもみられる

これは「意志の弱さ」ではありません

食行動の変化は、自分の意志だけではコントロールしにくいものです。 「自分で食べているのだから自業自得」と思われがちですが、それは誤解です。 多くの方が、つらさや強い罪悪感を抱えながら、この状態と闘っています。

いちばん大切なこと

食べ方の変化は、本人が「なまけている」わけでも「わがまま」なわけでもありません。治療や支援につながることで、回復していける状態です。まずは責めずに、受け止めることから始まります。

かける言葉に、気をつけて

よかれと思った一言が、かえって本人を追い詰めてしまうことがあります。

避けたい言葉
「食べなきゃいいのに」
「気の持ちようでしょ」
「甘えないで」
かわりにできること
責めずに、話をそのまま聞く
「つらいね」と気持ちを受け止める
一緒に専門の窓口・医療につなぐ

体の健康にも関わります

食行動の変化は、心だけでなく体の健康にも大きく影響します。 「そのうち治るだろう」と様子を見ているうちに、体への負担が重くなることもあります。 だからこそ、早めに専門の支援につながることが大切です。

📞 相談できる窓口
摂食障害 相談ほっとライン当事者・ご家族・関係者が対象(火〜金 9〜15時/祝日等を除く)
047-710-8869
摂食障害情報ポータルサイト国立精神・神経医療研究センター。相談先の探し方などを案内
edcenter.ncnp.go.jp
お住まいの地域の精神保健福祉センター「どこを受診したらいいか」の相談ができます
各都道府県に設置
💡
ご本人が受診に前向きでない場合でも、ご家族だけで相談することもできます。 「まずどこに行けばいいかわからない」――その段階から、上の窓口は力になってくれます。

在宅医療の現場から

食事の変化は、ご家族が最初に気づくサインであることが多いものです。 さくら在宅クリニックでは、ご自宅で全身の状態を確認しながら、ご本人を責めることなく、背景にある病気や必要な支援を一緒に考え、専門の医療・相談窓口へおつなぎします。 「食べることをめぐって家族が疲れてしまう」ときも、どうぞ一人で抱え込まずにご相談ください。

さくら在宅クリニック神奈川県・逗子葉山エリアの訪問診療

頭痛を科学する8~血管を収縮させない片頭痛薬 「レイボー(ラスミジタン)」とは

血管を収縮させない片頭痛薬
「レイボー(ラスミジタン)」とは

トリプタンが使いにくい方にも――
片頭痛の発作をおさえる、新しいタイプのお薬です。
#片頭痛#レイボー#ラスミジタン#急性期治療#心血管疾患#頭痛でお悩みの方へ

トリプタンと、どう違うの?

片頭痛の発作を止める代表薬「トリプタン」は、よく効く一方で血管を収縮させる作用があり、 心臓や血管の病気がある方には使えないことがあります。 レイボー(ラスミジタン)は、その弱点を補う新しいお薬です。
トリプタン
5-HT1B/1D に作用
よく効く定番の急性期薬
血管を収縮させる作用がある
心臓・血管の病気では使えないことも
レイボー(ラスミジタン)
5-HT1F に作用(別の受け皿)
脳・神経にはたらいて痛みをおさえる
血管を収縮させない
心臓・血管の病気がある方の選択肢に

こんな方に向いています

❤️
心臓や血管の病気があり、トリプタンが使いにくい方
👵
血管への負担が気になる高齢の方
😣
トリプタンで胸や首の締めつけ感が出た方
💉
CGRP関連の予防薬と併用したい方(併用が可能)
⚠ いちばん大事な注意 ― 眠気と運転

レイボーは脳(中枢神経)にはたらくため、眠気・めまい・感覚のにぶりが出ることがあります。 そのため服用後しばらくは、車の運転や危険をともなう作業を避けてください。 仕事や送り迎えなど運転の予定がある日は、使うタイミングを医師とよく相談しておくと安心です。

知っておきたいこと

胸の締めつけ感が出にくい
研究では、トリプタンで問題になりやすい胸部の圧迫感などがみられなかった
効果もしっかり
臨床試験で、偽薬より高い割合で頭痛が改善した
日本では2022年に承認
「レイボー®」として使えるようになった比較的新しい薬
予防薬と併用可
CGRP関連の予防薬と組み合わせて使うこともできる
💡
レイボーも処方薬です。合う・合わないは人それぞれで、眠気の出方にも個人差があります。 また、急性期の薬はどれも使いすぎると「薬物乱用頭痛」を招くことがあるため、飲む回数は医師と確認しながら使いましょう。

在宅医療の現場から

ご高齢の方や心臓・血管に持病のある方では、「頭痛はつらいけれど、トリプタンは使いにくい」というケースが少なくありませんでした。 血管を収縮させないレイボーのような薬の登場で、そうした方にも合う選択肢が広がっています。 さくら在宅クリニックでは、持病やふだんのお薬もふまえて、ご自宅で頭痛の相談・治療の組み立てを行います。運転のご予定などもあわせて、無理のない使い方を一緒に考えます。どうぞご相談ください。

さくら在宅クリニック神奈川県・逗子葉山エリアの訪問診療

精神疾患を科学する 在宅医療で関わる精神疾患について34~自殺・自傷行為を考える

自殺・自傷行為を考える
― 「責める」前に「理解する」ために

その多くは、治療できる病気による「いつもと違う心の状態」が引き金になっています。
#自殺#自傷行為#希死念慮#うつ病#統合失調症#精神症状#ご家族・支援者へ
いま「消えてしまいたい」というつらい気持ちを抱えている方、身近な人が心配な方へ。 ひとりで抱えず、下の相談窓口に連絡してください。あなたの気持ちを受け止める人がいます。

「異常な精神状態」が引き金になる

自殺や自傷行為は、多くの場合精神疾患が背景にあり、ふだんの落ち着いた判断ができない状態で起こります。 けっして「弱いから」「意志が足りないから」ではありません。
 
うつ病などで心の状態が大きく落ち込み、自ら死を望んでしまうことがあります。
 
統合失調症などでは、幻聴などの影響を受けて危険な行動につながってしまうことがあります。

参考:日本の自殺者数は2010年ごろから減少傾向が続き、2024年は20,320人でした(厚生労働省・警察庁「令和6年中における自殺の状況」)。

「正常な判断ができない状態」とは

「正常な判断ができない状態」は、渦中にいない人には少しわかりにくいかもしれません。 でも、たとえばこんな経験に、ほんの少しだけ似ています。

🤔 たとえるなら…

恋愛のさなかは相手を「すてきだ」と強く思っていても、 別れて冷静になってから振り返ると「あれ、そうでもなかったかも」と感じることがあります。 そのときは、落ち着いた視点をもつことがとても難しかった―― 自殺や自傷に向かってしまう心の状態も、そうした「冷静な見方をもてない」という点では、少し重なる部分があります。

いちばん大切なこと

行動そのものを責めるのではなく、「あのときは、正常ではない心の状態だったんだ」と理解してあげること。 そのうえで、背景にある病気の治療につなげることが、回復への第一歩になります。

気づいたとき、どう動く?

自分自身や身近な人に希死念慮(死にたい気持ち)があると感じたら、 ひとりで抱え込まず、専門の窓口に相談してください。話すだけでも、気持ちが少し軽くなることがあります。

📞 こころの相談窓口(無料)
こころの健康相談統一ダイヤル電話をかけた地域の公的な相談窓口につながります
0570-064-556
いのちの電話(フリーダイヤル)「死にたい」「つらい」気持ちを相談員が受け止めます
0120-783-556
厚生労働省「まもろうよ こころ」電話・SNS(LINEなど)の相談窓口を分かりやすく案内
mhlw.go.jp/mamorouyokokoro
⚠ いま、命の危険がある・目の前で起きているとき

ためらわず 119(救急) または 110(警察) に連絡してください。 その場を離れず、安全を確保することを最優先にしてください。

在宅医療の現場から

「死にたいと口にする」「以前より元気がない」といった変化は、SOSのサインであることがあります。 ご家族だけで受け止めようとすると、支える側も追い詰められてしまいます。 さくら在宅クリニックでは、ご本人の背景にある病気を一緒に見つめ、精神科の医療につなぐお手伝いもします。 気になる様子があれば、抱え込まずにご連絡ください。

さくら在宅クリニック神奈川県・逗子葉山エリアの訪問診療

頭痛を科学する7~片頭痛の「治療」は、 ここまで進化しました

片頭痛の「治療」は、
ここまで進化しました

発作を「止める」薬と、発作を「減らす」薬。
いまの片頭痛治療の全体像をやさしく整理します。
#片頭痛#片頭痛治療#トリプタン#CGRP#片頭痛予防#頭痛#頭痛でお悩みの方へ

治療には「2つの柱」があります

片頭痛の治療は、大きく急性期治療(発作のときに痛みを止める)と 予防療法(発作そのものを減らす)の2本立て。 それぞれに「一般的な薬」と「片頭痛にねらいを定めた薬」があります。

全体像を「4つのマス」で

タイプごとの効き方は、消火にたとえるとイメージしやすいと、書籍でも紹介されています。

 
非特異的一般的な薬
特異的片頭痛にねらいを定めた薬
急性期
(発作時)
鎮痛薬
市販薬・処方の痛み止め
🧯 消火器
トリプタン ほか
レイボー・ゲパントなど新しい薬も
🚒 消防車
予防
(ふだん)

発作を止める薬(急性期治療)

💊
鎮痛薬軽い発作にはまず一般的な痛み止め。ただし使いすぎには注意(後述)。
🎯
トリプタン片頭痛にねらいを定めた薬で、多くの方に有効。ただし血管を収縮させる作用があり、心臓・血管の病気がある方には使えないことがあります。
🆕
レイボー(ラスミジタン)/ゲパント新しい選択肢近年登場した薬で、血管を収縮させないのが特長。心血管の病気がある方や高齢の方の選択肢になることがあります(レイボーは眠気に注意)。
🤢
制吐薬(吐き気止め)吐き気を抑えるだけでなく、痛み止めの吸収を助ける役割も。発作中は薬が吸収されにくくなるため、組み合わせることがあります。

発作を減らす薬(予防療法)

発作の回数が多い、急性期の薬を使う日が増えてきた――そんなときは予防を考えます。 従来は、血圧・てんかん・気分の薬などを応用した予防薬(=エンジンブレーキのように、じわっと効く)が中心でした。

近年は、片頭痛の仕組みに直接はたらくCGRP関連薬が登場しました。 月1回などの注射薬(エムガルティなど)に加え、2025〜2026年には飲み薬のタイプ(ゲパント)も使えるようになっています。 日本頭痛学会も2025年に、CGRP関連の抗体薬を予防の第一選択に含めてよいとする見解を示しました。「片頭痛を本格的に予防できる時代」になってきています。

「トリプタンが効かない」と感じたら

効かないと決めつける前に、次のような点を医師と一緒に見直すと、うまくいくことがあります。

1
本当に片頭痛? 別のタイプの頭痛かもしれません。
2
飲むタイミングは? 早すぎ(まだ緊張型頭痛の段階)や、遅すぎ(吸収が落ちている)でも効きにくくなります。
3
吐き気で吸収が落ちていない? 発作中は薬が吸収されにくく、制吐薬の併用が助けになることも。
4
月経と関係していない? 月経に関連する片頭痛は効きにくいことがあり、対応の工夫があります。
5
ほかの原因はない? 副鼻腔炎などの別の病気や、薬の使いすぎによる頭痛のことも。
6
1回で見限っていない? 数回試して判断を。合わなければ別の種類が合うこともあります。

※ 量・剤形(錠剤/点鼻/注射)・種類の変更は、必ず医師とご相談ください。

⚠ 大切な注意
  • ここで紹介した薬はすべて処方薬です。自己判断で量や回数を増やさないでください。
  • 市販薬を含め、痛み止めを使いすぎると「薬物乱用頭痛」を招くことがあります(目安:単純な鎮痛薬は月15日以上、トリプタン等は月10日以上)。
  • 心臓・血管の病気がある方はトリプタンが使えないことがあります。その場合は血管を収縮させない別の薬を医師と相談できます。

在宅医療の現場から

「もう頭痛とは一生つき合うしかない」とあきらめている方もいますが、治療の選択肢はこの数年で大きく広がりました。 血管に負担をかけにくい新しい薬も登場し、高齢の方や持病のある方でも選びやすくなっています。 さくら在宅クリニックでは、ご自宅で頭痛のご相談をお受けし、タイプの見極めから治療の組み立て、必要に応じた専門医への橋渡しまで行います。くり返す頭痛でお困りのときは、どうぞご相談ください。

さくら在宅クリニック神奈川県・逗子葉山エリアの訪問診療