脳外科医 内田賢一 脳卒中奮闘記

血管障害を中心に脳外科医として日々臨床に勤しんでおります。コメント頂いた場合、可能な限り返信させて頂きます。 脳外科の世界は、血管内治療の進歩により患者さんにより優しく安全な治療が提供出来るようになりました。 この進歩はまだまだ続き数年前の治療やデバイスが古く感じるくらい大きな変貌を遂げております 。 私自身血管内治療専門医でありますが、脳卒中の外科技術認定医でもあり、血管内治療だけでなく開頭による治療も含めオールラウンドに対応出来るよう 日々奮闘しております。また、神経内視鏡技術認定医でもあり下垂体腺腫

腰痛に代表される非特異的慢性痛に関して

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椎間関節による疼痛
 
腰痛に代表される非特異的慢性痛に関して、ハイドロリリース(筋膜リリース)などの
治療は万能ではないと、私は考えます。
少し前までは、胃潰瘍は手術にて治療されていました。
しかし、H2blocker,PPIなど革命的治療薬により、胃潰瘍は内服にて治るようになりました。
現在、医療において胃潰瘍などと言う言葉は、殆ど流通していません。
もし、腰痛も同様に**だけで治るという革命的治療が出現したら、腰痛はという言葉すら無くなるかもしれません。
ここから、腰痛の一つの原因である椎間関節性に関し、深堀していきます。

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腰痛の発生原基

 

コラーゲン線維の基本構造

 

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ハイドロリリースによるコラーゲン線維の変化

 

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細胞外マトリックスの構造
筋膜リリース(ハイドロリリース)とは、細胞成分である筋膜の基質そのものに作用し、その構成を変化させることも
分かってきました。
図ではコラーゲンの電顕像です。
コラーゲンの抗張力は強く重量が同じの場合、その抗張力は鉄鋼より強いのです。
DNAは2重らせん構造ですが、その上をいく3重らせん構造です。
神は強い構造としてらせん構造を好むようです。
そして、基質以上に重要となるのは細胞外マトリックスを構成する間質液です。
筋膜展開していると静脈は比較的発達してますが、動脈は殆ど確認できません。
こうした構造において間質液が様々な機能を担い間質液が栄養分を細胞へ運搬、組織リモデリング、炎症に関与するようです。
これは関節や椎間板にも同様のことが言えますね。
そして、これらの組織は強靭な反面overuseやunderuseに弱いという共通の特性と有しているのも不思議な感じがします。
更にこうした組織は個体の生活習慣(食事、喫煙)などにも強く影響受けるのも、構造自体に類似性に由来すると考えます。

徒手により筋膜リリースの細胞レベルの観察

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徒手による筋膜構造変化に対するミクロ観察
徒手による筋膜リリースでは細胞レベルで何が起こっているのでしょうか。
細胞レベルでの実験系として、細胞へ反復運動負荷(overuse状態にして)、圧迫負荷をかける(筋膜ないしハイドロリリース)
を行う。
これを数回に分けて紐解きたいと考えております。
図左上はコントロール群です。正常な線維芽細胞とアクチン群が整列してます。
図右上は8時間反復運動負荷(overuse状態)群で線維芽細胞とアクチン群のアポトーシス(細胞が自ら死んでいく現象)が増えています。
図左下は圧迫負荷群です(筋膜ないしハイドロリリース)線維芽細胞とアクチン群の増加が確認できます。
右下は8時間反復運動負荷+圧迫負荷群です。
 
細胞レベルでも筋膜ないしハイドロリリースが線維芽細胞とアクチン群の増勢を促すことが確認できます。
筋膜ないしハイドロリリースが、細胞へ働きかけていることに驚かされます。

筋膜の滑走の構造

 

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マイクロ下での筋膜

 

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筋膜は滑走する

 

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筋膜は何故滑走できるのか
私達は理論物理学者ではないので、見えない世界を理論で構築する必要はありません。
また、体表面上から見えない筋膜を治療することにもどかしさ感じているのではないでしょうか。
筋膜を光学顕微鏡レベルで見ると図のようになります。
自身は頭部や脊椎近傍の筋膜しか展開しませんが、筋膜自体は無秩序なフラクタル構造を示しているように見えます。
そして図に示すように、筋肉の収縮だけで可動するのでなく筋膜の役割が如何に大きいかイメージできるかと思います。
そして無秩序に見える筋膜の構造を構成するⅠ型コラーゲンとⅢ型コラーゲンにより微小腔が形成されグルコサミノグリカンのゲルで満たされ、筋肉や皮膚が多様な方向へ動くことが可能となります。
筋膜は柔らかな骨格でありながら、筋肉というエンジンからの出力を伝えるシャフトの働きもしていると考えます。

ハイドロリリースの細胞レベルの効果

線維芽細胞の働きは多彩です
建築業者の様に基質(細胞外マトリックス)、コラーゲン線維の多くを産生してます
管理者としてサイトカイン、インターロイキン産生します
*サイトカインは細胞間の伝達物質
*インターロイキンはサイトカインの一種であり免疫細胞間の伝達を担う
また爆破工作者のようにコラーゲン線維の再編も行いながら、
救急救命士として細胞外マトリックスの張力が高いとコラーゲン産生と細胞増殖を増加させる
そして最も重要なことはコラーゲン基質の建築、取り壊し、掃除は線維芽細胞への圧力と振動に基づいていると考えられます
こうして考えるとボディワーク理論に基づく治療は細胞と細胞外マトリックスの張力を変える可能性あるのではないでしょうか。
筋膜リリース(ハイドロリリース)の根拠はこうした線維芽細胞への働きかけが一つキーとなると考えます。
そして、定期的な運動の欠如(不動)はコラーゲン線維の形成を悪影響を与えることを電顕で見たコラーゲンの変性が明らかにしてます。

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コラーゲンの電顕像

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繊維芽細胞の働き

 

筋膜リリース(ハイドロリリース)の細胞レベルの話

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筋膜リリース(ハイドロリリース)などの機械的刺激は、どのように

細胞へ働きかけるかについて

前回の説明通り、コラーゲン線維からのインテグリンへの

機械的刺激は細胞内への張力生む

これを応力波伝搬と呼びます。

この張力(応力波伝搬)は細胞骨格(タリン)、核膜、

核を介して順次伝わり

これにより遺伝子活性化が生じると考えられている

 

電子顕微鏡レベルでの細胞表面には無数のインテグリンを認めることができます

これによりは、筋膜リリース(ハイドロリリース)などの機械的刺激が細胞へ

働きかけているのです

 

ハイドロリリース(筋膜リリース)の細胞レベルのはなし

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ハイドロリリースにおける細胞レベルのはなし
筋膜リリース(ハイドロリリース)、鍼灸等々一般的に筋膜へのアプローチは、単純化するならば機械的刺激です。
何かを静脈内へ注入する訳ではありません(いわゆる点滴ですね)、また物理的構築を変化させる訳でもありません(私が普段行っている脊椎の手術はこれですね)。
では、こうした機械的刺激がどの様な機序で細胞レベルで影響を及ぼすのか
図に示したように細胞にはインテグリンというアンテナの様な構造物があります(正確にはreceptorです)。インテグリンの働きとして、細胞と細胞外マトリックスを接着させることが挙げられます。これは細胞外マトリックスとしてのコラーゲンにも当てはまります。
そしてインテグリンの特徴は、化学刺激でなく機械的刺激に反応、伸長と振動に鋭敏に反応することです。
言い換えるならば、身体の各細胞が細胞外マトリックスに接続されインテグリンを通じて環境をモニタリングしている。
筋膜リリース(ハイドロリリース)などの機械的刺激は、インテグリンを通じ細胞へ作用しているということです。
これについては、もう少し後で深堀させて頂きます。