在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

心不全を科学する

肺うっ血とは左房圧が高いと言い換えることができます。 Stepwise Approachに左房圧の高さを考えると 左室が血液をだしにくい、容量が多い、左房の問題(afなど) 下記のように、問題がどこにあるかで治療方針を検討する必要があります。 在宅医療 | さくら在…

間違いだらけのリハビリテーション

脳神経外科と脳卒中治療は切り離せません。市中病院で働く脳外科医の主戦場は、脳卒中と言い切ってもよいと考えます。そして、急性期治療終えた後は、リハビリが必要となります。今回「間違いだらけのリハビリテーション」を読み、かなり自身が思い違いをし…

心不全を科学する

心不全=1回拍出量が低下する状況として肺循環に問題があるのはどういう状況でしょうか。 右室は後負荷依存性高く、左房圧が高い場合・肺高血圧が高い場合が挙げられます。 また拡張型心筋症や、三尖弁閉鎖不全にて右房と右室に血液が行きつ戻りつを繰り返…

入浴中の突然死~ヒートショックの本当の原因は?

ヒートショックの原因として寒い脱衣所や洗い場では交感神経が高まり、血圧上昇により心血管イベント(心筋虚血、不整脈、脳内出血)が増加するとされています。しかし、実際脱衣所や洗い場で亡くなる人はわずか(3.4%)であり、浴槽内で見つかることが圧倒的に…

心不全を科学する

心不全とは心臓のポンプ機能の低下であり=1回拍出量の低下でもあります。 これを体循環である左房-左室-末梢循環における障害を考えると 左室-末梢組織への抵抗として大動脈弁狭窄症や末梢血管抵抗↑の場合が挙げられます。 また左室自体の問題として虚血な…

入浴中の突然死~浴室を暖かくしてヒートショックを防ぎましょう

高齢者においては入浴中に亡くなることは非常に多いことは、最近知られるようになりました。ちなみに熱中症の死亡者数は、最大でも2000人以下とされています。一方冬のヒートショックで死ぬ人は年間2万人と概算されています。 日本では夏に暑くて亡くなる人…

心不全を科学する

心不全治療の考え方として、体循環から心臓までを1つのチューブとして捉えることが重要です。原則的には心不全=左室のポンプ異常と考えて大きな問題はありせんが、 標準治療を踏襲しても必ずしもよくならない場合 →心不全のメカニズムを考察する必要があり…

癌患者さんにおける様々な症状

がん患者さんは、抗がん剤や放射線治療などにより、口内炎(口腔粘膜炎)ができやすい状態になっています。口内炎の治療はというと、一般的に軟膏や痛み止めなどになりますが、効果はいまひとつです。たかが口内炎といえども、担癌患者さんは自分に体調にと…

心不全を科学する

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認知症治療の功罪~アリセプトの作用機序

アリセプトは、神経伝達物質のうち、アセチルコリンの働きを良くします。これによって短期記憶障害を改善されます。しかしアリセプトの本来の作用は、短期記憶障害の改善だけではないと私は考えます。アリセプトは、短期記憶障害以外にも改善が確認される場…

心不全を科学する

slow pathwayとfast pathwayは急性心不全にどれくらい関与するかに関して、下記の様な研究結果があります。 これより、多くが2つのpathwayにて心不全が増悪することが分かります。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)さくら在…

認知症治療の功罪~アリセプトの誕生秘話

認知症治療薬として現在日本で使用可能な薬は4種類ありますが、その先駆けとなった薬は日本発の薬であるアリセプトです。アリセプトは杉本八郎博士が開発し、彼はこの薬の開発で、薬の世界のノーベル賞と言われる英国ガリアン賞・特別賞や恩賜発明賞などを受…

心不全を科学する心不全

肺うっ血の生じる機序は、体循環の血漿量減少=身体が脱水と勘違いに伴いレニンアンギオテンシン系↑にて水分が貯留する方向に走るslow pathway 体循環の血漿量減少=身体が脱水と勘違いに伴い、人体の血液の90%を貯留している静脈プールから血液の移動centra…

在宅患者おける癌患者さんにおける吐き気

がん患者さんは様々な理由で嘔気嘔吐が生じやすくなっています。これらの症として、一般的には、プリンペランやノバミンが使われることが多いです。プリンペランやノバミンの注意点は、どちらもドパミン受容体拮抗薬なので、錐体外路症状起こす可能性があり…

心不全を科学する

,"entityRanges":,"data":{}}],"entityMap":{},"VERSION":"9.3.6"}">心不全においてうっ血の生じる機序は、体循環への駆出が足りない=脱水と勘違いしてレニン=アンギオテンシン系↑ ,"entityRanges":,"data":{}},{"key":"cunfs","text":" ","type":"atomic"…

人生の最期を決める時の重要なこと~食べることについて

高度成長期にスーパーという概念を日本に普及させたダイエーの創立者である中内功さんは、強烈な戦時体験をしています。南の島で補給が絶たれた戦況で銃弾でなく、飢餓や病に仲間が倒れていく中で、命を繋ぎとめた思いとして「日本に帰りすき焼きを食べたい…

在宅患者さんにおける痛みの治療(内服が難しくなってきたら)

患者さんの活気がなくなり、経口も難しくなってきた場合痛みをとる治療の一つとして麻薬の貼り薬があります。フェントステープはフェンタニル(麻薬)の貼付薬であり、在宅医療の現場では非常に重宝します。特に癌患者さんで、内服できなくなったが痛みが出…

心不全を科学する

心不全と脱水は、体循環として循環する血液量が足りていない(必要量を1.0とすると、循環量は0.9のような状態)のですが、病態は全く異なります。 これは、単純組織から戻る血液も足りてない状態です。 つまり肺循環が足りていない、体循環も足りていない=脱…

人の見た目は大事

人は見た目が〇〇割という、本が以前売れていたように記憶しています。調べれば、すぐ分かるのですが敢えて調べません。見た目で騙されないように、常々思っていたりもするので。そして見た目が老けていると実際の寿命も短いようです。これは、経験則からも…

心不全を科学する

本日より心不全の病態を科学してまいります。在宅医療は医療的介入(治す医療)よりケアが主体となる医療(苦痛の除去、栄養管理等)と考えがちです。 しかし慢性心不全治療は新しいパラダイムへ入り、在宅医療において慢性心不全に対しては治療により劇的に症状…

薬の飲みすぎに関する問題

薬の飲みすぎをポリファーマシーと呼びます。カタカナの方が何か学術的な印象もあるので、ポリファーマシーとします。私自身、勤務医時代におけるポリファーマシーの原因は、処方する側7割、処方される側3割と考えてました。 「先生、歩くと少しフラフラす…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病におけるうつ~頻度は下図が示すような頻度です。 そもそも、動けなくなるなどの症状により、とにかく落ち込むのは当たり前(100%) ここが出発点だと考えます。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)さくら在宅クリ…

慢性閉塞性肺疾患 (COPD)患者さんの意識障害

慢性閉塞性肺疾患 (以下COPD)の患者さんが意識障害を生じている場合は、かなり緊急度の高い病態です。ただし、こうした患者さんは恒常的に血中二酸化炭素(CO2)の濃度高く酸素投与に注意が必要とされています。その理由は正常の人は血中CO2濃度の上昇によって…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の在宅療養を困難にするのは、精神症状が挙げられます 精神症状特にうつ症状は運動症状をと同程度にパーキンソン病の生活の質を低下させます在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)さくら在宅クリニックは逗子、葉山…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病とうつ病の関係性は下図の様に説明されます在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)さくら在宅クリニックは逗子、葉山、横須賀、鎌倉の皆さんの健康と安心に寄与して参ります

在宅医療における高齢者の肺炎

在宅医療における高齢者において肺炎は非常に起こりやすい感染症の一つです。人は無意識に嚥下をしてますが、これは何も食事をしているときばかりでなく、寝ている時も唾液などを無意識に嚥下しています。嚥下をするという機能も脳からの命令で行われている…

11/22 心不全に関する協賛セミナー行わせて頂きます

年末が近づいてまいりましたが、心不全を科学するとしてセミナーを開催させて頂きます。 在宅医療は医療的介入(治す医療)が少なく、ケアが主体となる医療(苦痛の除去、栄養管理等)と考えています。 しかし慢性心不全治療は新しいパラダイムへ入り、在宅医療…

多愁訴に半夏厚朴湯が著効した症例

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)はいわゆる「ヒステリー球」という、喉に何かが詰まったような違和感に効くとされている漢方薬です。 当院の患者さんで、半夏厚朴湯がよく効いた患者さんがいたので報告します。 症例:90代女性 診察の度に、「喉が詰まる」…

パーキンソン病を科学する

下図が示すように、本邦では高齢のパーキンソン病患者が増加しています。 これはフレイル、ポリファーマシー、人生会議など高齢化に伴い新たな問題を生じさせています。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)さくら在宅クリニック…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病=遺伝要因×環境要因にて発症することが明らかになっています。 発症は環境要因と遺伝的要因の足し算であり、環境要因の寄与度、遺伝的要因頻度・寄与度は多様です。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)さくら在宅…