在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

認知症予防と運動の重要性に関する新しい知見

前回運動による認知症予防効果について触れたのですが、逆の研究結果がBMJ. 2017 Jun 22;357に掲載されています。 内容は認知症を発症した患者とそれ以外の参加者の間で、追跡期間中の1週間あたりの総運動時間、低強度の運動をした時間、中~高強度の運動を…

パーキンソン病を科学する27

パーキンソン病治療の原則は下記の通りである 神経保護効果が証明された薬剤はなく、基本は対症療法である ADLに影響の大きい無動は治療の指標となる 薬の効果を他覚的に評価するには、筋硬直が参考になる 治療の目標は、ADLの改善であり、症状をゼロにする…

運動と認知機能の関係について

アルツハイマー型認知症治療薬「アデュヘルム」のニュースが駆け巡りましたが、治療効果、治療適応、費用などまだまだ夢の薬でないというのが実感です。自身、年齢と認知機能のギャップのある方には、個人的によく3つの質問を20年近くしています。それは職…

パーキンソン病を科学する26

パーキンソン病治療は後期になると、様々な処方にて対応する場合があります。それぞれの処方の特徴と処方方法に関して工夫することより、患者さんの病態が劇的に変化することがあるのもパーキンソン病治療の醍醐味と私は考えております。 在宅医療 | さくら…

ヒートショックの危険性に警鐘!在宅医療の入浴基準とは? #ヒートショック現象

日本家屋は非常に寒い。木造家屋が多いためお風呂やトイレなど肌が露出する場所での気温が非常に低い場合が多い。元野球監督であり評論家である野村克也さんがお風呂場で亡くなっているのが見つかったなども記憶に新しいところです。推定でヒートショックで…

パーキンソン病を科学する25

パーキンソン病治療の原則はL-DOPA及びドパミンアゴニストが治療薬の二本柱と考えて問題ありません。(L-DOPAの方が太い柱)であとはオプションと考えます。 但し、病状の後期(ハネムーン期以降)では、オプションの選択及び投与方法等の検討が重要です。 また…

安易な抗生剤の使用を止めるべき理由

日本人は無類の薬好きです。高齢者で薬を内服していない患者さんを診るのは年に数回くらいかもしれません。そして安易な投薬の危険に関してバイオアベイラビリティの観点から。バイオアベイラビリティとは、服用した薬剤が全身循環に到達した割合を示した値…

パーキンソン病を科学する24

パーキンソン病治療の王道はドパ製剤ですが、ドパミン受容体を刺激するドパミンアゴニストも2ndラインの治療薬として重要です。そして、それ以外の製剤としてドパミンの分解を阻害するMAO-Bも治療薬として、パーキンソン病治療中期以降として重要な薬剤です(…

要支援や要介護1でも介護用ベッドを借りる方法

在宅医療をするには介護保険に精通しておかなければなりません。在宅医療の患者さんは基本的に外来に通うことが難しい患者さんです。なので、当然ベッドでの生活が多くなります。ここで、当然のようにベッドと書きましたが、畳の上に布団を敷いて寝起きする…

パーキンソン病を科学する23

パーキンソン病は、ハネムーン期という治療が比較的容易な時期から徐々に治療困難な時期へ移行します。これは上図のように治療後期においてドパの血中濃度(青色の領域)が徐々に狭くなり無効域(ピンクの領域)が増えていくことによります。これに対する対応策…

誤嚥性肺炎予防のポイント: サブスタンスPの重要性

訪問診療を受けている患者さんは、寝たきり状態であったり、認知症、脳梗塞の既往があったりで、誤嚥性肺炎を起こしやすい方が多いです。実際、高齢者の肺炎の大部分が誤嚥性肺炎であるといわれています。誤嚥性肺炎を予防するためにできることを以下に書い…

パーキンソン病を科学する22

パーキンソン病における症状変動=ウェアリングオフは上図が示すように ドパミンの減少により 放出と取り込みの回転が過剰 ➤ドパミンの血中濃度が波打つ ➤ドパミンを溜め込む作用は消失 この様な機序にておこります。 You Tubeにて在宅診療の知識を学んでみ…

高齢者救急の難しさ: 非典型症状への対応 #高齢者 #救急

高齢者救急が難しいのは、高齢者は症状が非典型的であったり、認知症があるとうまく症状を訴えられないなどの点にあります。 例えば、高齢者の肺炎では約1/3で咳や発熱がなかったりします。咳や熱がないからと言って、肺炎は否定できないのです。 今回は、高…

パーキンソン病を科学する21

パーキンソン病は、ハネムーン期という治療が比較的容易な時期から徐々に治療困難な時期へ移行します。これは上図のように治療後期においてドパの血中濃度(青色の領域)が徐々に狭くなり無効域(ピンクの領域)が増えていくことによります。これに対する対応策…

高齢者への風邪薬処方に注意!抗ヒスタミン薬の危険性とは

一般的に風邪にはPL顆粒(総合感冒薬)がよく処方されると思いますが、この薬は高齢者には特に危険です。PL顆粒1g(1回分)にはプロメタジンメチレンジサリチル酸塩という副作用が多いため今ではあまり使われなくなった第一世代の抗ヒスタミン薬が13.5mg入…

パーキンソン病を科学する20

中枢神経における神経細胞において ドパミン神経細胞の減少によりセロトニン神経細胞からドパミン放出されるようになります。これによりドパミンの減少が代償されるかに思えますが、 セロトニン神経細胞はドパミンの貯蔵できないという性質を持ちます。 これ…

リハビリテーションの新たな可能性:起立-着席運動の効果とは? #リハビリ #症例紹介

新版 間違いだらけのリハビリテーション 「起立-着席運動」のすすめ | 三好 正堂 |本 | 通販 | Amazon リハビリは30年前と比べて治療成績が悪くなっているとのことです。 筆者はその理由は、額に汗する地道な治療が少なくなってきたためではないかと言います…

パーキンソン病を科学する19

ドパの特徴として長期投与にて効かなくなる、効かない人が生じることが大きな特徴です。これは上図のように、投与初期には個人差少なく、血中濃度も変動が少ないのですが、長期投与にて急激な血中濃度の上昇と個人差が大きいことが示されます。いわゆるウェ…

レビー小体型認知症と漢方治療の効果

人は認知機能が衰えると怒りっぽくなります。例えとして不適切かもしれませんが、ブレーキ性能が下がるのでしょう。こうした時によく使用する漢方に抑肝散という漢方があります。この漢方は不安神経症にも効きます。 印象的なエピソードとして、国内で最も高…

パーキンソン病を科学する18

パーキンソン病治療は、上記のように誰でも治療可能➤工夫が求められる➤どうやっても難しいという時期に分類できます。 そして在宅医療に移行するのは、通院困難となる工夫が求められる時期から、どうやっても難しい時期に治療を委ねられます。 つまり、在宅…

パーキンソン病を科学する17

パーキンソン病治療薬の王様がドパ製剤であるなら、ドパミンアゴニストはクイーンと呼べるでしょう。 メリットとしては ・動作などに対する底上げ効果が挙げられます デメリットとしては ・増量による幻視 ・麦角系製剤では心臓弁膜症 ・非麦角系製剤では突…

カルシウム製剤と高Ca血症リスク

腰椎圧迫骨折は、高齢の女性で非常によく見られる病状です。最近では、芸能人で松本伊代さんが圧迫骨折を受傷したと報道がありました。女性の身体は、40前後から大きく変化していくので、圧迫骨折は決して高齢者に限られた病気でないことを思いしらされまし…

パーキンソン病を科学する16

ドパ製剤の利点は ・効果発現がわかりやすい・診断的治療に有用 ・ほかの薬剤と比べて安価 ・幻覚のリスクが比較的低い であり、デメリットとしては ・消化器系副作用を来しやすいことより対策は、少量から開始する、増量しすぎない が重要です You Tubeにて…

高齢者の褥瘡対策に革新的手法!湿潤療法の効果とは? #在宅医療 #褥瘡

高齢者の在宅医療において褥瘡というのは大きな問題となります。自身で身体の向きを変えられない+栄養状態の不良により皮膚が腐る(医学的には少し不適切ですが、一般の方の理解の為にあえて、こう表現します)。こうした褥瘡含めた傷に対して以前は消毒とガ…

パーキンソン病を科学する15

ドパの脳内への到達率は極めて低いものです。 空腸から血管内へ入るのにも様々な物質と競合します。さらに血管内から脳内へ入るには血液脳関門と呼ばれる関所を潜り抜ける必要があります。こうして脳内へ到達するのはわずか1%程度であり、ドパの分解阻害剤…

高齢者の看取り難民問題:現代の医療と社会の課題

現在の日本における「人生の最期」の迎える場所として、実際には病院で臨終を迎える事例が80%、自宅で迎えるケースは12~3%という割合です。 信頼できる統計では1951年は在宅死が82.5%、病院死が17.5%です。 もちろん、現在の死因として癌など…

パーキンソン病を科学する14

,"entityRanges":,"data":{}},{"key":"71ihp","text":"これらは、ドパが脳内へ到達しにくいことを示すものでありドパのやっかいな性質を示すものです。因みに、ヘリコバクターピロリに感染しているとドパが体内に到達しにくいと言われています。","type":"un…

最期の時の患者さんの環境

患者さんの最期の時が近づくと発熱などを起こし息苦しくなることもあります。 意識状態が悪くなると抗生物質の投与と絶飲食となります。点滴をされるとこれを自己抜去しないよう身体拘束される場合が多いです。 こんなイメージです。こうした拘束は患者さん…

パーキンソン病を科学する13

上記グラフではドパはパーキンソン病の運動症状進行自体には毒にも薬にもならない?とも考えられます。 しかし、 ドパ(薬物)で運動 ①さびつかせない(脳・筋) ②心肺機能 ③悪い代償機構をリセット にてドパ製剤は有効とかんがえます。 You Tubeにて在宅診療の…

高齢者の転倒リスクを17%低減!高強度のバランス訓練が効果的#

転倒に対する運動介入の効果 Sherrington C, Whitney JC, Lord SR, Herbert RD, Cumming RG, Close JC. Effective exercise for the prevention of falls: a systematic review and meta-analysis. J Am Geriatr Soc 56: 2234-2243, 2008. この論文は、高齢…