在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤13 進行性核上性麻痺(PSP)とは? 在宅医療での関わり方と療養のポイント

進行性核上性麻痺(PSP)とは?在宅医療での関わり方と療養のポイント パーキンソン病と似ているが、より進行が速く転倒リスクが高い難病。在宅での生活を支えるために知っておきたいこと。 「最近、歩き方がおかしくなった」「以前より転びやすくなった」「…

神経障害性疼痛疼痛を科学する4~「普通の触れ方が痛い」のはなぜ? — 神経障害性疼痛のメカニズムを理解する

「普通の触れ方が痛い」のはなぜ?— 神経障害性疼痛のメカニズムを理解する 衣服が触れるだけで激しい痛みを感じる、何もしていないのに電撃のような痛みが走る——。このような「神経障害性疼痛」は、通常の鎮痛薬が効きにくく、在宅療養の質を大きく損なうこ…

神経障害性疼痛疼痛を科学する3~神経障害性疼痛の疫学 ― どれくらいの人が苦しんでいるの?

神経障害性疼痛の疫学― どれくらいの人が苦しんでいるの? さくら在宅クリニック|逗子市 訪問診療・在宅医療 #神経障害性疼痛#帯状疱疹後神経痛#糖尿病性神経障害#在宅医療#慢性疼痛#緩和ケア#がん疼痛#術後痛#疫学#CRPS#訪問診療#疼痛管理#脊髄損傷#逗子市…

認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤12 軽度行動障害(MBI) の典型例から学ぶ症候・診断

軽度行動障害(MBI)の典型例から学ぶ症候・診断 軽度行動障害(mild behavioral impairment: MBI)は、認知症発症以前の正常認知機能や主観的認知障害(SCD)、あるいはMCIの人々に認める神経精神症状(NPS)を指す概念である。MCIと相補的な関係にあり、認…

認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤11

MCI-AD(Alzheimer病による軽度認知障害)の典型例から学ぶ症候・診断・最新治療 軽度認知障害(MCI)は認知機能正常と認知症との間に位置づけられ、何らかの認知機能障害はあるものの日常生活は何とか送れている状態である。Alzheimer病を背景とするMCI(MC…

神経障害性疼痛疼痛を科学する2~神経障害性疼痛の分類 — 原因・部位・発生機序・診断的分類の整理 —

神経障害性疼痛の分類— 原因・部位・発生機序・ 診断的分類の整理 — 在宅医療の現場で役立つ、神経障害性疼痛の体系的な理解 神経障害性疼痛(Neuropathic Pain)は、1994年に国際疼痛学会(IASP)により「神経系の一次的な損傷、あるいはその機能異常が原因…

神経障害性疼痛疼痛を科学する1~定義と臨床的特徴

定義と臨床的特徴神経障害性疼痛(Neuropathic Pain) 痛みの定義・分類から神経障害性疼痛の臨床的特徴まで — IASPガイドラインに基づく体系的解説 神経障害性疼痛Neuropathic painIASPNeuP-SIG急性疼痛慢性疼痛侵害受容性疼痛心因性疼痛アロディニア痛覚過…

宇井睦人先生より、改訂4版『緩和ケア ポケットマニュアル』をご謹呈いただきました

尊敬する宇井睦人先生より、改訂4版『緩和ケア ポケットマニュアル』をご謹呈いただきました拝読して、思わずAmazonのレビューまで書いてしまいました(笑)ポケットに入るコンパクトさなのに、緩和ケアの現場で本当に必要な知識がぎっしり凝縮されています…

認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤10~血管性認知症 の典型例から学ぶ症候・診断・予防

血管性認知症の典型例から学ぶ症候・診断・予防 血管性認知症はAlzheimer病に次いで割合が高く、認知症の原因疾患のおよそ20〜30%を占める。高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙・心房細動などの危険因子に対する加療によって、ある程度予防できることが特徴的…

認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤9~意味型進行性失語症(svPPA) の典型例から学ぶ症候・診断

意味型進行性失語症(svPPA)の典型例から学ぶ症候・診断 意味型進行性失語症(semantic variant primary progressive aphasia: svPPA)は、意味性認知症(SD)とほぼ同義であり、物品呼称と単語理解の障害を中核症候とするPPAの1型である。エピソード記憶が…

在宅酸素療法を科学する28~

睡眠呼吸障害/睡眠時無呼吸症候群 SDBの診断フローと治療アルゴリズム|CPAP・口腔内装置・酸素療法のエビデンス 睡眠呼吸障害SDB睡眠時無呼吸症候群SASOSASCSASAHIPSGCPAP口腔内装置OA簡易モニターESS酸素療法減量療法側臥位睡眠Cheyne-Stokes呼吸LVEFメタ…

認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤8

非流暢/失文法型進行性失語症(nfvPPA)の典型例から学ぶ症候・診断 非流暢/失文法型進行性失語症(non-fluent/agrammatic variant primary progressive aphasia: nfvPPA)は、発語失行(AOS)と失文法を中核症候とする原発性進行性失語症(PPA)の1型である…

在宅酸素療法を科学する27~肺結核後遺症と在宅酸素療法(HOT)——

肺結核後遺症と在宅酸素療法(HOT)——「昔の結核治療」が今も呼吸不全を引き起こしている 「若い頃に結核にかかった」「胸郭形成術を受けた」——そのような方が高齢になり、呼吸不全・在宅酸素療法が必要になるケースがあります。COPDとは異なる特徴を持つ肺…

認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤7

Lewy小体型認知症(DLB)の多彩な症状と個別マネージメント Lewy小体型認知症(DLB)のマネージメント上の問題は、認知機能障害・精神症状・運動症状・自律神経障害など多岐にわたり、本人の生活上の困難のみならず、家族介護者の疲弊をきたすことも多い。本…

在宅酸素療法を科学する26~肺高血圧症

肺高血圧症 肺高血圧症PAHPHmean PAPPAWP酸素療法LTOTCOPD合併PHPvO₂PaO₂組織酸素化ニース分類肺血管リモデリング右心不全ESC/ERAガイドライン日本循環器学会特発性肺動脈性肺高血圧症IPAHCTEPH生存曲線 肺高血圧症の定義 2008年に米国のダナポイントで開催…

認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤6

#認知症#BPSD#もの盗られ妄想#徘徊#拒食#介護#デイサービス#夕暮れ症候群#マネージメント#アルツハイマー病 アルツハイマー病の行動・心理症状(BPSD)への対処法 アルツハイマー病(AD)に伴う生活上の困難さは、記憶障害や失見当などの中核的な認知機能障…

在宅酸素療法を科学する25~慢性心不全

慢性心不全 酸素療法・CPAP・ASVの適応とエビデンス|睡眠呼吸障害との関連 慢性心不全在宅酸素療法HOTLTOTCPAPASV睡眠呼吸障害SDBチェーン・ストークス呼吸CSR中枢性睡眠時無呼吸CSA閉塞性睡眠時無呼吸OSANYHA分類AHIRAA系神経内分泌因子低酸素血症QOL 慢性…

認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤6

Parkinson病認知症(PDD)——典型症例・DLBとの鑑別・診断基準・治療の要点 PD患者の認知症への移行は見逃されやすく、適切な診断と治療が遅れるリスクがある。本稿では典型症例を通じてPDDの診断基準・DLBとの1年ルールによる鑑別・薬物療法の注意点を解説す…

在宅酸素療法を科学する25~

肺 癌 在宅酸素療法(HOT)の適応・効果と呼吸困難マネジメントのエビデンス 肺癌在宅酸素療法HOT呼吸困難低酸素血症緩和ケアオピオイドQOL担癌患者PaO₂SpO₂クロスオーバー試験RCT終末期医療呼吸器内科 在宅酸素療法の適応と効果 「在宅呼吸ケア白書2010」に…

認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤5

Lewy小体型認知症(DLB)——典型症例から学ぶ症候・診断基準・有用な検査 DLBはαシヌクレインを病理学的特徴とするLewy小体病(LBD)に含まれ、認知症患者の10〜15%を占めるとされるが、臨床的には過小評価されやすい。典型症例を通じて特徴的な臨床症候・診…

在宅酸素療法を科学する24~肺線維症・間質性肺炎

肺線維症・間質性肺炎 長期酸素療法(LTOT)のエビデンス 間質性肺炎肺線維症IPFINSIP特発性間質性肺炎長期酸素療法LTOTUIPパターン蜂巣肺HRCT呼吸器内科難治性疾患低酸素血症IIPs 1 間質性肺炎とは 間質性肺炎は、病理学的に肺胞隔壁など肺の間質を中心に炎…

認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤4 妄想性誤認症候群(DMS)——認知症における人物・場所の誤認と3症例

妄想性誤認症候群(DMS)——認知症における人物・場所の誤認と3症例 認知症の進行過程において、人物や場所といったアイデンティティの誤認はしばしばみられる。こうした誤認に基づく体験を「妄想性誤認症候群(delusional misidentification syndrome: DMS)…

在宅酸素療法を科学する23~肺MAC症とは? 原因・症状・経過と在宅医療の視点

肺MAC症とは?原因・症状・経過と在宅医療の視点 増加傾向にある肺非結核性抗酸菌症(NTM症)の中でも代表的な「肺MAC症」について、病型や予後、在宅酸素療法との関係をわかりやすく解説します。 在宅医療肺MAC症NTM症非結核性抗酸菌在宅酸素療法(LTOT)呼…

認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤3

Alzheimer病(AD)——典型症例から学ぶ症候・診断・疾患修飾薬の最前線 ADは日常臨床で遭遇する認知症の中心的疾患であり、本稿では典型症例の提示を通じて特徴的な臨床症候・神経心理検査の読み方・診断基準・DLBとの鑑別を解説するとともに、2023〜2024年に…

在宅酸素療法を科学する22~COPD(慢性閉塞性肺疾患)の在宅管理—— 増悪を防いでQOLと生命予後を守るために

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の在宅管理——増悪を防いでQOLと生命予後を守るために 年に1〜2回の増悪でも生命予後を大きく悪化させるCOPD。禁煙・ワクチン・吸入薬・在宅酸素・呼吸リハビリ——多面的なアプローチで在宅生活を支えます。 # 在宅医療# さくら在宅ク…

認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤2

認知症の評価について——認知機能障害・神経精神症状・生活機能障害の3軸を押さえる 認知機能検査の結果のみをもって認知症を評価し終えたと錯覚してはならない。認知症の診断と臨床的マネジメント・支援には、認知機能障害・神経精神症状・生活機能障害のす…

在宅酸素療法を科学する21~在宅酸素療法(HOT)を始めるあなたへ 導入時に知っておきたいこと・よくある不安へのお答え

在宅酸素療法(HOT)を始めるあなたへ導入時に知っておきたいこと・よくある不安へのお答え 「酸素なんか吸ったらクセになるんじゃ?」「苦しくないときは外してもいい?」——在宅酸素療法を始める患者さんとご家族が抱く疑問や不安に、さくら在宅クリニック…

認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤1

認知症はかつて「痴呆」と呼ばれ、理解も治療も限られていた時代がありました。しかし現在では、病態理解や画像診断、バイオマーカー、治療薬の進歩により大きく変化しています。前回までは認知症について家族向けに記載させて頂きました。 今回は認知症研究…

在宅酸素療法を科学する20~在宅酸素療法の加湿は本当に必要? 酸素節約デバイスで外出をもっと快適に

在宅酸素療法の加湿は本当に必要?酸素節約デバイスで外出をもっと快適に 「加湿器は必ず使わないといけないの?」「酸素ボンベが重くて外出がつらい」——在宅酸素療法を安全・快適に続けるための最新知識をお伝えします。 # 在宅医療# さくら在宅クリニック#…

在宅酸素療法を科学する19~在宅酸素療法の実際 〜酸素供給装置の選び方と加湿の考え方〜

在宅酸素療法の実際〜酸素供給装置の選び方と加湿の考え方〜 在宅酸素療法(HOT:Home Oxygen Therapy)は、慢性呼吸不全の患者さんが自宅で生活の質を保ちながら療養できるよう支援する重要な医療です。本記事では、酸素供給装置の種類・特徴の比較と、加…