― 回復を支えるための“正しい選択” ― 「攻めの栄養療法」の基本原則 「攻めの栄養療法」を実践するうえでの大原則は、可能であれば経腸栄養(EN)を最優先することです。 まず、経口摂取が可能であれば食事から摂取することが基本となります。経口摂取量が不…
―「攻めの栄養」を安全に行うために― 経管栄養は有用な栄養療法ですが、適切なモニタリングと対応がなければ合併症を招く可能性があります。特に「攻めの栄養療法」を行う際には、合併症を早期に察知し、柔軟に対応する姿勢が重要です。 ここでは、代表的な…
― 適応・有用性・利点を整理する ― 経管栄養法とは **経管栄養法(tube feeding)**は、腸管が機能している場合に選択される代替栄養法です。経口摂取が困難であっても、消化・吸収能が保たれていれば適応となります。 たとえば、 嚥下困難や意識障害により…
代替栄養における“攻めの投与”という考え方 はじめに 代替栄養として経管栄養を選択する場面では、腹部症状や誤嚥性肺炎などの合併症を予防する目的で、少量の栄養を慎重に注入するケースを多く経験します。注入開始時には、合併症を回避するために少量から…
―「免疫を上げたい」時に、誰にでも使ってよいわけではない― **免疫調整経腸栄養剤(Immunonutrition)**とは、免疫増強効果が期待される栄養素を強化した経腸栄養剤です。 主に以下の栄養素が強化されています。 グルタミン アルギニン 核酸 n-3系脂肪酸 抗…
―「必要な人に、必要な期間だけ」使う栄養戦略― 各種病態に伴う代謝異常の予防・是正を目的に、栄養素の組成を調整したものを**「病態別経腸栄養剤」**と呼びます。 ただし重要な前提として、経腸栄養を受ける患者さんの9割以上は、標準的な半消化態栄養剤で…
―「どこまで消化・吸収できるか」で考える― 経腸栄養剤を選択する際に最も有用なのが、消化・吸収機能に応じた「窒素源(たんぱく質の形)」による分類です。これは「消化管がどこまで働いているか」を評価し、最小の負担で最大の栄養効果を得るための考え方…
栄養剤は、量や種類だけでなく「いつ摂るか」 が効果を左右します。食事と同時に摂取できない場合は、間食・夜食・リハ終了後など、時間をずらして摂取する工夫が有効です。 患者に合わせたタイミング調整の工夫 傾眠がある患者:覚醒が良い時間帯を選ぶ 間…
2019年9月時点で入手可能な栄養剤の例をもとに、リハビリテーション(リハ)と栄養管理をどのように組み合わせるかを整理します。 ① 総合栄養素補給型の栄養剤 ― まずは「足りていない栄養」を満たす ― 栄養摂取量が不足している場合、最優先すべきは摂取栄…
リハビリテーション(以下、リハ)を行っている患者さんでは、低栄養状態が少なくないことが知られています。そして低栄養の患者さんでは、ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)の向上が得られにくいという課題があります。 そのため、ADLの改善…
― 「減らすだけ」では解決しない ― 過栄養とは、主にエネルギー摂取過剰や活動量不足により脂肪が過剰に蓄積し、健康障害の発症リスクが高まった状態を指します。 特に注意が必要なのが サルコペニア肥満 です。単なる肥満と比べて、 ADL低下 転倒・骨折 生…
中年期以降に体重が増えやすくなる背景には、主に次のような変化があります。 筋肉量の減少 加齢とともに筋肉は自然に減少し、基礎代謝が低下します。 ホルモンバランスの変化 性ホルモンの変化は、脂肪のつき方やエネルギー消費に影響します。 活動量の低下…
― 「すべて同じ栄養介入」は危険である ― 低栄養と一言で言っても、背景となる病態はさまざまです。原因を見誤ると、適切な栄養管理どころか、かえって状態を悪化させることもあります。 ここでは、臨床で重要となる4つの低栄養タイプ別に、栄養管理の考え方…
― 攻めの栄養療法を支える“もう一つの柱” ― エネルギー量と並んで重要なのが、たんぱく質投与量の設定です。たんぱく質は、筋肉量の維持・増加、免疫機能、創傷治癒などに直結するため、「足りていればよい」では不十分な栄養素です。 高齢者における必要た…
―「攻めの栄養管理」を成立させるための考え方 ― 栄養投与量を考える際、**活動係数(AF)**と並んで重要となるのがストレス係数(Stress Factor:SF) と エネルギー蓄積量 です。 ストレス係数(SF)とは何か ストレス係数(SF)とは、疾患や外傷、手術侵…
― エネルギー消費量をどう見積もるか ― 栄養障害を有する患者さんに栄養サポートを行う際、最も重要となるのが総エネルギー消費量(Total Energy Expenditure:TEE) の算定です。 TEEを適切に見積もれなければ、 栄養不足による改善不良 過剰投与による代謝…
― 攻めの栄養療法におけるSMARTなゴール設定 ― 「ゴール」とは、**最終的な答えではなく、現時点で目指すべき“仮の結論”**です。もちろん、病状や生活背景によっては、現状維持そのものがゴールとなる場合もあります。 従来の栄養ケア・マネジメントでは、こ…
● 肥満症 ―「栄養を足す治療」が根本的に逆効果となる病態 ― ■ 肥満・肥満症の定義 肥満とは、エネルギー摂取とエネルギー消費のアンバランスにより、体内に過剰な脂肪が蓄積した状態を指します。 原因により、 原発性肥満(単純性肥満) 二次性肥満(症候性…
【医師監修】オメガ3脂肪酸って健康にいいの?~食べ物とサプリの違いも解説~ - YouTubeこのたび、QLife(エムスリーグループ) より医療監修のご依頼を受け、オメガ3脂肪酸に関する医療解説動画の監修を担当いたしました。 公開動画はこちら 【医師監修】…
● 慢性心不全 ―「攻めたいが、攻めすぎてはいけない」代表的病態 ― ■ 慢性心不全とは 心不全とは、 「心臓の器質的・機能的異常により、心ポンプ機能の代償機転が破綻し、呼吸困難・倦怠感・浮腫を生じ、運動耐容能が低下する臨床症候群」 と定義されます。 …
● NAFLD/NASH ―「栄養を足すほど肝臓が傷む」病態 ― ■ NAFLD/NASHとは **NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)**とは、 肝障害を来すほどの飲酒歴がない ウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎などを除外できる にもかかわらず、肝臓への脂肪沈着を認める肝疾患…
● 肝不全・肝性脳症 ― たんぱく質を「増やすほど危険」になる病態 ― ■ 肝臓は栄養代謝の中枢臓器 肝臓は、栄養代謝の司令塔ともいえる臓器であり、以下の重要な役割を担っています。 血糖値の維持 グリコーゲン・アミノ酸・乳酸からの糖新生 脂肪酸からのケ…
● 脂質異常症 ― エネルギーを「増やすほど悪化する」代表的病態 ― ■ 脂質異常症とは 血中のリポたんぱくは、脂質を全身へ運搬する役割を担っています。通常、脂質代謝はホメオスタシス(恒常性)により厳密に制御されていますが、何らかの要因により血中脂質…
― 栄養を「増やしても」改善しない病態 ― **悪液質(cachexia)**とは、通常の栄養療法では改善が困難な、進行性の代謝異常症候群です。 単なる低栄養とは異なり、 著しい骨格筋量の減少 慢性炎症の持続 機能障害の進行 を特徴とする、複合的な栄養不良状態…
― 高度侵襲下では「攻めの栄養療法」は禁忌 ― ■ 侵襲とは何か 侵襲とは、 重症感染症 大手術 多発外傷 熱傷 など、生体を傷害し、生体恒常性(ホメオスタシス)を破綻させる強い刺激を指します。 侵襲が加わると、生体内では以下の反応が起こります。 **内因…
― 禁忌を理解しない“栄養強化”は、かえって危険 ― 「攻めの栄養療法」とは、体重や筋肉量を増やすことを目的に、単なる消費エネルギーだけでなく「エネルギーの蓄積分」も考慮してエネルギー必要量を設定する栄養療法です。 しかし、この方法はすべての患者…
慢性心不全|「増やす栄養」と「抑える栄養」のバランスが鍵 慢性心不全とは 心不全は、 「心臓に器質的・機能的異常が生じ、心ポンプ機能の代償機構が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感・浮腫が出現し、運動耐容能が低下する臨床症候群」 と定義されます。 慢…
脂質異常症|「量を増やす」だけでは悪化する 脂質異常症とは 血中のリポたんぱくは、コレステロールや中性脂肪といった脂質を運搬し、全身を循環しています。通常、脂質は生体内のホメオスタシスにより一定範囲に保たれていますが、何らかの原因で血中脂質…
侵襲とは何か 侵襲とは、重症感染症・大手術・多発外傷・熱傷など、生体を傷害し、生体恒常性を大きく乱す刺激を指します。 侵襲が加わると、生体内では以下が生じます。 内因性エネルギー供給(endogenous energy supply)の増大 ストレスホルモン・炎症性…
**「攻めの栄養療法」**とは、体重や筋肉量を増やすことを目的に、エネルギー消費量に加えて“エネルギー蓄積量”を考慮して必要量を設定する栄養療法です。 ただし、単純にエネルギー量を増やせばよいわけではありません。 糖質・脂質・たんぱく質の配分 患者…