在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

パーキンソン病を科学する

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パーキンソン病を科学する

パーキンソン病は、ハネムーン期という治療が比較的容易な時期から徐々に治療困難な時期へ移行します。これは上図のように治療後期においてドパの血中濃度(青色の領域)が徐々に狭くなり無効域(ピンクの領域)が増えていくことによります。これに対する対応策…

ダイエットより大切なこと~高齢者医療は脱水との戦いです

以前勤務していた病院の看護師さんのお母さんが痩せ薬として飲んでいたのが、利尿剤だったという笑えない話を聞いたことあります。ボクシングなどでも計量前にサウナで脱水となり計量に挑むのは有名な話です。高齢者医療においても脱水との闘いは大変です。…

パーキンソン病を科学する

,"data":{}},{"key":"e494j","text":"ドパミン神経細胞の減少によりセロトニン神経細胞からドパミン放出されるようになります。これによりドパミンの減少が代償されるかに思えますが、","type":"unstyled","depth":0,"inlineStyleRanges":[{"offset":0,"leng…

パーキンソン病を科学する

ドパの特徴として長期投与にて効かなくなる、効かない人が生じることが大きな特徴です。これは上図のように、投与初期には個人差少なく、血中濃度も変動が少ないのですが、長期投与にて急激な血中濃度の上昇と個人差が大きいことが示されます。いわゆるウェ…

ダイエットより大切なこと~高齢者医療は食べれないことに対する戦いです

いつの時代もダイエットは、流行っています。 僕自身学生時代はラグビー部所属していたので、ケガをしないよう筋トレで体重増やしていた時期と、研修医時代に体重が8-10kg落ちた時期を除き多少の増減はありますが、最近20年は±1.5kg以内の変動です。 しかし…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病治療は、上記のように誰でも治療可能➤工夫が求められる➤どうやっても難しいという時期に分類できます。 そして在宅医療に移行するのは、通院困難となる工夫が求められる時期から、どうやっても難しい時期に治療を委ねられます。 つまり、在宅…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病治療薬の王様がドパ製剤であるなら、ドパミンアゴニストはクイーンと呼べるでしょう。 メリットとしては ・動作などに対する底上げ効果が挙げられます デメリットとしては ・増量による幻視 ・麦角系製剤では心臓弁膜症 ・非麦角系製剤では突…

高齢者の夜は長い

ご高齢の患者さんの悩みの一つに眠れないというのがあります。高齢者の不眠は生理的変化の一つで、実際に寝ている時間は加齢とともに短くなり、高齢者では6時間以下と言われています。高齢者は熟眠感を得られる徐波睡眠の時間が短くなり、また中途覚醒時間が…

パーキンソン病を科学する

ドパ製剤の利点は ・効果発現がわかりやすい・診断的治療に有用 ・ほかの薬剤と比べて安価 ・幻覚のリスクが比較的低い であり、デメリットとしては ・消化器系副作用を来しやすいことより対策は、少量から開始する、増量しすぎない が重要です。在宅医療 | …

パーキンソン病を科学する

ドパの脳内への到達率は極めて低いものです。 空腸から血管内へ入るのにも様々な物質と競合します。さらに血管内から脳内へ入るには血液脳関門と呼ばれる関所を潜り抜ける必要があります。こうして脳内へ到達するのはわずか1%程度であり、ドパの分解阻害剤…

認知症予防の妙薬その2

前回運動による認知症予防効果について触れたのですが、逆の研究結果がBMJ. 2017 Jun 22;357に掲載されています。 内容は認知症を発症した患者とそれ以外の参加者の間で、追跡期間中の1週間あたりの総運動時間、低強度の運動をした時間、中~高強度の運動を…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病治療薬であるドパのやっかいな性質として空腸でのみという、吸収されるまでの経路が非常に長いことが挙げられます。次回以降のべますが、到達率低く、半減期が短いという特徴があります。 これらは、ドパが脳内へ到達しにくいことを示すもので…

パーキンソン病を科学する

下記グラフではドパはパーキンソン病の運動症状進行自体には毒にも薬にもならない?とも考えられます。 しかし、 ドパ(薬物)で運動 ①さびつかせない(脳・筋) ②心肺機能 ③悪い代償機構をリセット にてドパ製剤は有効とかんがえます。在宅医療 | さくら在宅ク…

認知症予防の妙薬その1

アルツハイマー型認知症治療薬「アデュヘルム」のニュースが駆け巡りましたが、治療効果、治療適応、費用などまだまだ夢の薬でないというのが実感です。自身、年齢と認知機能のギャップのある方には、個人的によく3つの質問を20年近くしています。それは職…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病は脳内でのドパミン不足にて生じる病態です。但し、ドパミンを直接投与しても脳内には届かず前駆物質であるドパ処方にて脳内のドパミンを補充する治療がパーキンソン病の主たる治療です。そして、ドパはパーキンソン病治療において50年間不動…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の病態は非常に明解で、神経細胞からのドパミン減少に伴いドパミン受容体への興奮が減少することによります。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)

ヒートショック現象

日本家屋は非常に寒い。木造家屋が多いためお風呂やトイレなど肌が露出する場所での気温が非常に低い場合が多い。元野球監督であり評論家である野村克也さんがお風呂場で亡くなっているのが見つかったなども記憶に新しいところです。推定でヒートショックで…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の症状を呈する疾患は上記のように必ずしもパーキンソン病に限りません。次回より類似症状を呈する疾患及び治療に関して説明していきます。https://www.shounan-zaitaku.com

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の発症は環境要因と遺伝的要因の足し算であり 環境要因の寄与度、遺伝的要因頻度・寄与度は多様です 発症、進行度に関しては明確なことは分からず、不安も多いのですが Uncertainty is hope 不確かさは希望 と考え前向きに捉えられたらと考え…

安易な抗生剤の使用を止めるべき理由

日本人は無類の薬好きです。高齢者で薬を内服していない患者さんを診るのは年に数回くらいかもしれません。そして安易な投薬の危険に関してバイオアベイラビリティの観点から。バイオアベイラビリティとは、服用した薬剤が全身循環に到達した割合を示した値…

パーキンソン病を科学する

,"entityRanges":,"data":{}},{"key":"ah1gk","text":"単一の原因では説明困難なパーキンソン病ですが、αシヌクレインは重要な要素を占めると私は考えます。","type":"unstyled","depth":0,"inlineStyleRanges":,"entityRanges":,"data":{}}],"entityMap":{}…

介護用ベッドを借りる方法

,"data":{"textAlignment":"left","dynamicStyles":{"line-height":"2.16"}}},{"key":"qltj","text":"但し、要支援や要介護1でもベッドを借りる方法があり、2つの方法を紹介します。","type":"unstyled","depth":0,"inlineStyleRanges":,"entityRanges":,"…

パーキンソン病を科学する

前回よりαシヌクレインは中枢神経において伝搬する動物実験での結果を示しましたが、腸管の神経叢より中枢神経に伝搬する経路もあります。 これより、αシヌクレインはBody first? Brain first?という議論が生じます。これについては結論がついていません。と…

高齢者が食べれなくなったら

老衰の末期や末期がんなどで食べられなくなった患者さんを自宅で診ている場合に食べれなくなったら何もしないという選択があります。但し、こうした選択が中々踏み切れない場合があります。やはり何もしないという選択は心情的に選択しにくいものです。そう…

高齢者の肺炎

訪問診療を受けている患者さんは、寝たきり状態であったり、認知症、脳梗塞の既往があったりで、誤嚥性肺炎を起こしやすい方が多いです。実際、高齢者の肺炎の大部分が誤嚥性肺炎であるといわれています。誤嚥性肺炎を予防するためにできることを以下に書い…

パーキンソン病を科学する

下図が示すようにαシヌクレインは、脳内へ注入すると伝搬していくことが動物実験で確認されています。また腸管周囲の神経から延髄、仙髄への伝搬も確認されています。 まさにこの挙動はプリオンと似ているものであり、αシヌクレイン仮説≒プリオンと類似して…

パーキンソン病を科学する

αシヌクレインはレビー小体型認知症に有名な病理所見ですが、これはパーキンソン病患者にも確認される病理所見でもあります。また、αシヌクレインは脳だけでなく、副腎、腸管などのあらゆる臓器で確認されます。これは、パーキンソン病などで便秘が運動症状…

高齢者の風邪

一般的に風邪にはPL顆粒(総合感冒薬)がよく処方されると思いますが、この薬は高齢者には特に危険です。PL顆粒1g(1回分)にはプロメタジンメチレンジサリチル酸塩という副作用が多いため今ではあまり使われなくなった第一世代の抗ヒスタミン薬が13.5mg入…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の原因としてαシヌクレイン仮説は非常に興味深いものです。 本来有用なタンパクですが、様々なタンパク質の機能障害の原因ともなり、その振る舞いはプリオンと非常に似ています。次回以降、この点に関して深堀していきます。在宅医療 | さくら…