2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧
日本人は無類の薬好きです。高齢者で薬を内服していない患者さんを診るのは年に数回くらいかもしれません。そして安易な投薬の危険に関してバイオアベイラビリティの観点から。バイオアベイラビリティとは、服用した薬剤が全身循環に到達した割合を示した値…
膵臓がんには下記のような特徴があります ①悪性度が高い致死的ながん ü予後の改善が20年間あまりない üがんによる死因4位 ü生存期間中央値 (切除例:18カ月/切除不能例:6カ月) ②有効なスクリーニングはなく早期発見が難しい ü発見時、切除可能な症例は5人に1…
在宅医療をするには介護保険に精通しておかなければなりません。在宅医療の患者さんは基本的に外来に通うことが難しい患者さんです。なので、当然ベッドでの生活が多くなります。ここで、当然のようにベッドと書きましたが、畳の上に布団を敷いて寝起きする…
胆のう癌の治療は 切除可能:切除を行います。 ・切除後補助化学療法のエビデンスはない膵がんや転移がんに準じてS-1などが施行されることもある ・切除後再発が多い 切除不可能:化学療法を行います。 治療の中心はシスプラチン+ゲムシタビンS-1単剤ゲムシタ…
老衰の末期や末期がんなどで食べられなくなった患者さんを自宅で診ている場合に食べれなくなったら何もしないという選択があります。但し、こうした選択が中々踏み切れない場合があります。やはり何もしないという選択は心情的に選択しにくいものです。そう…
胆のうがんについてここから述べていきます。 胆のうがんは、有効なスクリーニングはなく早期発見が難しいがんです。 高リスク患者としては、原発性硬化性胆管炎先天性(膵胆管合流異常、胆道拡張) などが挙げられます。 早期発見が難しいがんですが、乳頭部…
患者様宅でのレントゲン撮影可能となりました 患者様宅でのレントゲン撮影可能となりました。 これにより診断可能な疾患、経過診られ疾患が増えることにより、より安全に安心して患者様を診ることが可能となりました。 重さ約3kgの軽量な撮影装置ですが、極…
肝がん治療患者さんに対する在宅医療医の対応 局所治療患者 ・肝機能が良好であれば健常者とほぼ同じ ・肝機能や腫瘍の進行をフォローする 肝機能不良患者 ・進行した肝硬変・肝不全による問題が多い ・がんの治療が十分にできないため予後不良 VEGF阻害薬:…
一般的に風邪にはPL顆粒(総合感冒薬)がよく処方されると思いますが、この薬は高齢者には特に危険です。PL顆粒1g(1回分)にはプロメタジンメチレンジサリチル酸塩という副作用が多いため今ではあまり使われなくなった第一世代の抗ヒスタミン薬が13.5mg入…
肝がんの治療において薬物療法としての殺細胞薬がほとんど効きません。 VEGFマルチキナーゼ阻害薬:ソラフェニブ、レゴラフェニブ に関しては ※レンマニチブも奏功する 著効は期待できず進行が緩徐になる Child-Pugh分類C,PS3-4の患者は適応せず緩和ケア検討 …
肝がんの治療の治療においては、肝硬変や慢性肝炎などが基礎にある残存肝機能Child-Pughの分類にて治療適応決定されます。 具体的には、Child-Pughの分類 A > B > Cにより決定され軽度⇒重度となります。 局所療法➤肝機能、部位、大きさと個数などにて決定さ…
高齢者においては入浴中に亡くなることは非常に多いことは、最近知られるようになりました。ちなみに熱中症の死亡者数は、最大でも2000人以下とされています。一方冬のヒートショックで死ぬ人は年間2万人と概算されています。 日本では夏に暑くて亡くなる人…
今回から 肝がんについて詳述していきます。 肝細胞がん:HCC:hepatocellular carcinomaは一般的に言われる『肝がん』と言われる病気であり、 肝内胆管がん: 胆道がんの1つとして同様に治療され ・高リスク症例にはスクリーニング (3~6カ月ごと) ・腫瘍マー…
食道がんの症状・合併症として がんの進行・再発による症状は 食欲不振➤体重減少➤疼痛➤倦怠感➤PS低下 食道が閉塞すると嚥下不可能となり唾液が口角から垂れ流しとなります ・骨転移による骨痛 ・肝転移:肝障害、皮膚伸展痛、黄疸 #食道がん #在宅医療医に…
食道がん患者の再発に関して ・局所再発:頸部や縦郭内に再発 無症状(フォローの検査で発見される) 嚥下障害、疼痛、気道狭窄による呼吸困難 肺、骨、肝臓などへの転移が多い ・内視鏡治療後に再発や新規病変が出現する 症状や内視鏡フォローが必要 ・再発し…
食道がんについて、さらに各論です。 ・内視鏡などの検診で早期に発見できる ・免疫チェックポイント阻害薬が有効です ・症状がある患者は進行がんで予後不良*T3(外膜浸潤)以上 ステージにより5年生存率は下記の様になります #食道がん #在宅医療医に必要…
がん患者さんは、抗がん剤や放射線治療などにより、口内炎(口腔粘膜炎)ができやすい状態になっています。口内炎の治療はというと、一般的に軟膏や痛み止めなどになりますが、効果はいまひとつです。たかが口内炎といえども、担癌患者さんは自分に体調にと…
今回から、またがん各論に少し戻ります。 まず、食道がんについてです。 解剖は 〇下咽頭と胃の間 〇外側は外膜で気管、大動脈、心膜、椎体などに接する→浸潤しやすい 〇切除には開胸・開腹を要す→高侵襲、体力の低下が大きい そして、日本と米国で病態・治…
認知症治療薬として現在日本で使用可能な薬は4種類ありますが、その先駆けとなった薬は日本発の薬であるアリセプトです。アリセプトは杉本八郎博士が開発し、彼はこの薬の開発で、薬の世界のノーベル賞と言われる英国ガリアン賞・特別賞や恩賜発明賞などを受…
高カルシウム血症の治療に関して続編です ループ利尿薬 脱水の補正完了後の輸液継続中に投与 カルシウム値の低下を促す 骨髄腫では利尿薬の使用は控える(骨髄腫腎の危険) カルシトニンとステロイド 腎機能に関係なく使用可能 カルシトニンは副作用や禁忌が少…
高カルシウム血症の治療は 脱水の改善が必要です 高カルシウム血症は脱水を誘発して、脱水によって増悪します この場合、生理食塩水にて血管内脱水を改善します 具体的には下記のように行います 1日3L程度の尿量確保 当日の輸液は大量(24時間で3~4リットル…
リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)は、急性発症の頸部、肩、臀部などの著しい痛みとこわばりを特徴とします。私自身、脳外科医としての勤務医時代には脊椎の手術と外来も行っていたのでこうした症状の患者を沢山診ておりました。本疾患は…
高カルシウム血症の症状として 便秘、嘔気・嘔吐、倦怠感、食欲低下などが挙げられます。 さらに症状が進むと、いらいら、意識障害、筋力低下などの症状が出現します。 診断に関しては 簡易補正値=実測値4-アルブミン値 ➤14以上または症状あり:緊急治療 ➤13…
高カルシウム血症 原因としては、下記が挙げれます ●がんの骨転移・浸潤:骨の融解 ●扁平上皮がん:PTH-related protein ●リンパ腫など:活性化ビタミンD過剰産生 *肉芽腫性疾患、副甲状腺亢進症、末端肥大症も同じ機序 治療に関しては急性期の治療はどの原因…
がん患者さんは様々な理由で嘔気嘔吐が生じやすくなっています。これらの症として、一般的には、プリンペランやノバミンが使われることが多いです。プリンペランやノバミンの注意点は、どちらもドパミン受容体拮抗薬なので、錐体外路症状起こす可能性があり…
緊急検査と治療を要する薬剤障害について述べていきたいと思います。 インフュージョンリアクション・アナフィラキシーについては、即座に症状発現するとされていますが、自身は1週間程度経過してからの症状発現も経験しています。 また 間質性肺炎はあらゆ…
日本の俳句における中興の祖である、正岡子規は食べることに貪欲だったそうです。「柿食えば 鐘がなるなり 法隆寺」という句も食べものに関する句ですし。西行や芭蕉が自然と心象風景を融合させようとしましたが、食べ物が句に出てくることは無いですし。 ・…
がん緩和ケアにおいて避けて通れないのが下痢の管理です。 軽度:(1日10回以下)の場合 ●ロペラミド、酪酸菌製剤、水分摂取 ●改善しないときには入院検討、化学療法以外の原因究明 にて対応します。 重度:(1日10回以上)の場合 ●点滴+ロペラミド(排便のたび1-2…
高度成長期にスーパーという概念を日本に普及させたダイエーの創立者である中内功さんは、強烈な戦時体験をしています。南の島で補給が絶たれた戦況で銃弾でなく、飢餓や病に仲間が倒れていく中で、命を繋ぎとめた思いとして「日本に帰りすき焼きを食べたい…
がん緩和ケアにおいて避けて通れないのが嘔気嘔吐の管理であり、個人的には疼痛管理より困難な場合が多いと感じております。 時間軸で考える場合 急性(24H以内):5HT3受容体拮抗薬 遅発性(24H以降):ステロイド 予期性:ベンゾジアゼピン を使用します。 重症度…