在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

在宅医療におけるポリファーマシーの課題とは?

薬の飲みすぎをポリファーマシーと呼びます。カタカナの方が何か学術的な印象もあるので、ポリファーマシーとします。私自身、勤務医時代におけるポリファーマシーの原因は、処方する側7割、処方される側3割と考えてました。

「先生、歩くと少しフラフラするんです。腰も痛いし」脳外科外来に来られる患者さんとのよくある会話です。人の身体は加齢とともに、様々な機能低下を起こします。身体の平衡感覚を司る機能や、心臓のポンプ機能も加齢と供に機能低下していきます。これは医療や薬では治せません。また腰痛の発生原基は、極めて複雑であり殆どが画像にて評価できない非特異的腰痛です。こうした話を50人-100人の患者さんに端的外来で説明しご理解頂くことは物理的に困難です。なので画像評価し、痛み止めなどを処方して手早く切り上げる方法をとらざる得ない場合があります。在宅診療においては、まず時間的な制約がこれよりも少し緩和されます。また説明する相手が患者さんだけでなく、ご家族が必ずいるので説明からご理解という流れ割とスムーズです。厚労省によるポリファーマシーの弊害について下記のよう発表されています。 

厚労省によると、薬局で薬をもらっている75歳以上の4割が1カ月間で5種類以上、25%は7種以上を一つの薬局で受けており、65~74歳でも3割弱は5種類以上という。複数の薬局を利用する人もいて、1人あたりの薬の数はさらに多いとみられる。その一方、高齢になると体内で薬の濃度が上がりやすくなり、成分が体外に排出されるまでにかかる時間も延びる。薬の副作用に薬で対処する悪循環もみられる。

 指針案は、のんでいる薬による治療が有効なのか、薬以外の方法はないか、検討することを勧める。さらに、複数の医療機関・薬局を利用して1人が同じ種類の薬を複数のんでいないかを確認することを求めている。ただし機械的に薬を減らすと、持病が悪化する恐れがあるので減量や中止は慎重に行い、経過観察することを推奨する。

 主な副作用とその原因とみられる薬の例示もした=表。ふらつきや転倒は降圧薬によることがある。食欲の低下は非ステロイド性抗炎症薬、便秘は睡眠薬が原因になりうるという。案の作成に関わる秋下雅弘・東京大教授(老年病学)は「3種類以上の薬ののみ合わせに関するデータはなく、どんな相互作用があるのかがわからない。薬はなるべく少ないほうが副作用は少ない。ただし患者の自己判断で薬を減らすのは危険なので、医師や薬剤師に相談してほしい」と話した。

 一般の意見を聞いたうえで、4月以降に指針を正式に決める。厚労省の担当者は「これまでも各学会のガイドラインはあったが、それぞれの内容を横断的にまとめ、使いやすい指針をめざした。医療現場に浸透させたい」と話す。(福地慶太郎)

■副作用症状と原因となる主な薬

【症状】原因となる主な薬の種類

【ふらつき・転倒】中枢性などの降圧薬、睡眠薬抗不安薬

【記憶障害】中枢性などの降圧薬、睡眠薬抗不安薬

抑うつ】中枢性降圧薬、抗ヒスタミン薬、抗精神病薬

【食欲低下】非ステロイド性抗炎症薬、緩下剤、抗不安薬

【便秘】睡眠薬抗不安薬抗うつ薬

在宅診療における治療の一つとして薬を止めるというのも重要な仕事であります。

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