在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病+症候群であるレビー小体型認知症の症状と検査所見は下記にようにまとめることができます。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)

薬の飲みすぎに関する問題

薬の飲みすぎをポリファーマシーと呼びます。カタカナの方が何か学術的な印象もあるので、ポリファーマシーとします。私自身、勤務医時代におけるポリファーマシーの原因は、処方する側7割、処方される側3割と考えてました。 「先生、歩くと少しフラフラす…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病とパーキンソン症候群の鑑別は下記のようになります在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)

慢性閉塞性肺疾患 (COPD)患者さんの意識障

慢性閉塞性肺疾患 (以下COPD)の患者さんが意識障害を生じている場合は、かなり緊急度の高い病態です。ただし、こうした患者さんは恒常的に血中二酸化炭素(CO2)の濃度高く酸素投与に注意が必要とされています。その理由は正常の人は血中CO2濃度の上昇によって…

パーキンソン病を科学する

パーキンソニズムを来す非変性疾患としては、上記疾患を挙げることができます。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)

高齢者の誤嚥性肺炎の診断スコアについて

在宅医療における高齢者において肺炎は非常に起こりやすい感染症の一つです。人は無意識に嚥下をしてますが、これは何も食事をしているときばかりでなく、寝ている時も唾液などを無意識に嚥下しています。嚥下をするという機能も脳からの命令で行われている…

パーキンソン病を科学する

パーキンソニズムをきたす変性疾患としてパーキンソン+症候群は下記の様にまとめることができます 在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)

多愁訴に半夏厚朴湯が著効した症例

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)はいわゆる「ヒステリー球」という、喉に何かが詰まったような違和感に効くとされている漢方薬です。 当院の患者さんで、半夏厚朴湯がよく効いた患者さんがいたので報告します。 症例:90代女性 診察の度に、「喉が詰まる」…

パーキンソン病を科学する

SWEDDs; Scans without evidence of dopaminergic deficit この言葉の意味は 専門家が「パーキンソン病」と診断したにも関わらず DAT SCANが正常である一群です DAT SCANの普及とともに注目されるようになり L-DOPAへの反応が不良で、中止しても悪化しないか…

ヒルドイドは乾燥剤として作用する

ヒルドイド(ヒルドイドソフト軟膏やヒルドイドソフトクリーム)が皮膚に対し乾燥剤として作用していることがよく分かる症例を提示したいと思います。 ヒルドイドには水と油を混じり合わせるために合成界面活性剤が入っています。この合成界面活性剤が皮脂を…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の診断においてDAT SCANが有用です トレーサーのドパミントランスポーターへの集積を見て診断するものです これにより パーキンソン病 多系統萎縮症 進行性核上性麻痺 レビー小体型認知症 大脳皮質基底核変性症 の診断が正確に行えることにな…

痛みのない傷の処置を目指して

当クリニックでは、褥創や傷を洗浄する際には水道水で良いと考えてますが、より痛みが生じないように、生理食塩水で洗うことを推奨しています。 生理食塩水は血漿浸透圧と同等な浸透圧を持ち、組織に対する刺激が少ないためです。 病院でよく行われているの…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の診断として心筋MIBGシンチグラフィーが有用です。 その診断特性は簡単に説明すると下記のようにまとめられます。 ・パーキンソン病やレビー小体型認知症ではαsynucleinが交感神経終末から蓄積する ・αsynucleinが蓄積した交感神経終末は脱落…

リウマチ性多発筋痛症の診断と治療

高齢者を中心に診療していると、高齢者に多い疾患であるPMR(リウマチ性多発筋痛症)によく遭遇します。 診断 PMRは肩関節と股関節の関節外の炎症を特徴とする関節疾患 疫学 通常50歳以上、平均発症年齢70-75歳 女性の頻度は50-70% 20%前後で巨細胞性動脈炎…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン プラス症候群である正常圧水頭症の画像所見の特徴は 上図のような脳室拡大、高位円蓋部の狭小化が挙げらます。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)

認知症の行動・心理症状に対する薬物療法

施設入居時などに、環境が変わったことが契機となり、認知症の行動・心理症状(BPSD)がひどくなり、昼夜問わず暴れて手がつけられなくなる方がいます。 そのような時は、まずは非薬物療法(ユマニチュードなど)で対応すべきですが、非薬物療法だけで全てを…

パーキンソン病を科学する

純粋なパーキンソン病においては、MRI上有意所見なしと前述しましたが、パーキンソン+症候群ではMRIにて所見ある疾患あります。 多系統萎縮症のMRIにおいては 十字サイン、小脳萎縮特徴的所見です 在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitak…

プレタールという薬

プレタールという薬は本邦から開発された抗血小板剤であり、この薬の第三相試験(その薬が本当に効果あるか、悪いことが起きないか実際の臨床で使用する試験です)において私もデータ処理などで関わった経験あり思い入れある薬です。その効果は、シロスタゾー…

パーキンソン病を科学する

純粋なパーキンソン病においては、MRI上有意所見なしと前述しましたが、パーキンソン+症候群ではMRIにて所見ある疾患あります。 進行性核上性麻痺においては、上記のようなハミングバードサインが特徴的です。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (sho…

在宅診療における敗血診断

敗血症とは血液が敗ける症(病)であり、血液の中に菌が繁殖している病気と考えて下さい。血液中に菌が繁殖しているのですから、病気としては大変重篤です。 こうした場合、SOFAというスコアがあります。このスコアでは採血結果所見が必要です。在宅医療ではす…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の検査について 頭部MRI ・パーキンソン病では、基本的に頭部MRIは正常 ・進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、正常圧水頭症、脳血管性パーキンソニズム皮質基底核変性症などでは異常あることあり、これらを検索するのが目的 ・ただし、上記疾患…

患者さんが不穏・せん妄になったら

せん妄に関して薬物治療は、簡単ですが安易かつ患者さんの為にならない治療です。 脳外科医として働いていた頃に、クモ膜下出血で救命した患者さんがいました。 60歳代の患者さんで比較的若く自分で食事も食べれるし、自排尿なども自立しておりリハビリ病棟…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の身体所見 歩行に関して ・歩き始め、方向転換時のすくみ脚を評価する ・典型的には、腕の振りが少なく、前傾小刻み歩行である ・しばしば、歩行により振戦が誘発される 姿勢反射障害に関して ・バランスを崩すような刺激を与え、姿勢の立ち…

慢性心不全の終末期医療

以前の経験した患者さんです。 90代の男性で5年前に心筋梗塞を患いカテーテルの治療受けましたが、左心機能不全にて治療抵抗性の慢性心不全でしたが、ご自宅で生活させていました。その後発熱に伴う意識障害、体動困難にて入院となり高齢の奥様に説明し急変…

パーキンソン病を科学するパーキンソン

パーキンソン病の身体所見として動作緩慢・無動・寡動が挙げられます。 それらの特徴として ・椅子に座るまでの観察で、動作が緩慢であることが分かる ・動作緩慢のみならず、思考も緩慢になる ・仮面様顔貌も筋硬直の部分表示とされる(現在では無動の要素が…

在宅医療と抑制

高齢者の在宅医療において家族の負担となる一つの理由は、不穏などの症状です。 もちろん陽性症状として大声あげて外にでる、物を投げたりするなどの症状ある場合は、ある程度内服による管理必要と考えています。但し、少しふらつくからベッド上というのは高…

パーキンソン病を科学する

パーキンソン病の身体所見の身体所見として次に有名なものは 筋硬直が挙げられます ・鉛管様、もしくは歯車様と表現される ・手関節の筋硬直は治療薬の効果判定に適している ・対側四肢の運動などで、誘発できることがある ・パーキンソン病では他のパーキン…

癌でない病気の終末期

終末期医療というととても寂しい響きですが、在宅医療においては避けて通れない医療です。例えばがん患者さんが、抗がん剤治療などの効果が望めず、それ以上の無理な治療をしないことなどは終末期医療として分かりやすいかと思います。 但し、非がん患者さん…

高齢者が夜間不穏になった場合

認知機能が低下した高齢者が入院すると、かなりの確率で不穏となります。そうした場合、安全の為抑制し薬にて鎮静します。こうした処置にて徐々に身体が弱っていき肺炎などを併発して寝たきりに移行する患者さんを沢山診てきました。在宅医療では、可能な限…

高齢者の腰痛に関する注意点

加齢に伴い腰痛は、かなりの頻度で生じます。腰痛に関する話を始めると終わりなき世界となるため、ここでは脊椎圧迫骨折についてお話しさせて下さい。 脊椎圧迫骨折は高齢者によくおこる骨折の一つです。診断に関しては、病歴が重要です。 ①受傷機転脊椎圧迫…