在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

2024-01-01から1年間の記事一覧

絆創膏の進化!プラスモイストで効果的な治療⁣💊

褥瘡に対してガーゼ保護する意味は無い!ということは度々触れてきました。自身も手術後の創部に対して、創部の治癒閉鎖を心配される症例に対してはカラヤヘシブという創傷被覆材を用いていました。但し、この被覆材は高価であり薬局などで購入できるもので…

心不全を科学する64

心不全に処方してはいけない薬剤の各論として下記処方が、本来心機能回復目的としての投薬でありますが、有害な作用を引き起こす薬剤です。とりわけ私見ですが、 非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬であるジルチアゼム塩酸塩、ベラパミル塩酸塩などは漫然…

褥瘡を解決する革新的治療法!湿潤環境保持と体圧管理

褥瘡治療とは、軟膏の種類を変えてみたり、創傷被覆材を変えてみたりすることではありません。 褥瘡を治すには、「なぜ褥瘡ができるのか」、「傷(キズ)が治るということはどういうことなのか」といった、理論的な背景を知っておく必要があります。 まず、…

心不全を科学する63

心不全に処方してはいけない薬剤は総論として下記の様な処方に気を付けなければなりません 心機能を落とす薬剤 左室後負荷を上げる薬剤 左室前負荷を上げる薬剤 心不全の標準治療効果を落とす薬剤 ※抗がん剤は、一般的に心機能を落とす効果あり You Tubeにて…

心不全を科学する62

左室非同期性運動の治療は、両室ペーシングとなります。 心房細動の治療は、心拍数コントロールもしくはリズムコントロールとなります。 You Tubeにて在宅診療の知識を学んでみませんか?☟より https://www.youtube.com/channel/UCMkHB9UwsqYXdxEAij9yD4Q #…

認知症の中核症状と周辺症状の理解

それまで日常生活において特段問題なかった患者さんが入院により、認知機能障害が顕在化することがよくあります。認知症という言葉は、非常に一般的ですが、この病気は様々な特徴ある病態により病名が異なってきます。また症状においても中核症状と周辺症状…

心不全を科学する61

不整脈により発症する心不全としてPVC mediated-cardiopathy(PVCに関連する心不全)があります。 これらの不整脈治療としてはBBもしくはアブレーションが適切となります。 #高齢者心不全 #高齢者の不整脈 #在宅診療 #心不全の新しい治療 #逗子、葉山、横…

高血糖リスクと高齢者の糖尿病治療

糖尿病は放置すると様々な病気を引き越します。透析へ移行する慢性腎不全の一番の原因は糖尿病性腎症です。また心筋梗塞や脳梗塞などの血管障害の原因ともなる病気です。また高齢者では軽症の糖尿病においても感染などを契機に糖尿病性のケトアシドーシスが…

心不全を科学する60

不整脈により発症する心不全として重要なものは、高頻拍性心不全である上室性頻拍症・心房細動とかんがえます。不整脈により心不全が生じているか否かは、正確には頻拍を元に戻すことによって心機能が回復するか否かです。そしてこの場合治療としてアブレー…

抗認知症薬の臨床現場の真実

科学的認知症診療 5Lessons | 小田 陽彦 |本 | 通販 | Amazon 認知症診療に関する記載として、非常に有用な本です。そしてこの筆者の最も言いたいところは、「一般臨床医は抗認知症薬を使わないのが基本」だと思います。この意見には、非常に同意します。病…

心不全を科学する59

心不全×不整脈のナゼ? 不規則性(心室性期外収縮:PVC) 左室非同期性運動(完全左脚ブロック) 頻拍(上室性頻拍) 房室解離 心房細動 心不全患者さんに上記のような不整脈はつきものですが、これについて次項以降詳述していきます You Tubeにて在宅診療の知識を…

認知症の現実と向き合う: 尊厳と尊厳を守る命

以前も書いたのですが、認知症患者さんが入院されるとかなりの頻度で身体拘束されます。程度はベッドから起き上がれないくらい本格的なものから、車いすに固定される程度まで様々です。これは転倒などの危険防止や脱走防止です(実際、院外で保護されるなどの…

心不全を科学する58

高齢者の血圧管理において」、大動脈弁狭窄症患者さんの血圧管理はどうすればよい?という問題があります。心臓の出口が狭く血圧を上げることにより、体循環を維持している側面あり、大動脈弁狭窄症=失神は非常によくあるエピソードです。 SEAS研究では BP …

湿潤療法とは?傷口にラップはNG!専門家の見解【医療情報】

傷口にラップっていいの? 熱傷・褥瘡、専門家の見解は:朝日新聞デジタル (asahi.com) この記事の中で、日本熱傷学会は傷口にラップは「絶対に使ってはならない」、日本褥創学会は「やむ得ない場合は考慮してもよい」との見解を出しています。 では、実際に…

心不全を科学する57

起立性低血圧により生じる心血管イベントは下記のようになります。 ü心血管病の増加 ü心不全の入院増加 ü心血管死の増加 これらを予防するためには,下記を守ることが重要です。 1.血糖コントロール 2.弾性ストッキング 3.食後すぐに動かない 4.避けるべき薬…

宇井睦人先生の『緩和ケアポケットマニュアル 改訂3版』

">当クリニックにてご勤務頂いている緩和ケアのリーダー的存在である宇井睦人先生の 『緩和ケアポケットマニュアル 改訂3版』が発売されました。 ホントに自分のカバン唯一いつも携帯している本です。 大変光栄なことに、その本の謝辞に当クリニックの名前が…

認知症の真実:再生不可能な神経細胞と治療薬のリスク #認知症

認知症が薬で治るか?という問いの前に認知症とは病気なのでしょうか?人の神経細胞は再生しません。一応、これは原理原則であり、実際再生される部位もあります。但し、人間神経細胞が再生しないことは、理に適っていると私は考えます。もし、脱落した神経…

心不全を科学する56

失神の原因として低血圧の基準値規定が必要です 男性の場合は以下 早朝家庭血圧108/68以下 夜間血圧87/50以下 女性の場合は以下 早朝家庭血圧90/68以下 夜間血圧84/49以下 問題となるのは反射性失神です、この場合起立性低血圧基準として以下が規定されます …

高齢者の発熱対応:急変時の緊急連絡要請 #在宅医療

脳卒中などで意識状態が清明でない患者さんなどにおいて、発熱は常につきまとう症状です。人は寝ている間も無意識下に嚥下しています。これは唾液もそうですし、食事した際の食べ物や胃液が逆流してくる場合も同様です。こうした患者さんに都度検査や抗生剤…

心不全を科学する55

高齢者の失神についてthe SynABPM 1 studyは、興味深い結果を示しています。 早朝家庭血圧125以上 1回でもBPs 90以下が見つかれば失神を起こす可能性が高い 早朝家庭血圧125以下 2回以上BPs 90以下が見つかれば失神を起こす可能性が高い 特に超高齢者はガイ…

ケアマネージャーの勉強から得た気づき#保険制度

自身、勤務医時代に介護保険と医療保険の明確な違いを理解できていませんでした。以前の施設で勤務していた時にデータ整理の際に10年間で約1万人の脳卒中診療に携わり、7千人の脳梗塞患者を診ていたことを知りました。その中でかなりの患者さんが介護申請を…

心不全を科学する54

高齢者心不全において、失神という病態は非常によく遭遇する病態です。 では、血圧低下とは何でしょうか?そもそも血圧とは何でしょう? まず、血圧は心拍出量×末梢血管抵抗にて規定されます。 末梢血管抵抗↓にての血圧低下の典型は敗血症によるseptic shock…

骨粗鬆症治療の新展開:注射薬で骨形成促進#

これは、非常に難しい問題です。外科的な治療は偽関節など不安定性を伴う場合に検討されますが保存的治療においては、また別に機会設けて書かせて頂きます。自身も圧迫骨折で偽関節生じた患者さんに固定術やBKP(骨折した箇所をセメント様のもので固める治療)…

心不全を科学する53

心不全を予防するために行うべきこととして、高血圧の管理が重要です。 血圧はどれくらいに維持すればよいか?という疑問があります。 SPRINT Research Group.において 厳格降圧群と標準降圧群での比較が行われましたが、心不全で厳格降圧群の有意な効果を認…

薬剤性パーキンソニズムの注意点

パーキンソン病は、中脳黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性の疾患です。診断に関してはMIBG心筋シンチグラフィーと呼ばれる、心臓の交感神経の状態を診る検査を行う場合もあります。これは、MIBG(メタヨードベンジルグアニジン)というノルエ…

心不全を科学する52

心不全を予防するために行うべきこととして、高血圧の管理が重要です。 血圧はどれくらいに維持すればよいか?という疑問があります。 SPRINT Research Group.において 厳格降圧群と標準降圧群での比較が行われましたが、心不全で厳格降圧群の有意な効果を認…

在宅医療での発熱対応と患者ケア

脳卒中などで意識状態が清明でない患者さんなどにおいて、発熱は常につきまとう症状です。人は寝ている間も無意識下に嚥下しています。これは唾液もそうですし、食事した際の食べ物や胃液が逆流してくる場合も同様です。こうした患者さんに都度検査や抗生剤…

心不全を科学する51

利尿薬の作用を規定する因子は、下記に挙げれます。特に吸収は重要であり、利尿剤はアルブミンに乗り腎臓へ向かいます。つまり低栄養状態では、殆ど効かないので、次項で述べますが注意点が色々あります。特に担癌患者の腹水では、殆ど低栄養であり利尿剤が…

高齢者における亜鉛不足と健康リスク

亜鉛が不足すると出現する症状として 脱毛、皮膚炎②貧血③味覚障害③食欲不振④下痢 何か在宅医療・高齢者には、いくつか必ず当てはまるような症状です。特に慢性肝疾患、糖尿病、腎不全、慢性炎症性腸疾患があると、亜鉛欠乏に陥りやすいと言われています。慢…

心不全を科学する50

心不全における利尿薬の使い方はどうすればよい? 利尿剤の理解には、腎臓の生理学を理解する必要があります。正常な腎臓100ml/分の水分が糸球体から濾過99%再吸収します。なので尿量を増やすためには、糸球体濾過量を増やす、再吸収量を減らすことが必要と…