腰痛患者さんのMRIを撮影すると多裂筋の委縮が著明です。
報告では腰痛患者さんの80%に多裂筋委縮が生じているとされています。
腰痛と多裂筋の委縮を明快に説明した、正書、論文は残念ながら見つけられませんでした。
これは、腰痛=廃用性委縮も機序として推測されますが、何故多裂筋は特異的に委縮するのでしょうか?
あくまで私見ですが、一つの機序として椎間関節の変性肥厚は重要な要因と考えます。
高齢腰痛患者のXrayでは例外なく椎間関節は変性しています。
手術など見る椎間関節は、岩のようです。そして、この近傍を脊髄神経後枝内側枝が走行しています。
この神経は傍脊柱筋、臀部、大腿外側部を支配しており、腰痛の潜在的原因となります。
この神経の肥厚した椎間関節による絞扼は、後部皮神経絞扼症候群(POCNES)とも呼ばれ、当然神経絞扼に伴う
委縮は生じると考えますが、皆さんは如何と考えますでしょうか?
そして、後部皮神経絞扼症候群(POCNES)には筋膜リリース(ハイドロリリース)は無力と考えます。
こうした傷みはルートブロックなど対処的には奏功すると考えます。
また、手術で絞扼解除も一つですが、こうした場合は関節を破壊する手術にてPLIFなどの固定が必要となり、
かなり侵襲性高く外科的な治療の限界を示す一例です。
関節の肥厚変性は、加齢現象であり病気ではありません。
この辺りが人知の限界とも私は考えますし、ルートブロックで対処的に対応するのも一つと考えます。
手塚治のブラックジャックのこんな一節を思い出します
「人が人の身体をどうにでもできるなど、思い上がりも甚だしい」