在宅診療医 内田賢一 奮闘記

三浦半島の根本である逗子・葉山及び横須賀、神奈川で在宅診療行っています。長らく血管障害を中心として脳外科医として働いてきましたが、自分のキャリア後半戦は自分の大好きな湘南の地の人々が本当に自宅で安心して医療受け過ごせるお手伝いをできたらと考えております。自身の医療への思いや分かりにくい医学の話を分かりやすく科学的根拠に基づき解説して参ります。

2024-07-01から1ヶ月間の記事一覧

痛みのない傷の処置を目指して

当クリニックでは、褥創や傷を洗浄する際には水道水で良いと考えてますが、より痛みが生じないように、生理食塩水で洗うことを推奨しています。 生理食塩水は血漿浸透圧と同等な浸透圧を持ち、組織に対する刺激が少ないためです。 病院でよく行われているの…

パーキンソン病を科学する43

パーキンソニズムを来す非変性疾患としては、上記疾患を挙げることができます。 You Tubeにて在宅診療の知識を学んでみませんか?☟より https://www.youtube.com/channel/UCMkHB9UwsqYXdxEAij9yD4Q #パーキンソン病 #on off現象 #ウェアリング オフ現象 #ド…

高齢者の痛み解決法:PMR診療のポイント

高齢者を中心に診療していると、高齢者に多い疾患であるPMR(リウマチ性多発筋痛症)によく遭遇します。 第95回日本整形外科学会学術総会において、「リウマチ性多発筋痛症の診断と治療 杉原 毅彦先生 聖マリアンナ医科大学リウマチ膠原病アレルギー内科」と…

パーキンソン病を科学する42

パーキンソニズムをきたす変性疾患としてパーキンソン+症候群は下記の様にまとめることができます You Tubeにて在宅診療の知識を学んでみませんか?☟より https://www.youtube.com/channel/UCMkHB9UwsqYXdxEAij9yD4Q #パーキンソン病 #on off現象 #ウェアリ…

認知症のBPSDに対する薬物療法の実践~認知症の行動・心理症状に対する薬物療法

施設入居時などに、環境が変わったことが契機となり、認知症の行動・心理症状(BPSD)がひどくなり、昼夜問わず暴れて手がつけられなくなる方がいます。当院では、施設の窓から飛び出してしまった方、介護者の首を絞めた方、ドアを蹴ったり椅子を投げたりし…

パーキンソン病を科学する41

SWEDDs; Scans without evidence of dopaminergic deficit この言葉の意味は 専門家が「パーキンソン病」と診断したにも関わらず DAT SCANが正常である一群です DAT SCANの普及とともに注目されるようになり L-DOPAへの反応が不良で、中止しても悪化しないか…

抗血小板剤の効果と副作用を徹底解説!プレタール®の魅力とは? #プレタール #薬剤

,"entityRanges":,"data":{}}],"entityMap":{},"VERSION":"9.14.2"}">プレタールという薬は本邦から開発された抗血小板剤であり、この薬の第三相試験(その薬が本当に効果あるか、悪いことが起きないか実際の臨床で使用する試験です)において私もデータ処理な…

パーキンソン病を科学する40

パーキンソン病の診断においてDAT SCANが有用です トレーサーのドパミントランスポーターへの集積を見て診断するものです これにより パーキンソン病 多系統萎縮症 進行性核上性麻痺 レビー小体型認知症 大脳皮質基底核変性症 の診断が正確に行えることにな…

#敗血症疑い?qSOFAチェックで早期診断

敗血症とは血液が敗ける症(病)であり、血液の中に菌が繁殖している病気と考えて下さい。血液中に菌が繁殖しているのですから、病気としては大変重篤です。 こうした場合、SOFAというスコアがあります。このスコアでは採血結果所見が必要です。在宅医療ではす…

パーキンソン病を科学する39

パーキンソン病の診断として心筋MIBGシンチグラフィーが有用です。 その診断特性は簡単に説明すると下記のようにまとめられます。 ・パーキンソン病やレビー小体型認知症ではαsynucleinが交感神経終末から蓄積する ・αsynucleinが蓄積した交感神経終末は脱落…

在宅医療において患者さんが不穏・せん妄になったら

せん妄に関して薬物治療は、簡単ですが安易かつ患者さんの為にならない治療です。 脳外科医として働いていた頃に、クモ膜下出血で救命した患者さんがいました。 60歳代の患者さんで比較的若く自分で食事も食べれるし、自排尿なども自立しておりリハビリ病棟…

パーキンソン病を科学する38

パーキンソン プラス症候群である正常圧水頭症の画像所見の特徴は 上図のような脳室拡大、高位円蓋部の狭小化が挙げらます。 You Tubeにて在宅診療の知識を学んでみませんか?☟より https://www.youtube.com/channel/UCMkHB9UwsqYXdxEAij9yD4Q #パーキンソン…

在宅医療における慢性心不全の終末期医療

以前の経験した患者さんです。 90代の男性で5年前に心筋梗塞を患いカテーテルの治療受けましたが、左心機能不全にて治療抵抗性の慢性心不全でしたが、ご自宅で生活させていました。その後発熱に伴う意識障害、体動困難にて入院となり高齢の奥様に説明し急変…

パーキンソン病を科学する37

純粋なパーキンソン病においては、MRI上有意所見なしと前述しましたが、パーキンソン+症候群ではMRIにて所見ある疾患あります。 多系統萎縮症のMRIにおいては 十字サイン、小脳萎縮特徴的所見です You Tubeにて在宅診療の知識を学んでみませんか?☟より http…

高齢者の在宅医療:転倒リスクを減らす方法

高齢者の在宅医療において家族の負担となる一つの理由は、不穏などの症状です。 もちろん陽性症状として大声あげて外にでる、物を投げたりするなどの症状ある場合は、ある程度内服による管理必要と考えています。但し、少しふらつくからベッド上というのは高…

パーキンソン病を科学する36

純粋なパーキンソン病においては、MRI上有意所見なしと前述しましたが、パーキンソン+症候群ではMRIにて所見ある疾患あります。 進行性核上性麻痺においては、上記のようなハミングバードサインが特徴的です。 You Tubeにて在宅診療の知識を学んでみませんか…

在宅医療の難しさ:非がん患者の終末期

終末期医療というととても寂しい響きですが、在宅医療においては避けて通れない医療です。例えばがん患者さんが、抗がん剤治療などの効果が望めず、それ以上の無理な治療をしないことなどは終末期医療として分かりやすいかと思います。 但し、非がん患者さん…

パーキンソン病を科学する35

パーキンソン病の検査について 頭部MRI ・パーキンソン病では、基本的に頭部MRIは正常 ・進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、正常圧水頭症、脳血管性パーキンソニズム皮質基底核変性症などでは異常あることあり、これらを検索するのが目的 ・ただし、上記疾患…

高齢者のせん妄対策~高齢者が夜間不穏になった場合

認知機能が低下した高齢者が入院すると、かなりの確率で不穏となります。そうした場合、安全の為抑制し薬にて鎮静します。こうした処置にて徐々に身体が弱っていき肺炎などを併発して寝たきりに移行する患者さんを沢山診てきました。在宅医療では、可能な限…

パーキンソン病を科学する34

パーキンソン病の身体所見 歩行に関して ・歩き始め、方向転換時のすくみ脚を評価する ・典型的には、腕の振りが少なく、前傾小刻み歩行である ・しばしば、歩行により振戦が誘発される 姿勢反射障害に関して ・バランスを崩すような刺激を与え、姿勢の立ち…

高齢者の腰痛と圧迫骨折~高齢者の腰痛に関する注意点

加齢に伴い腰痛は、かなりの頻度で生じます。腰痛に関する話を始めると終わりなき世界となるため、ここでは脊椎圧迫骨折についてお話しさせて下さい。 脊椎圧迫骨折は高齢者によくおこる骨折の一つです。診断に関しては、病歴が重要です。 ①受傷機転脊椎圧迫…

パーキンソン病を科学する33

パーキンソン病の身体所見として動作緩慢・無動・寡動が挙げられます。 それらの特徴として ・椅子に座るまでの観察で、動作が緩慢であることが分かる ・動作緩慢のみならず、思考も緩慢になる ・仮面様顔貌も筋硬直の部分表示とされる(現在では無動の要素が…

ポリファーマシーの功罪~年をとると色々痛くなるので痛み止めが必要な時

年をとると色々な箇所が痛くなります。腰痛などは、大なり小なりあると考えます。こうした際に痛み止めをどうするか。NSAIDsと呼ばれる痛み止めには胃潰瘍などを生じさせるリスクあり胃薬が必要です。痛み止めのロキソニンは切れ味は良いですが、その分副作…

パーキンソン病を科学する32

パーキンソン病の身体所見の身体所見として次に有名なものは 筋硬直が挙げられます ・鉛管様、もしくは歯車様と表現される ・手関節の筋硬直は治療薬の効果判定に適している ・対側四肢の運動などで、誘発できることがある ・パーキンソン病では他のパーキン…

認知機能とH2ブロッカーの関係:高齢者のリスク

ガスター等のH2ブロッカーを長期間使用することで、高齢者の認知機能が低下するリスクが報告されています。これは中枢神経にもH2受容体存在することが、その理由です。ただし、こうした薬剤は脳内への移行はしにくいのですが、腎機能障害などにより排泄が遅…

パーキンソン病を科学する31

パーキンソン病の身体所見として最も有名な振戦について その特徴は下記のようにまとめることができます ・母指の振戦は、丸薬まるめ運動と表現される ・静止振戦は、姿勢時振戦、両者の混在など様々なパターンがある ・静止振戦は、パーキンソン病に比較的…

高齢者の脱水評価と在宅医療~高齢者医療は脱水との戦いです

以前勤務していた病院の看護師さんのお母さんが痩せ薬として飲んでいたのが、利尿剤だったという笑えない話を聞いたことあります。ボクシングなどでも計量前にサウナで脱水となり計量に挑むのは有名な話です。高齢者医療においても脱水との闘いは大変です。…

パーキンソン病を科学する30

パーキンソン病の問診で特に注意する点として、非運動症状にも注意が必要です。 具体的には ・幻視の有無 ・REM睡眠行動異常(睡眠障害) ・むずむず脚症候群(睡眠障害) ・自立神経障害(便秘、起立性低血圧) ・うつの合併(精神症状) ・抗精神病薬やスルピリド(…

高齢者の食欲不振対策~高齢者医療は食べれないことに対する戦いです

いつの時代もダイエットは、流行っています。 僕自身学生時代はラグビー部所属していたので、ケガをしないよう筋トレで体重増やしていた時期と、研修医時代に体重が8-10kg落ちた時期を除き多少の増減はありますが、最近20年は±1.5kg以内の変動です。 しかし…

パーキンソン病を科学する29

パーキンソン病の問診においては、患者さんの主訴として運動症状を主訴とすることが多いことが重要です。在宅医療 | さくら在宅クリニック | 逗子市 (shounan-zaitaku.com)さくら在宅クリニックは逗子、葉山、横須賀、鎌倉の皆さんの健康と安心に寄与して参…